鎮痛薬 作用機序。 鎮痛薬

鎮静薬には何がある?|鎮静薬の目的・使用方法・種類・特徴

鎮痛薬 作用機序

[吸収・代謝・排泄] 経口投与されたモルヒネは、胃腸管から吸収される。 速放性経口製剤は、約0. 5〜1. 3時間で最高血中濃度に到達する。 また、徐放性経口製剤は、約1. 9〜7. 3時間で最高血中濃度に到達する。 吸収されたモルヒネは肝初回通過効果により代謝され、生体内利用率 *1は19〜47%(平均25%)である。 全身循環に到達したモルヒネは、グルクロン酸抱合により、約44〜55%がモルヒネ-3-グルクロニド(M3G)に、約9〜10%がモルヒネ-6-グルクロニド(M6G)に代謝され、8〜10%が未変化体(モルヒネ)として尿中から排泄される。 M6GおよびM3Gは、ほとんど腎臓から排泄される(表5)。 [特 徴] モルヒネは、多くのがん疼痛緩和ガイドラインにおいて、豊富な使用経験などから第一選択薬として推奨されている。 また、経口や静脈内、直腸内、皮下、硬膜外、くも膜下腔内へ投与できる。 モルヒネの代謝物であるM6Gは強力な鎮痛作用を有しており、また、脳移行性がモルヒネよりも低く、ゆっくりと血液脳関門を通過するために、作用持続時間が長い。 一方、もう一つの代謝物であるM3Gは、オピオイド受容体に対してほとんど親和性をもたず、鎮痛作用は示さないが、がん疼痛患者へモルヒネを大量投与した際に認められる痛覚過敏 *2やアロディニア *3の発現に関与している可能性が示唆されている。 主な副作用として、嘔気・嘔吐、便秘および眠気がある。 2)フェンタニル [作用機序] フェンタニルは、フェニルピペリジン関連の合成オピオイドであり、麻酔補助薬として使用されてきた。 フェンタニルの鎮痛効果は、モルヒネと類似しており、静脈内投与した場合、フェンタニルの鎮痛作用はモルヒネの約50〜100 倍である。 [吸収・代謝・排泄] 経皮吸収型製剤(フェンタニル貼付剤)の生体内利用率は計算上57〜146%(平均92%)である。 初回貼付後1〜2時間で血中にフェンタニルは検出され、17〜48時間で最高血中濃度に到達する。 貼付2回目以降に定常状態に到達する。 フェンタニルはほとんど肝臓で代謝され、主にチトクロムP450 *4のCYP3A4により、ノルフェンタニルに代謝される。 ノルフェンタニルは非活性代謝物である。 フェンタニルは脂溶性が高く、血液脳関門を速やかに移行する(表5)。 [ 特徴] フェンタニルは、経皮、静脈内、皮下、硬膜外、くも膜下腔内へ投与することができる。 静脈内投与したフェンタニルが最大鎮痛効果に達する時間は約5分とモルヒネや他のオピオイドと比較して速効性がある。 脂溶性が高く比較的分子量が小さいため、皮膚吸収が良好であり、貼付剤としても使用されている。 副作用として、モルヒネと同様に、嘔気・嘔吐があるが、便秘および眠気は比較的弱い。 *1: 生体内利用率 投与した薬物の何%が生体内(血中)に取り込まれ、無駄なく活用されるかという薬物の利用率(吸収率)。 生物学的利用率、バイオアベイラビリティ(bioavailability)ともいう。 *2: 痛覚過敏(hyperalgesia) 痛覚に対する感受性が亢進した状態。 通常では痛みを感じない程度の痛みの刺激に対して痛みを感じること。 (参考) 痛覚鈍麻(hypoalgesia)痛覚に対する感受性が低下した状態。 通常では痛みを生じる刺激に対して痛みを感じない・感じにくいこと。 *3: アロディニア(allodynia) 通常では痛みを起こさない刺激(「触る」など)によって引き起こされる痛み。 異痛(症)と訳される場合があるが、本ガイドラインでは、アロディニアと表現した。 *4: チトクロムP450 ほとんどすべての生物に存在する酸化酵素。 ヒトでは現在約50種が報告され、CYP3A4、CYP2A6(CYP=cytochrome)などがある。 肝臓に多く存在し、薬物代謝の主要な酵素。 3)オキシコドン [作用機序] オキシコドンは、半合成テバイン誘導体であり、強オピオイドに分類される。 [吸収・代謝・排泄] 速放性経口製剤は約1. 7〜1. 9時間で最高血中濃度に到達する。 また、徐放性経口製剤は約4. 0時間で最高血中濃度に到達する。 経口オキシコドンの生体内利用率は約60%(50〜87%)である。 