夜明け ブラン ニュー デイ。 melowdeux / 夜明け前

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夜明け ブラン ニュー デイ

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ミス・ブランニュー・デイ

夜明け ブラン ニュー デイ

日曜日、会社を出て新橋から茅ヶ崎へ帰る東海道線の中で空がピンク色に染まってゆくのをずっと見ていた。 19時半まで明るかった日々は過ぎ去った。 18時だというのにうっすらともう世界は藍色になってしまった。 雲の奥にオレンジ色とピンク色が織り混ざっていて、なんだかしんみりした。 電車の中の人達は皆一様に携帯を見たり友人と話したり目をつぶっていて窓の外の色に気づいてない。 気づいていても興味がないみたいだ。 こんな、わかりやすく夏の終わりの空なのに。 季節が目まぐるしくまわって、もう一周する。 いつから一周か。 私が1人になってからだ。 泣きじゃくる日々からもう1年もたった。 あっという間にすぎた。 19の時から恋人がいなかった時期がほとんどがなかった。 だからこんなにも1人でいることが穏やかで、気楽で、寂しいものだなんて思っていなかった。 別れた恋人の匂いも声色も忘れた。 忘れたのに私はまだ悲劇のヒロインの気分が抜けないままだ。 まぁ私の人生の主役は私なので、悲劇のヒロインなのも許してほしい。 早く喜劇にしたい。 そう思いながらもやはりセンチメンタルな気分のほうが夏はよかった。 花火も、海も、波待ちも。 友人と飲むレモンサワー、氷がとけたカフェラテ、店の中から見る窓の外の空のコントラスト、車の助手席から見る流れる海岸線、犬と寝る日曜日の午後4時。 物語には湿度があったほうがなんだか安心できる。 人間らしいだろう、と。 そうやって泣き腫らして冬を越して、一歩前に進もうと夏に終わりを告げて、そうして1年を迎えた。 私はやっぱり区切りを大事にしすぎるふしがある。 どうせすぐ彼氏ができる、と皆に言われた。 私もどうせすぐ誰かと恋に落ちると思っていた。 誤算だった。 人生でこんなに新しい男の人と出会う事があるのかと思うぐらい新しい出会いがあったのに、ただ母数が増えただけでそこにロマンスはなにもなかった。 なにもなかったわけではないけど、結果にならなかったのだからゼロだった。 ぼやけた朝をむかえたり、酔っ払ってキスをせがんだり、待ち合わせしてデートをしたり、ラインがきたら嬉しかったりもしたけどそれは今の私からしたらすべてゼロだ。 33歳という年齢が妙に心地よいときもあれば、もっと若ければと不憫に思った夜もあった。 好きだから、だけで付き合いはじめることすらままならないなんとも絶妙な年齢を生きて、これから数年はきっとまとわりつく年と周りの環境に居心地の悪さを感じる事が多くなるのだろう。 