樽商 まなば。 Full text of

4文字: 書作品と漢語集

樽商 まなば

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従来の取り組みの問題点

樽商 まなば

岩波文庫に収めた北越雪譜は 不図 ( はからず )も読書子の称賛を得て、昨年三月には第二刷を発行し、 茲 ( ここ )にまた第三刷を発行するに至つたのは校訂子の欣喜に堪へないところである。 第二刷のときも、註解に若干の増補を為したが、今回は本書の完璧を期する為めに、書中の挿画全部を天保の初版によつてやり直した、雪譜初版刊行の年月に就ては、判然としない点がある、岩波文庫版の解説には、初篇の一を天保六年としたのは、京山の序文の年号をとつたのであり、初篇の三の発行の年月を天保七年としたのは奥附によつたものである、勿論初篇の一が天保六年に出版されたと云ふ確証はないが、とも角も天保六年か七年の頃に世に出たものと思ふ、これは 偏 ( ひとへ )に識者の高教を待つ。 此挙梓行の為にせざれば図に洪繊重復あり、今梓に臨て其図の過半を省き、目を新にするものを存して巻中に夾刺するは単冊に尽し難を以て也。 余嘗て原図を閲するに、雪中の諸状混錯を走墨に失して通暁し難きもの靴中の瘡痒これを何如せん、唯翁が草図に傚ひて真に描せる而已。 或原図の梓に入るものは則これを加ふ、或は説有て図無きもの其説に拠て其図を作りしもあり。 盖余未だ越地を踏ず、越雪の真景に於て茫然たり、故に雪図に於て違漏あるも知るべからず、其誤を編者に駆ること勿れ。 露 ( つゆ )は 地気 ( ちき )の 粒珠 ( りふしゆ )する 所 ( ところ )、 霜 ( しも )は地気の 凝結 ( ぎようけつ )する所、 冷気 ( れいき )の 強弱 ( つよきよわき )によりて 其形 ( そのかたち )を 異 ( こと )にするのみ。 水は地の 全体 ( ぜんたい )なれば 元 ( もと )の地に 皈 ( かへる )なり。 地中 ( ちちゆう ) 深 ( ふか )ければかならず 温気 ( あたゝかなるき )あり、 地 ( ち ) 温 ( あたゝか )なるを 得 ( え )て 気 ( き )を 吐 ( はき )、天に 向 ( むかひ )て 上騰 ( のぼる )事人の 気息 ( いき )のごとく、 昼夜 ( ちうや ) 片時 ( かたとき )も 絶 ( たゆ )る事なし。 天も又気を 吐 ( はき )て地に 下 ( くだ )す、 是 ( これ )天地の 呼吸 ( こきふ )なり。 人の 呼 ( でるいき )と 吸 ( ひくいき )とのごとし。 天地 呼吸 ( こきふ )して 万物 ( ばんぶつ )を 生育 ( そだつる )也。 天に九ツの 段 ( だん )あり、これを 九天 ( きうてん )といふ。 九段 ( くだん )の内 最 ( もつとも )地に 近 ( ちか )き所を 太陰天 ( たいいんてん )といふ。 (地を 去 ( さ )る事高さ四十八万二千五百里といふ)太陰天と地との 間 ( あひだ )に三ツの 際 ( へだて )あり、天に 近 ( ちかき )を 熱際 ( ねつさい )といひ、中を 冷際 ( れいさい )といひ、地に 近 ( ちかき )を 温際 ( をんさい )といふ。 地気は 冷際 ( れいさい )を 限 ( かぎ )りとして 熱際 ( ねつさい )に 至 ( いた )らず、 冷温 ( れいをん )の二 段 ( だん )は地を 去 ( さ )る事甚だ 遠 ( とほ )からず。 富士山は 温際 ( をんさい )を 越 ( こえ )て 冷際 ( れいさい )にちかきゆゑ、 絶頂 ( ぜつてう )は 温気 ( あたゝかなるき ) 通 ( つう )ぜざるゆゑ 艸木 ( くさき )を 生 ( しやう )ぜず。 