チトクロムP450のCYP2D6およびCYP3A4により、ノルオキシコドンおよびオキシモルフォンに代謝される。 ノルオキシコドンは、主代謝物であるが、非活性代謝物である。 また、オキシモルフォンは鎮痛活性を示すが、そのAUC *〔薬物血中濃度(時間)曲線下面積〕は、オキシコドンAUC の約1. 4%とごく微量である。 オキシコドンはほとんど肝臓で代謝されるが、約5. 5〜19%が未変化体として尿中から排泄される(表5)。 4)コデイン [作用機序] コデインのオピオイド受容体に対する親和性は低く、その鎮痛効果はコデインの一部がO-脱メチル化されたモルヒネによるものである。 [吸収・代謝・排泄] 経口製剤は肝初回通過効果が少なく、約0. 8時間で最高血中濃度に到達する。 コデインのオピオイド受容体への親和性は低いが、コデインが肝臓で代謝されると、約10%がチトクロムP450のCYP2D6によりモルヒネとなり、鎮痛効果をもたらす。 白人の約3. 2〜10%、日本人の約0. 7%はCYP2D6活性が低く(poor metabolizers)、モルヒネがほとんど生成されないため、コデインの鎮痛効果は発揮されにくい(表5)。 [ 特徴] コデインは鎮咳作用を有し、これはコデインそのものの作用である。 副作用として、主に嘔気・嘔吐、便秘および眠気がある。 [吸収・代謝・排泄] トラマドール経口剤の生体内利用率は約75%であり、中枢移行性も良好である。 主に肝臓チトクロムP450 のCYP2D6 およびCYP3A4で代謝され、O-デスメチルトラマドールおよびN-デスメチルトラマドールに変換され、腎よりトラマドールとして約30%、代謝物として約60%が排泄される。 [ 特徴] トラマドールは、WHO方式がん疼痛治療法の第二段階薬群に分類されている。 作用発現時間および持続時間はモルヒネと同程度である。 トラマドールはその作用機序から神経障害性疼痛に効果的であることが報告されている。 便秘、嘔気・嘔吐の発生頻度は低い。 けいれん発作を引き起こすことがある。 5〜19% 約3. 5〜4時間 CYP3A4 ノルオキシコドン(無) CYP2D6 オキシモルフォン(有) コデイン 肝臓 約3〜16% 約2. 5〜3. ペンタゾシンは鎮痛、鎮静、呼吸抑制を含めモルヒネなどのオピオイドとほぼ類似する作用を示す。 また、鎮痛作用の天井効果 *3を有する。 [吸収・代謝・排泄] 経口製剤は約2. 0時間で最高血中濃度に到達する。 未変化体で腎より排泄されるペンタゾシンは5〜8%であるため、ほとんど肝臓で代謝され、主な代謝経路はグルクロン酸との抱合である。 代謝物には活性は存在しない(表5)。 嘔吐はモルヒネほどはみられないが、不安、幻覚などの精神症状が発現することがある。 *1: 拮抗薬 受容体に作用して、他の生体内物質などが受容体に結合することを妨げる薬物。 拮抗薬自体は受容体を活性化する作用をもたず、生体応答を起こさない。 遮断薬、アンタゴニストともいう。 *2: 部分作動薬 受容体と結合して、受容体を活 性状態にする薬剤を作動薬(アゴニスト)といい、このうち受容体に結合するが、100%の活性 化を引き起こさない薬。 *3: 天井効果(ceiling effect) ある程度の量以上、投与量を増やしても鎮痛効果が頭打ちになること。 有効限界ともいう。 *4: 離脱症候/離脱症候群 臨床では薬物の突然の休薬による身体症状を離脱症候群(withdrawal syndrome)と表現することが一般的である。 モルヒネより25〜50倍強い効力をもち、モルヒネと類似する作用を示すが、天井効果を有する。 ブプレノルフィンは、オピオイド受容体に対して親和性が高く、かつ高い脂溶性をもつため、受容体からの解離が緩やかであり、長時間の作用(約6〜9時間)を示す。 [吸収・代謝・排泄] 坐剤は約1. 0〜2. 0時間で最高血中濃度に到達する。 ブプレノルフィ ンは主に肝臓で代謝され、チトクロムP450のCYP3A4によりノルブプレノルフィンに代謝さ れる(表5)。 [特 徴] ブプレノルフィンは直腸内、静脈内、皮下へ投与することができる。 主な副作用として、嘔気・嘔吐、便秘および眠気がある。

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【ピリン系薬とは?】アスピリンはピリン系?