もう甘い言葉に泣くことも、セックスしただけで感情が高ぶることもなくなった。 すり減らさない代わりに満たされることもなくなった。 こうやってつまらない女になるのだけはごめんだと思っていたのに。 諦めることも手放すこともできず、しがみつくのも格好悪い。 子供を産んだ友人や、結婚していく同年代を尻目に毎日を生きていく。 1人ということを受け入れながら。 それがなんてことないって顔して、実は人一倍気にしながら。 結婚願望なんか1ミリもないくせに、1人でいることは心もとない。 それでも少しずつ1人に慣れて。 パーソナルスペースは年々狭まって。 こないだ日本橋で知り合いが飲んでいたときにその場に居た髪の長い1つ年下の男の人は、細いタバコを吸いながら笑った目尻にシワが寄って私はその笑顔に一目惚れしてしまった。 哀愁があるな、と思ったら離婚したてだった。 彼は「離婚は消耗する」と言った。 「また結婚したいと思う?」と聞くと「ももちゃーん、その話題今ダメだよ」と友人が遮った。 彼は笑って「そうだね、今はだめだね」と友人の言葉を繰り返した。 彼とはまた週末に飲む約束があるけど、忘れまいとして目に焼き付けた綺麗な横顔も忘れてしまった。 高い鼻、薄情そうな薄い唇、ゆるやかにうねった綺麗な長い髪。 耳に響く低い心地のいい声と、私を見る時に右側だけ上がる眉毛。 意地悪そうな目。 パーツは思い出せるのに全体像が描けない。 愚かな私の記憶力よ。 いろんな男の人を綱渡りして、久しぶりの好きな人だ。 1年かかった。 ラインがくるだけで嬉しい。 会う予定がきまるのはもっと嬉しい。 負け戦とわかっていながら会うのは寂しい。 それでも会う日はいつもより長い時間をかけて化粧をする。 ドキドキを隠して車にのりこむ、いつだってそうだ。 緊張して、泣きそうになってしまう。 名前を呼ばれて手に汗をかいてしまう。 目を合わせられず、こっちを見てない時に盗み見る横顔。 ああ、一丁前に女じゃないか、と笑いそうになる。 この1年、大人気なくもようやく寂しさに慣れた。 こんなもんか、と思う時期とやはり寂しいを再確認しながらも。 この1年、男の人がいなくてもぶれない土台を作るべく仕事を増やし、絵を描くようにし、いろんなものに触れて、たくさんの人と会った。 人や物事をジャッジしないと決めて、PMSと戦いなるべく毎日機嫌よく生きた。 あれからほとんど泣いてない。 少しだけ穏やかになれた気がする。 東京を走り回り、へとへとになって終電に乗る平日。 絵を描いて、文字を連ねて、波を選び、犬を撫で、友人と笑いを交わす休日。 たまに誰かの体温を感じながら、季節は巡る。 また冬がきて、また歳を重ねる。 目尻のシワを深くして。 それがいいねって言ってくれる人を待ちわびながら。 すり減らした自信を埋める土台を作りながら。