夏も 寒 ( さむ )く 雷鳴 ( かみなり ) 暴雨 ( ゆふだち )を 温際 ( をんさい )の下に見る。 (雷と夕立はをんさいのからくり也)雲は 地中 ( ちちゆう )の 温気 ( をんき )より 生 ( しやう )ずる物ゆゑに其 起 ( おこ )る 形 ( かたち )は 湯気 ( ゆげ )のごとし、水を 沸 ( わかし )て 湯気 ( ゆげ )の 起 ( たつ )と同じ事也。 雲 ( くも ) 温 ( あたゝか )なる気を以て天に 升 ( のぼ )り、かの 冷際 ( れいさい )にいたれば 温 ( あたゝか )なる 気 ( き ) 消 ( きえ )て雨となる、 湯気 ( ゆげ )の 冷 ( ひえ )て 露 ( つゆ )となるが 如 ( ごと )し。 (冷際にいたらざれば雲散じて雨をなさず)さて 雨露 ( あめつゆ )の 粒珠 ( つぶだつ )は天地の気中に 在 ( あ )るを以て也。 艸木の 実 ( み )の 円 ( まろき )をうしなはざるも気中に 生 ( しやう )ずるゆゑ也。 雲 冷際 ( れいさい )にいたりて雨とならんとする時、 天寒 ( てんかん )甚しき時は 雨 ( あめ ) 氷 ( こほり )の 粒 ( つぶ )となりて 降 ( ふ )り 下 ( くだ )る。 天寒の 強 ( つよき )と 弱 ( よわき )とによりて 粒珠 ( つぶ )の大小を 為 ( な )す、 是 ( これ )を 霰 ( あられ )とし 霙 ( みぞれ )とす。 ( 雹 ( ひよう )は夏ありその 弁 ( べん )こゝにりやくす)地の 寒 ( かん ) 強 ( つよ )き時は 地気 ( ちき ) 形 ( かたち )をなさずして天に 升 ( のぼ )る 微温湯気 ( ぬるきゆげ )のごとし。 天の 曇 ( くもる )は是也。 地気 上騰 ( のぼる )こと多ければ 天 ( てん ) 灰色 ( ねずみいろ )をなして雪ならんとす。 曇 ( くもり )たる 雲 ( くも ) 冷際 ( れいさい )に 到 ( いた )り 先 ( まづ )雨となる。 此時冷際の寒気雨を 氷 ( こほら )すべき 力 ( ちから )たらざるゆゑ 花粉 ( くわふん )を 為 ( な )して 下 ( くだ )す、 是 ( これ ) 雪 ( ゆき )也。 地寒 ( ちかん )のよわきとつよきとによりて 氷 ( こほり )の 厚 ( あつき )と 薄 ( うすき )との 如 ( ごと )し。 天に 温冷熱 ( をんれいねつ )の三 際 ( さい )あるは、人の 肌 ( はだへ )は 温 ( あたゝか )に 肉 ( にく )は 冷 ( ひやゝ )か 臓腑 ( ざうふ )は 熱 ( ねつ )すると 同 ( おな )じ 道理 ( だうり )也。 是 ( これ ) 余 ( よ )が 発明 ( はつめい )にあらず 諸書 ( しよしよ )に 散見 ( さんけん )したる 古人 ( こじん )の 説 ( せつ )也。 凡 ( およそ )物を 視 ( み )るに 眼力 ( がんりき )の 限 ( かぎ )りありて 其外 ( そのほか )を視るべからず。 されば人の 肉眼 ( にくがん )を以雪をみれば 一片 ( ひとひら )の 鵞毛 ( がまう )のごとくなれども、 数 ( す )十百 片 ( へん )の 雪花 ( ゆき )を 併合 ( よせあはせ )て一 片 ( へん )の鵞毛を 為 ( なす )也。 是を 験微鏡 ( むしめがね )に 照 ( てら )し 視 ( み )れば、 天造 ( てんざう )の細工したる雪の 形状 ( かたち ) 奇々 ( きゝ )妙々なる事下に 図 ( づ )するが 如 ( ごと )し。 