鎮痛薬 作用機序

Contents• 麻薬?非麻薬? 今回はオピオイド系の鎮痛薬について説明していきます。 青本など国家試験の参考書を見ていくと、麻薬性鎮痛薬と非麻薬性鎮痛薬に分類されているのですが、 私が最初に勉強した時、 「両方ともオピオイド受容体に作用しているのにトラマドールとか麻薬じゃないの?」と思っていました。 結論から言いますと、この「麻薬」という言葉は 国が麻薬に指定したかどうかで、薬効とは関係ないということです。 ということで早速みていきましょう。 麻薬性鎮痛薬 麻薬性鎮痛薬には モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、メサドンなどがあります。 この4種類は「WHO三段階除痛 ラダー」の三段目(強オピオイド)です。 作用や副作用は同じなので、麻薬の代表例モルヒネを例にみていきます。 モルヒネの作用点 モルヒネの作用点を見るために、痛みの伝わり方を確認します。 侵害刺激を知覚神経が受け取り、脊髄後角まで伝わる• 脊髄後角から脳に伝える神経にバトンタッチ。 ( 上行性痛覚伝導)• 脳が侵害刺激を痛みと捉える。 ここまでが、人が痛みを認識する流れです。 その後、脳が「もう十分伝わった!」ということで、脳から 痛みを抑える方向に指令が出ます。 ( 下行性痛覚抑制系) 痛みを抑える方法は2つです。 上行性を抑えて侵害刺激を伝わりにくくする。 下行性を活性化させて、侵害刺激の伝達を抑えさせる。 この2つに関与してくる受容体がオピオイド受容体です。 オピオイド受容体は、脊髄後角と脳 延髄など にあります。 ちなみにオピオイド受容体にはサブタイプがあります。 モルヒネの作用、副作用 中枢系の抑制 中枢系の抑制により、 鎮痛、鎮咳、呼吸抑制があります。 モルヒネ中毒での死因は呼吸抑制です。 中枢系の興奮 催吐作用、縮瞳作用が起きます。 脳の化学受容器 CTZ にとってモルヒネは毒と認識されるので、防衛本能として吐いて出そうとするため催吐が起きます。 胆汁分泌抑制 Oddi括約筋収縮が起こり、胆汁酸が分泌されにくくなります。 ヒスタミン遊離作用 かゆみの誘発、喘息の悪化が起こります。 作用、副作用などは同じです。 効果が麻薬性鎮痛薬より弱いため非麻薬に入っています。 麻薬拮抗性鎮痛薬 ブプレノルフィンと ペンタゾシンがこのグループに入ります。 2つとも向精神薬の第二種です。 モルヒネ中毒のときに使います。 鎮痛補助薬 鎮痛補助薬として、抗てんかん薬、抗うつ薬、局所麻酔薬、あとプレガバリンを用いることがあります。 脳が興奮していると鎮痛効果が弱くなることが有るため抗てんかん薬を。 セロトニンやノルアドレナリンを増やすことで下行性を不活化できるので抗うつ薬 デュロキセチンなど を。 興奮系の電気依存性Caチャネルを抑制するプレガバリンを。 マインドマップのPDF.