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佐野元春 だいじょうぶ、と彼女は言った 歌詞

夜明け ブラン ニュー デイ

日曜日、会社を出て新橋から茅ヶ崎へ帰る東海道線の中で空がピンク色に染まってゆくのをずっと見ていた。 19時半まで明るかった日々は過ぎ去った。 18時だというのにうっすらともう世界は藍色になってしまった。 雲の奥にオレンジ色とピンク色が織り混ざっていて、なんだかしんみりした。 電車の中の人達は皆一様に携帯を見たり友人と話したり目をつぶっていて窓の外の色に気づいてない。 気づいていても興味がないみたいだ。 こんな、わかりやすく夏の終わりの空なのに。 季節が目まぐるしくまわって、もう一周する。 いつから一周か。 私が1人になってからだ。 泣きじゃくる日々からもう1年もたった。 あっという間にすぎた。 19の時から恋人がいなかった時期がほとんどがなかった。 だからこんなにも1人でいることが穏やかで、気楽で、寂しいものだなんて思っていなかった。 別れた恋人の匂いも声色も忘れた。 忘れたのに私はまだ悲劇のヒロインの気分が抜けないままだ。 まぁ私の人生の主役は私なので、悲劇のヒロインなのも許してほしい。 早く喜劇にしたい。 そう思いながらもやはりセンチメンタルな気分のほうが夏はよかった。 花火も、海も、波待ちも。 友人と飲むレモンサワー、氷がとけたカフェラテ、店の中から見る窓の外の空のコントラスト、車の助手席から見る流れる海岸線、犬と寝る日曜日の午後4時。 物語には湿度があったほうがなんだか安心できる。 人間らしいだろう、と。 そうやって泣き腫らして冬を越して、一歩前に進もうと夏に終わりを告げて、そうして1年を迎えた。 私はやっぱり区切りを大事にしすぎるふしがある。 どうせすぐ彼氏ができる、と皆に言われた。 私もどうせすぐ誰かと恋に落ちると思っていた。 誤算だった。 人生でこんなに新しい男の人と出会う事があるのかと思うぐらい新しい出会いがあったのに、ただ母数が増えただけでそこにロマンスはなにもなかった。 なにもなかったわけではないけど、結果にならなかったのだからゼロだった。 ぼやけた朝をむかえたり、酔っ払ってキスをせがんだり、待ち合わせしてデートをしたり、ラインがきたら嬉しかったりもしたけどそれは今の私からしたらすべてゼロだ。 33歳という年齢が妙に心地よいときもあれば、もっと若ければと不憫に思った夜もあった。 好きだから、だけで付き合いはじめることすらままならないなんとも絶妙な年齢を生きて、これから数年はきっとまとわりつく年と周りの環境に居心地の悪さを感じる事が多くなるのだろう。 もう甘い言葉に泣くことも、セックスしただけで感情が高ぶることもなくなった。 すり減らさない代わりに満たされることもなくなった。 こうやってつまらない女になるのだけはごめんだと思っていたのに。 諦めることも手放すこともできず、しがみつくのも格好悪い。 子供を産んだ友人や、結婚していく同年代を尻目に毎日を生きていく。 1人ということを受け入れながら。 それがなんてことないって顔して、実は人一倍気にしながら。 結婚願望なんか1ミリもないくせに、1人でいることは心もとない。 それでも少しずつ1人に慣れて。 パーソナルスペースは年々狭まって。 こないだ日本橋で知り合いが飲んでいたときにその場に居た髪の長い1つ年下の男の人は、細いタバコを吸いながら笑った目尻にシワが寄って私はその笑顔に一目惚れしてしまった。 哀愁があるな、と思ったら離婚したてだった。 彼は「離婚は消耗する」と言った。 「また結婚したいと思う?」と聞くと「ももちゃーん、その話題今ダメだよ」と友人が遮った。 彼は笑って「そうだね、今はだめだね」と友人の言葉を繰り返した。 彼とはまた週末に飲む約束があるけど、忘れまいとして目に焼き付けた綺麗な横顔も忘れてしまった。 高い鼻、薄情そうな薄い唇、ゆるやかにうねった綺麗な長い髪。 耳に響く低い心地のいい声と、私を見る時に右側だけ上がる眉毛。 意地悪そうな目。 パーツは思い出せるのに全体像が描けない。 愚かな私の記憶力よ。 いろんな男の人を綱渡りして、久しぶりの好きな人だ。 1年かかった。 ラインがくるだけで嬉しい。 会う予定がきまるのはもっと嬉しい。 負け戦とわかっていながら会うのは寂しい。 それでも会う日はいつもより長い時間をかけて化粧をする。 ドキドキを隠して車にのりこむ、いつだってそうだ。 緊張して、泣きそうになってしまう。 名前を呼ばれて手に汗をかいてしまう。 目を合わせられず、こっちを見てない時に盗み見る横顔。 ああ、一丁前に女じゃないか、と笑いそうになる。 この1年、大人気なくもようやく寂しさに慣れた。 こんなもんか、と思う時期とやはり寂しいを再確認しながらも。 この1年、男の人がいなくてもぶれない土台を作るべく仕事を増やし、絵を描くようにし、いろんなものに触れて、たくさんの人と会った。 人や物事をジャッジしないと決めて、PMSと戦いなるべく毎日機嫌よく生きた。 あれからほとんど泣いてない。 少しだけ穏やかになれた気がする。 東京を走り回り、へとへとになって終電に乗る平日。 絵を描いて、文字を連ねて、波を選び、犬を撫で、友人と笑いを交わす休日。 たまに誰かの体温を感じながら、季節は巡る。 また冬がきて、また歳を重ねる。 目尻のシワを深くして。 それがいいねって言ってくれる人を待ちわびながら。 すり減らした自信を埋める土台を作りながら。

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