其形 ( そのかたち )の 斉 ( ひとし )からざるは、かの 冷際 ( れいさい )に於て雪となる時冷際の 気運 ( きうん )ひとしからざるゆゑ、雪の 形 ( かたち ) 気 ( き )に 応 ( おう )じて 同 ( おな )じからざる也。 しかれども 肉眼 ( にくがん )のおよばざる 至微物 ( こまかきもの )ゆゑ、 昨日 ( きのふ )の 雪 ( ゆき )も 今日 ( けふ )の雪も一 望 ( ばう )の 白糢糊 ( はくもこ )を 為 ( なす )のみ。 下の 図 ( づ )は天保三年 許鹿君 ( きよろくくん ) *1の 高撰雪花図説 ( かうせんせつくわづせつ )に 在 ( あ )る 所 ( ところ )、 雪花 ( せつくわ )五十五 品 ( ひん )の内を 謄写 ( すきうつし )にす。 雪 ( ゆき ) 六出 ( りくしゆつ )を 為 ( なす )。 御 説 ( せつ )に 曰 ( いはく )「 凡 ( およそ ) 物 ( もの ) 方体 ( はうたい )は (四角なるをいふ) 必 ( かならず )八を以て一を 囲 ( かこ )み 円体 ( ゑんたい )は (丸をいふ)六を以て一を 囲 ( かこ )む 定理 ( ぢやうり )中の 定数 ( ぢやうすう ) 誣 ( しふ )べからず」云々。 雪を 六 ( むつ )の 花 ( はな )といふ事 御 説 ( せつ )を以しるべし。 愚 ( ぐ ) 按 ( あんずる )に 円 ( まろき )は天の正 象 ( しやう )、 方 ( かく )は地の 実位 ( じつゐ )也。 是天地 方円 ( はうゑん )の 間 ( あひだ )に 生育 ( そだつ )ゆゑに、天地の 象 ( かたち )をはなれざる事子の親に 似 ( に )るに相同じ。 雪の 六出 ( りくしゆつ )する 所以 ( ゆゑん )は、 物 ( もの )の 員 ( かず ) 長数 ( ちやうすう )は 陰 ( いん ) 半数 ( はんすう )は 陽 ( やう )也。 (男根なく両乳あり)九は 半 ( はん )の 陽 ( やう )十は長の 陰 ( いん )也。 しかれども陰陽和合して人を 為 ( なす )ゆゑ、男に無用の 両乳 ( りやうちゝ )ありて女の陰にかたどり、女に 不要 ( ふよう )の 陰舌 ( いんぜつ )ありて男にかたどる。 気中に 活動 ( はたらく ) 万物 ( ばんぶつ )此 理 ( り )に 漏 ( もる )る事なし。 雪は 活物 ( いきたるもの )にあらざれども 変 ( へん )ずる 所 ( ところ )に 活動 ( はたらき )の気あるゆゑに、 六出 ( りくしゆつ )したる 形 ( かたち )の 陰中 ( いんちゆう )或は 陽 ( やう )に 象 ( かたど )る 円形 ( まろきかたち )を 具 ( ぐ )したるもあり。 水は 極陰 ( ごくいん )の物なれども 一滴 ( ひとしづく )おとす時はかならず 円形 ( ゑんけい )をなす。 落 ( おつ )るところに 活 ( はたら )く 萌 ( きざし )あるゆゑに陰にして陽の 円 ( まろき )をうしなはざる也。 天地気中の 機関 ( からくり ) 定理定格 ( ぢやうりぢやうかく )ある事 奇々 ( きゝ ) 妙々 ( めう/\ ) 愚筆 ( ぐひつ )に 尽 ( つく )しがたし。 左伝に (隠公八年) 平地 ( へいち ) 尺 ( しやく )に 盈 ( みつる )を大雪と 為 ( す )と 見 ( み )えたるは 其国 ( そのくに ) 暖地 ( だんち )なれば也。 唐 ( たう )の 韓愈 ( かんゆ )が雪を 豊年 ( ほうねん )の 嘉瑞 ( かずゐ )といひしも 暖国 ( だんこく )の 論 ( ろん )也。 