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日本ペインクリニック学会

鎮痛薬 作用機序

オピオイド Opioid とは、から採取されるや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、、作用があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。 医療においてはや、の管理のような強い痛みの管理に不可欠となっている。 このようなアルカロイド()やその半合成化合物には、、、、などが含まれ、また合成オピオイドには、、などがある。 これらは本来的な意味で(narcotic)である。 オピオイドとは「オピウム()類縁物質」という意味であり、これらが結合するに結合する物質(元来、生体内にもある)として命名された。 内因性のオピオイドには、などがある。 オピオイド薬の使用には、 ()や、、またによる死亡の危険性がある。 そのため多くの国でとなっている。 アメリカでは、2015年内には2. 2014年にもアメリカ神経学会は頭痛、腰痛、などの慢性の疼痛では、オピオイドの使用は危険性の方がはるかに上回るという声明を行っている。 死亡は止まらず、2017年にはアメリカで「オピオイド危機」と呼ばれる公衆衛生上の非常事態が宣言された。 OECD25カ国を対象とした調査では、オピオイド関連死亡(ORD)の平均は2011年から2016年にかけて20%以上増加しており、その要素としてOECDは疼痛管理目的の処方、および過剰処方の増加を挙げている。 そのためOECDは根拠に基づくや、処方サーベイランス強化などにより、処方規制の改善が必要だと勧告している。 オピオイド乱用は医療サービスへの大きな負担である。 ペンタゾシン注射液 ソセゴン オピオイドとは、(Opium poppy)から採取されるアルカロイドや、それから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指す。 オピオイドは、鎮痛や陶酔といった共通した作用を持つ。 から採取されるや、それから合成された化合物は、高用量を摂取した場合に、昏睡、呼吸抑制を引き起こす。 合成・半合成オピオイド ケシのアルカロイド()やその半合成化合物には、、、、などが含まれる。 また合成オピオイドには、、などがある。 非麻薬性オピオイド(鎮痛薬) 合成オピオイドのうち、鎮痛作用を有するものは「非麻薬性オピオイド(鎮痛薬)」と称され、その代表は:。 - トラマール、ワントラム、トラムセット配合錠(アセトアミノフェン配合)- 劇薬。 医療用麻薬としての規制外。 - ノルスパン、レペタン - 劇薬、向精神薬、習慣性医薬品• - ソセゴン、ペルタゾン - 劇薬、向精神薬、習慣性医薬品 オピオイドのうち、鎮痛作用を有するものの構造には N, N-Dialkyl-3,3-dialkyl-3-phenylpropanamineという共通点があり、 モルヒネ則と呼ばれている。 麻薬 [ ] 「」も参照 (narcotic)とは、通常は麻薬性鎮痛薬として、この記事にて説明しているオピオイドや、またはさらにその狭義のを含めて指す用語である。 しかし、そうした薬理学的な定義と関わりなく、一般用語あるいは法律上において、やなどを含めた違法薬物を指して用いられている場合がある。 そのため、世界保健機関の薬物に関する文書では、麻薬の語ではなく、より具体的な意味を持つオピオイドの語を用いている。 現在では「麻薬」という用語は社会的用語であり、薬理学的あるいは分子生物学的用語である「オピオイド」とは意味が異なる。 「麻薬及び向精神薬取締法」で「麻薬」に指定されている薬剤が麻薬であり、オピオイド受容体とは関係しないものもある。 例えば、オピオイドではない「」は麻薬に指定されているので、「麻薬性非オピオイド鎮痛薬」になる。 用途 [ ] 手術侵襲に対する鎮痛と過剰なストレス反応の制御、がん末期のような強い痛みに対する鎮痛手段として広く用いられており、医学の進歩した現代においても最も強力な鎮痛薬であるとともに、麻酔臨床では必要不可欠な薬剤である。 手術の麻酔で使用されるオピオイドは、日本では、、である。 欧米では、このほかにアルフェンタニルやスフェンタニルも使用されている。 副作用 [ ] 依存症 [ ] 詳細は「」を参照 オピオイド依存症であるかは、当初の想定よりも使用量が増加し離脱症状を呈する、薬物の使用が制御できない、またそれらによって引き起こされた機能的な状態がであるなどの、いくつかの診断基準を満たすかに基づいて診断されうる。 2008年のレビューでは、依存率は全体として3. オピオイド使用障害は、意図しない過剰摂取による死亡だけでなく、自殺と関連しておりアメリカでのオピオイドの使用が深刻化した結果、自殺率も上昇してきた。 依存症の治療は、半減期の長いオピオイドや、より新しいものではオピオイド受容体に作用するに置換して漸減するのが標準的である。 活性成分を含む幻覚剤であるを用いた治療は、標準的でない治療法として実施している施設がある。 離脱症状 [ ] 「」も参照 オピオイドによる離脱症候群には、渇望、不安、不快、あくび、発汗、立毛(鳥肌)、流涙、鼻漏、不眠、吐き気や嘔吐、下痢、けいれん、筋肉痛、また発熱が含まれる。 モルヒネやヘロインなどの短時間作用型の薬物では、離脱症状は最後の摂取から8~12時間以内に発症し、48~72時間でピークに達し、7~10日後にかけて消えていく。 メサドンなどの長時間作用型の薬剤では、離脱症状の発症は1~3日であることもあり、一般的により軽度の症状が長く続く。 として、上記のような急性の離脱症状に続き、数週間から数か月にわたってあまり明確ではない症状が生じることがある。 ガイドライン [ ] 2014年には、アメリカ神経学会がオピオイドによる死亡の増加から声明を出しており 、頭痛、腰痛、などの慢性疼痛状態では、薬剤使用の利益を危険性の方がはるかに上回るとした。 これは最良の方法を挙げており、処方を行う前に処方データ監視プログラム(PDMP)を確認することや、1日にモルヒネに換算して80~120mgに相当する場合には、疼痛管理の専門家に相談することが含まれている。 死亡の増加により CDC は2016年にガイドラインを公開しており、それは慢性疼痛では運動や認知行動療法のような非薬物療法や他の薬物療法を推奨し、オピオイドは最小有効量で使用して定期的に痛みが改善しているか観察することが必要であるとしている。 薬理学 [ ] 作用機序 [ ] オピオイドとオピオイドの結合によりを介して神経細胞の過分極が生じて神経伝達系が抑制されると考えられている。 しかし、その神経回路などについては不明な点が多い。 Gタンパク質はそれぞれのレセプターに関与するイオンチャネルに作用すると考えられているが、その詳細は明らかになっていない。 薬物動態 [ ] モルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニルの薬物動態における特性を示す。 モルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニルの薬物動態の比較 モルヒネ フェンタニル レミフェンタニル pKa 8. 0 8. 4 7. 1 ph7. 4 813 17. 2〜0. レミフェンタニルはエステル構造を有し、血中あるいは組織中のエステラーゼにより速やかに分解される。 生体に投与されたモルヒネの約60%は肝臓で、残りは腎臓で代謝される。 肝臓で代謝されたモルヒネはモルヒネ3グルクロナイド(M3G)とモルヒネ6グルクロナイド(M6G)になる。 M3Gには鎮痛作用はないが、M6Gの鎮痛作用はモルヒネよりも強いと言われている。 腎不全患者ではM6Gの排出が遅れて著しい呼吸抑制をきたす可能性がある。 フェンタニルは肝臓で速やかに代謝されるが、その代謝産物にはほとんど鎮痛作用がない。 レミフェンタニルは投与中止とともに速やかに血中濃度が低下するため、術後呼吸抑制の心配が少ない。 そのため超短時間作用性オピオイドとして有用であるが、投与中止により速やかに鎮痛効果が消失するので、術後の疼痛対策が必須である。 薬理作用 [ ] 鎮痛作用 のメカニズムに関しては不明な点が多いが、解明されつつある。 オピオイドは、脊髄後角において一次知覚神経線維末端からのサブスタンスPやグルタミン酸のような神経伝達物質の放出を抑制し、脊髄後角に存在する侵害ニューロンの興奮を抑制する。 このような作用以外に、オピオイドが中脳水道周囲灰白質に作用することにより下行抑制系(ノルアドレナリン作動性およびセロトニン作動性)が活性化されることによる脊髄後角における鎮痛作用を示す機序もある。 さらに、視床、大脳皮質のレベルにおいても鎮痛作用が現れる。 このように、オピオイドの鎮痛作用は中枢神経系内の1ヶ所における作用では説明できない。 さらに、末梢神経におけるオピオイドの鎮痛作用も報告されている。 薬剤の種類によって鎮痛作用の力価には差がある。 鎮痛作用力価の比の目安をモルヒネ:1とすると、フェンタニル:100、スフェンタニル:500 、アルフェンタニル:1 、レミフェンタニル:500 である。 