されど 唐土 ( もろこし )にも寒国は八月雪 降 ( ふる )事 五雑組 ( ござつそ )に見えたり。 暖国の雪一尺以下ならば 山川村里 ( さんせんそんり ) 立地 ( たちどころ )に 銀世界 ( ぎんせかい )をなし、雪の 飄々 ( へう/\ ) 翩々 ( へん/\ )たるを 観 ( み )て花に 諭 ( たと )へ玉に 比 ( くら )べ、 勝望美景 ( しようばうびけい )を 愛 ( あい )し、 酒食 ( しゆしよく ) 音律 ( おんりつ )の 楽 ( たのしみ )を 添 ( そ )へ、 画 ( ゑ )に 写 ( うつ )し 詞 ( ことば )につらねて 称翫 ( しようくわん )するは 和漢 ( わかん )古今の 通例 ( つうれい )なれども、 是 ( これ )雪の 浅 ( あさ )き 国 ( くに )の 楽 ( たのし )み也。 我 ( わが )越後のごとく 年毎 ( としごと )に 幾丈 ( いくぢやう )の雪を 視 ( み )ば 何 ( なん )の 楽 ( たのし )き事かあらん。 雪の 為 ( ため )に 力 ( ちから )を 尽 ( つく )し 財 ( ざい )を 費 ( つひや )し千 辛 ( しん )万 苦 ( く )する事、 下 ( しも )に 説 ( と )く 所 ( ところ )を 視 ( み )ておもひはかるべし。 我国の 雪意 ( ゆきもよひ )は 暖国 ( だんこく )に 均 ( ひと )しからず。 およそ九月の 半 ( なかば )より霜を 置 ( おき )て寒気 次第 ( しだい )に 烈 ( はげし )く、九月の末に 至 ( いたれ )ば 殺風 ( さつふう ) 肌 ( はだへ )を 侵入 ( をかし )て 冬枯 ( ふゆがれ )の 諸木 ( しよぼく ) 葉 ( は )を 落 ( おと )し、 天色 ( てんしよく ) 霎 ( せふ/\ )として日の 光 ( ひかり )を 看 ( み )ざる事 連日 ( れんじつ )是雪の 意 ( もよほし )也。 天気 朦朧 ( もうろう )たる事 数日 ( すじつ )にして 遠近 ( ゑんきん )の 高山 ( かうざん )に 白 ( はく )を 点 ( てん )じて雪を 観 ( み )せしむ。 これを 里言 ( さとことば )に 嶽廻 ( たけまはり )といふ。 又 海 ( うみ )ある所は 海鳴 ( うみな )り、山ふかき処は山なる、遠雷の如し。 これを里言に 胴鳴 ( どうな )りといふ。 これを見これを 聞 ( きゝ )て、雪の 遠 ( とほ )からざるをしる。 年の 寒暖 ( かんだん )につれて 時日 ( じじつ )はさだかならねど、 たけまはり・ どうなりは秋の 彼岸 ( ひがん ) 前後 ( ぜんご )にあり、 毎年 ( まいねん )かくのごとし。 前 ( まへ )にいへるがごとく、雪 降 ( ふら )んとするを 量 ( はか )り、雪に 損 ( そん )ぜられぬ 為 ( ため )に 屋上 ( やね )に 修造 ( しゆざう )を 加 ( くは )へ、 梁 ( うつばり ) 柱 ( はしら ) 廂 ( ひさし ) (家の前の 屋翼 ( ひさし )を 里言 ( りげん )に らうかといふ、すなはち 廊架 ( らうか )なり)其外すべて 居室 ( きよしつ )に 係 ( かゝ )る所 力 ( ちから ) 弱 ( よわき )はこれを 補 ( おぎな )ふ。 雪に 潰 ( つぶさ )れざる 為 ( ため )也。 庭樹 ( にはき )は大小に 随 ( したが )ひ 枝 ( えだ )の 曲 ( まぐ )べきはまげて 縛束 ( しばりつけ )、 椙丸太 ( すぎまるた )又は竹を 添 ( そ )へ 杖 ( つゑ )となして 枝 ( えだ )を 強 ( つよ )からしむ。 