鎮痛作用は個人差が大きい。 また鎮痛効果と呼吸抑制や鎮静作用も必ずしも並行しない。 参考値を表にまとめる。 +の数がアゴニストの強さ、-の数がアンタゴニストの強さである。 1 3~5 0. 5~1. 0 +++ 0 0. 1 1. 5~2. 0 0. 1~0. 2 ++ + 80 5~7 2~3 +++ - 0. 3 30 6~8 -- ++ 60 15~30 2~3 - ++ 2 15~30 2~3 ++ - 100 15 4~6 --- - ? ? ? 中枢作用 オピオイドには鎮静作用があり、と併用すると吸入麻酔薬のを減少させる効果がある。 しかし、単独では大量に投与しても完全な意識消失は起こりにくい。 この作用にはドーパミン系が関与している可能性がある。 動眼神経 に対する大脳皮質からの抑制が解除されて、縮瞳を起こす。 オピオイドは長期使用によって耐性、依存性、習慣性を生じることがある。 オピオイドの副作用として掻痒感をきたすことがある。 その機序は明らかにされていないが、延髄あるいは脊髄における作用の可能性がある。 通常の鎮痛量では傾眠傾向になるものの健忘作用はないとされている。 深い鎮痛効果と無呼吸に至るほどの高用量を投与しても必ずしも入眠するとは限らない。 オピオイド単独による麻酔導入は不可能と考えられている。 遊離作用のないでも掻痒感を生じ、その掻痒感は抗ヒスタミン薬で抑制されず、によって抑制されることからオピオイド自体の脳幹レベルでの作用と考えられている。 呼吸器系 上気道、下気道における反射を抑制する。 鎮咳作用もあり、気管挿管時の反射、咳嗽を抑制することができる。 一方、非麻酔時の鎮痛目的使用では、その呼吸抑制作用が問題になることが多い。 オピオイドは脳幹の延髄に存在する呼吸中枢に作用して、用量に依存して呼吸抑制を起こし、血中の二酸化炭素濃度の上昇を起こしたり、低酸素による換気促進作用を減弱させる。 高齢、腎不全、肝障害などがあると、呼吸抑制が著しく現れることがあるので注意が必要である。 呼吸数の減少が典型的であるが、呼吸リズムが不規則になることもある。 意識があるときも呼吸する意思が抑制されて窒息をおこす恐れがある。 そのためオピオイド投与時は効果が最大になる時間まで呼吸が止まらないことを確認する必要がある(呼吸抑制は濃度依存の作用であるため)。 モルヒネにはヒスタミン遊離作用があるため気管支喘息の患者には使いにくい。 それ以外のオピオイドも咳嗽抑制、呼吸抑制があることから気管支喘息患者への使用には注意が必要である。 心血管作用 オピオイドは、循環抑制作用が少ないので、心疾患を有する患者の麻酔や心臓外科手術の麻酔に対して安全に用いることができる。 また、オピオイドを投与することによって、心筋虚血によって生じる梗塞巣の容積を減少させることができるという報告がある。 脳幹の迷走神経を刺激することにより除脈を引き起こすことがあるが、アトロピンの投与によって拮抗することができる。 また、モルヒネは肥満細胞からのヒスタミン遊離をひきおこし、ヒスタミンの血管拡張作用による低血圧を生じる。 これを予防するためには、H1受容体拮抗薬(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど)とH2 受容体拮抗薬(シメチジン、ラニチジンなど)の両者を投与する必要がある。 消化器系 中枢、および消化管自体のオピオイド受容体に作用し、下部食道括約筋を弛緩させ、消化管蠕動運動を抑制する。 そのため、モルヒネの長期投与では便秘が起こることが多い。 の収縮をおこし、胆道内圧の上昇を引き起こすため、胆道系疾患の疼痛には使いにくい。 のCTZに作用し、を起こす。 泌尿器系 尿管、膀胱の排尿筋や尿道括約筋を収縮させ、尿意促迫や尿閉をおこす。 の患者では注意が必要である。 内分泌系 筋硬直 オピオイドの投与により、骨格筋の強直を起こすことがある。 呼吸筋の強直を生じると、換気不全を起こして補助呼吸を要する場合がある。 声門の閉鎖からマスク換気が不可能になることもある。 骨格筋の強直を生じるメカニズムは不明であるが、オピオイドによって誘発される大脳基底核のGABA系やドパミン系の変化が関与するとの報告がある。 オピオイドは神経筋接合部には作用しないので、筋弛緩薬を投与するとオピオイドによる骨格筋の強直は生じない。 麻酔中に筋が硬くなるのは、麻酔が浅い場合もあるしオピオイドの副作用であることもある。 抗ストレス作用 生体に手術侵襲のような強力なストレスが加わると、交感神経系の活性化による高血圧、頻脈とともに下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、成長ホルモン(GH)、下垂体後葉からバゾプレッシン、副腎皮質からコルチゾールが分泌され、血糖の上昇を生じる。 