雪 折 ( をれ )をいとへば也。 冬草 ( ふゆくさ )の 類 ( るゐ )は 菰筵 ( こもむしろ )を以 覆 ( おほ )ひ 包 ( つゝ )む。 井戸は小屋を 懸 ( かけ )、 厠 ( かはや )は雪中其物を 荷 ( になは )しむべき 備 ( そなへ )をなす。 雪中には一 点 ( てん )の 野菜 ( やさい )もなければ 家内 ( かない )の 人数 ( にんず )にしたがひて、雪中の 食料 ( しよくれう )を 貯 ( たくは )ふ。 暖国 ( だんこく )の人の雪を 賞翫 ( しやうくわん )するは前にいへるがごとし。 江戸には雪の 降 ( ふら )ざる年もあれば、初雪はことさらに 美賞 ( びしやう )し、雪見の 船 ( ふね )に 哥妓 ( かぎ )を 携 ( たづさ )へ、雪の 茶 ( ちや )の 湯 ( ゆ )に 賓客 ( ひんかく )を 招 ( まね )き、 青楼 ( せいろう )は雪を 居続 ( ゐつゞけ )の 媒 ( なかだち )となし、 酒亭 ( しゆてい )は雪を 来客 ( らいかく )の 嘉瑞 ( かずゐ )となす。 雪を 賞 ( しやう )するの 甚 ( はなはだ )しきは 繁花 ( はんくわ )のしからしむる所也。 雪国の人これを見、これを 聞 ( きゝ )て 羨 ( うらやま )ざるはなし。 我国の初雪を以てこれに 比 ( くらぶ )れば、 楽 ( たのしむ )と 苦 ( くるしむ )と 雲泥 ( うんでい )のちがひ也。 そも/\越後国は北方の 陰地 ( いんち )なれども 一国 ( いつこく )の内 陰陽 ( いんやう )を 前後 ( ぜんご )す。 いかんとなれば天は西北にたらず、ゆゑに西北を 陰 ( いん )とし、地は東南に 足 ( たら )ず、ゆゑに東南を 陽 ( やう )とす。 越後の地勢は、西北は大海に 対 ( たい )して陽気也。 東南は 高山 ( かうざん ) 連 ( つらな )りて陰気也。 ゆゑに西北の 郡村 ( ぐんそん )は雪 浅 ( あさ )く、東南の 諸邑 ( しよいふ )は雪 深 ( ふか )し。 是 ( いんやう )の 前後 ( ぜんご )したるに 似 ( に )たり。 (冬は日南の方を 周 ( めぐる )ゆゑ北国はます/\寒し、家の内といへども北は寒く南はあたゝかなると同じ道理也)我国 初雪 ( はつゆき )を 視 ( み )る事 遅 ( おそき )と 速 ( はやき )とは、 其年 ( そのとし )の 気運 ( きうん ) 寒暖 ( かんだん )につれて 均 ( ひとし )からずといへども、およそ初雪は九月の 末 ( すゑ )十月の 首 ( はじめ )にあり。 我国の雪は 鵞毛 ( がまう )をなさず、 降時 ( ふるとき )はかならず 粉砕 ( こまかき )をなす、風又これを 助 ( たす )く。 故 ( ゆゑ )に一 昼夜 ( ちうや )に 積所 ( つもるところ )六七尺より一丈に 至 ( いた )る時もあり、 往古 ( むかし )より 今年 ( ことし )にいたるまで此雪此国に 降 ( ふら )ざる事なし。 されば 暖国 ( だんこく )の人のごとく初雪を 観 ( み )て 吟詠 ( ぎんえい ) 遊興 ( いうきよう )のたのしみは 夢 ( ゆめ )にもしらず、 今年 ( ことし )も又此 雪中 ( ゆきのなか )に 在 ( あ )る事かと雪を 悲 ( かなしむ )は 辺郷 ( へんきやう )の 寒国 ( かんこく )に 生 ( うまれ )たる不幸といふべし。 雪を 観 ( み )て 楽 ( たのし )む人の 繁花 ( はんくわ )の 暖地 ( だんち )に 生 ( うまれ )たる天幸を 羨 ( うらやま )ざらんや。 