このような生体の神経、内分泌系を介するストレス反応が過剰に起こると、周術期合併症の誘因となる可能性がある。 現在全身麻酔に用いられている吸入麻酔薬や静脈麻酔薬は、意識消失作用は強いが、鎮痛作用および抗ストレス作用は不十分である。 モルヒネやフェンタニルは手術侵襲によって引き起こされる内分泌反応を抑制する。 薬物相互作用 [ ] オピオイドに系の薬物が加わることで、呼吸抑制作用が増強され、意図しない死亡事故が生じやすい。 薬力学的相互作用 [ ] アメリカの処方記録によれば、2000年代に、や、との合剤であるVicodinのようなオピオイドと、や、またのようなベンゾジアゼピン系の薬剤の処方はそれぞれ増加した。 フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、ベンゾジアゼピン系薬剤のような中枢神経抑制薬のほか、アルコール、ワルファリンのようななど、抑制作用を増強させる薬剤の併用によって抑制作用が増強される可能性がある。 薬物動態学的相互作用 [ ] オキシコドンでは、を阻害する薬剤によって血中濃度が高まる可能性がある。 フェンタニルはを阻害する。 鎮静作用や放出作用も知られている。 その他の作用としては鎮静や不快感、幻覚や、ADH分泌低下が知られている。 内因性オピオイドの類と親和性が高いことが知られている。 その他の作用としては掻痒感がある。 内因性オピオイドの類と親和性が高いことが知られている。 呼吸促進、頻脈、血圧上昇、散瞳といった作用が知られている。 医療大麻との併用 [ ] は、低用量でオピオイドで鎮痛効果を増強する。 1999年から2010年の、アメリカの全50州の死亡証明書の分析により、州ごとの医療大麻の合法化に伴って、その州のオピオイド系鎮痛薬の過剰摂取による死亡者数は低下している。 共に鎮痛作用は主な作用である。 オピオイド乱用 [ ] オピオイド乱用率は、欧州においては一般市民の間で1%未満であった。 またオピオイド乱用者においては、アルコールやその他の薬物の多剤乱用が一般的である。 これは他の薬物との相互作用において、よりオピオイド関連死を招くことを意味する。 過剰摂取による死亡 [ ] 縦軸:依存性;上に行くほど依存性の可能性が高い。 横軸:右に行くほど活性量と致死量が近い。 オピオイドは、作用量と有毒域が近いためにおけるに指定されている。 オピオイド系鎮痛薬による中毒死は、アメリカでは1999年から2011年とを比較するとおよそ4倍に増加した。 1999年から、2010年では、男性2. 65倍に増加したのに対して、女性4倍となっている。 処方薬による死亡の4倍の増加は、将来のヘロインによる死亡につながるのではと懸念されたが、2009年まで増加は見られなかった。 しかし、2010年と2011年に薬物過剰摂取死の最多であったを、2012年に急増したヘロインが上回った。 2016年8月、アメリカ食品医薬品局 FDA は、極度の眠気、呼吸抑制、昏睡および死亡につながることがあるオピオイドとベンゾジアゼピンの併用について、それら医薬品に、最も強い枠内警告を追加した。 オピオイド危機 [ ] アメリカにおける薬物過剰摂取死亡(2014年) オピオイド 10,863 23. これはアメリカでのみ強く起こった事態である。 1990年代半ばに(オキシコンチン)は、38人での研究だけに基づいて依存が発生しない、革新的な薬として広く販売されるようになったが、実際の日常ではまだ痛みが完全に消えていない人々はより多く用い、また薬物への欲求を増大させるものであった。 しかし、製薬産業は医師への豪華な接待や、病院の待合室で再生されるビデオを通じて積極的にマーケティングし、医師もしばしば時間のかかる痛みの原因の特定よりも痛みを感じさせなくする方が簡単であった。 依存者は勿論薬物の売人達もニーズの変化に従ってクリニックからクリニックへと痛みを訴えては処方箋を入手しようと試み、安易に処方を行う医師達はろくな診察もせず彼らに処方箋を書く。 更に医師には処方箋のために受け取る賄賂や医薬品を転売することでも大きな収入をもたらし、この危機は犯罪や暴力の大きな動乱を起こさないため、目立たず静かに進行していった。 こうして薬の販売が増えて利益を上げる製薬産業、手間いらずで患者を満足させ患者数の増加と処方箋を書くための賄賂や転売で儲ける医師、合法な処方箋による麻薬の入手が可能となった依存者と売人の需要が噛み合ったサイクルが完成し瞬く間にオピオイドはアメリカ中に蔓延した。 監視を逃れるため越境してメキシコで薬を入手したり、ついには現金ではなく麻薬目当てに薬局に強盗が押し入る事態も起きた。 上述の通り、オピオイドは作用量と致死量が近く、量を間違えると死亡しうる。 これを実施するためにはアメリカはを終わらせなければならず、そのための準備はまだない。 過剰摂取の対策として鎮痛効果を維持しつつ依存性が少ないオピオイド化合物の研究が行われている。 リガンド [ ] アゴニストとしてはケシから抽出される、合成麻薬のやがある。 この他に(オピスタン)、が有名である。 オピオイドレセプターのパーシャルアゴニスト(部分作動薬)を弱オピオイドという。 弱オピオイドは鎮痛効果に天井効果があることが知られている。 天井効果とは投与量を増やしても鎮痛効果はある一定以上増えることはない。 分子的メカニズムは不明ではあるが副作用のみが増えることが知られている。 パーシャルアゴニストとしては(ペンタジン、ソセゴン)、(レペタン)、(トラマール)などが有名である。 しかし近年はアゴニストアンタゴニストという概念を作ること自体に疑問の声もあがっている。 こういった理由からソセゴンは病棟で鎮痛薬としてよく用いられる。 アンタゴニスト 拮抗薬()としてはが有名である。 麻薬拮抗薬 [ ] オピオイド受容体のアンタゴニストであるナロキソンが麻薬拮抗薬として臨床的に使用されている。 ナロキソンによるオピオイドの副作用の治療 [ ] オピオイドの副作用(呼吸抑制、悪心・嘔吐・掻痒感、尿閉、骨格筋の強直など)は、ナロキソンの投与によって軽減することができる。 静脈注射後、1~2分で作用が現れ、30~60分持続する。 作用時間が短いため、モルヒネのように作用時間の長いものに対して使用する時は、ナロキソンの効果が消失したあとに再びオピオイドの副作用が現れる(renarconization)ことがあり、注意が必要である。 ナロキソンの副作用として、血圧上昇、頻脈、肺水腫がある。 脚注 [ ] []• World Health Organization. 47, 49-50. ; Mack, Karin A. ; Paulozzi, Leonard J. February 2013. JAMA 309 7 : 657. MedPage Today. 2015年5月15日閲覧。 ロイター. 2017年12月5日閲覧。 日経メディカル• おくする110番• DA Fishbain, B Cole, J Lewis, HL Rosomoff, RS Rosomoff. 2008年. PUbMed Health. 2016年8月15日閲覧。 Rudd RA, Paulozzi LJ, Bauer MJ, et al. 2014. MMWR. Morbidity and Mortality Weekly Report 63 39 : 849—54. Bohnert ASB, Ilgen MA January 2019. Engl. Med. 1 : 71—79. Katz, J. ; Swerdloff, M. ; Brass, S. ; Argoff, C. ; Markman, J. ; Backonja, M. ; Katz, N. ; Franklin, G. 2015. Neurology 84 14 : 1503—1505. アメリカ疾病予防管理センター:CDC 2016年7月14日. 2016年8月15日閲覧。 標準麻酔科学第6版. 医学書院• MedPage Today. 2014年3月11日閲覧。 United States of Health Blog. 2015年5月15日閲覧。 がん医療情報リファレンス 2012年1月12日. 2016年8月15日閲覧。 University of California San Francisco Medical Center 2012年12月6日. 2016年8月15日閲覧。 Abrams, D I; Couey, P; Shade, S B; Kelly, M E; Benowitz, N L 2011. pdf. Megan Brooks 2011年12月13日. Medscape. 2016年8月15日閲覧。 ; Saloner, Brendan; Cunningham, Chinazo O. ; Barry, Colleen L. 2014-08. JAMA Internal Medicine. Russ Belville 2017年11月3日. 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