余 ( よ )が 隣宿 ( りんしゆく )六日町の俳友天吉老人の 話 ( はなし )に、 妻有庄 ( つまありのしやう )にあそびし 頃 ( ころ ) 聞 ( きゝ )しに、 千隈 ( ちくま )川の 辺 ( ほとり )の 雅 ( が )人、 初雪 ( しよせつ )より (天保五年をいふ)十二月廿五日までの 間 ( あひだ )、雪の 下 ( くだ )る 毎 ( ごと )に用意したる所の雪を 尺 ( しやく )をもつて 量 ( はか )りしに *2、雪の 高 ( たか )さ十八丈ありしといへりとぞ。 此話 ( このはなし )雪国の人すら 信 ( しん )じがたくおもへども、つら/\ 思量 ( おもひはかる )に、十月の初雪より十二月廿五日までおよその 日数 ( ひかず )八十日の 間 ( あひだ )に五尺づゝの雪ならば、廿四丈にいたるべし。 随 ( したがつ )て 下 ( ふれ )ば 随 ( したがつ )て 掃 ( はら )ふ 処 ( ところ )は 積 ( つん )で見る事なし。 又地にあれば 減 ( へり )もする也。 かれをもつて是をおもへば、我国の 深山幽谷 ( しんざんいうこく )雪の 深 ( ふかき )事はかりしるべからず。 天保五年は我国近年の大雪なりしゆゑ、右の 話 ( はなし ) 誣 ( し )ふべからず。 高田 ( たかた )御 城 ( しろ )大手先の 広場 ( ひろば )に、木を 方 ( かく )に 削 ( けづ )り尺を 記 ( しる )して 建 ( たて )給ふ、是を雪 竿 ( さを )といふ。 長一丈也。 雪の 深浅 ( しんせん ) 公税 ( こうぜい )に 係 ( かゝ )るを以てなるべし。 高田の 俳友 ( はいいう ) 楓石子 ( ふうせきし )よりの 書翰 ( しよかん )に (天保五年の仲冬)雪竿を見れば当地の雪此 節 ( せつ )一丈に 余 ( あま )れりといひ 来 ( きた )れり。 雪竿といへば越後の 事 ( こと )として 俳句 ( はいく )にも見えたれど、此国に於て高田の外 无用 ( むよう )の雪 竿 ( さを )を 建 ( たつ )る 処 ( ところ )昔はしらず今はなし。 風雅 ( ふうが )をもつて我国に 遊 ( あそ )ぶ人、雪中を 避 ( さけ )て三 夏 ( か )の 頃 ( ころ )此地を 踏 ( ふむ )ゆゑ、 越路 ( こしぢ )の雪をしらず。 然 ( しか )るに 越路 ( こしぢ )の雪を 言 ( こと )の 葉 ( は )に 作意 ( つくる )ゆゑたがふ事ありて、我国の心には 笑 ( わら )ふべきが 多 ( おほ )し。 雪を 掃 ( はら )ふは 落花 ( らくくわ )をはらふに 対 ( つゐ )して 風雅 ( ふうが )の一ツとし、 和漢 ( わかん )の 吟咏 ( ぎんえい )あまた見えたれども、かゝる大雪をはらふは 風雅 ( ふうが )の 状 ( すがた )にあらず。 初雪 ( はつゆき )の 積 ( つも )りたるをそのまゝにおけば、 再 ( ふたゝ )び 下 ( ふ )る雪を添へて一丈にあまる事もあれば、一 度 ( ど ) 降 ( ふれ )ば一度 掃 ( はら )ふ (雪浅ければのちふるをまつ) 是 ( これ )を 里言 ( さとことば )に 雪掘 ( ゆきほり )といふ。 土 ( つち )を 掘 ( ほる )がごとくするゆゑに 斯 ( かく )いふ也。 掘 ( ほら )ざれば家の用 路 ( ろ )を 塞 ( ふさ )ぎ 人家 ( じんか )を 埋 ( うづめ )て人の 出 ( いづ )べき 処 ( ところ )もなく、 力強 ( ちからつよき )家も 幾万斤 ( いくまんきん )の雪の 重量 ( おもさ )に 推砕 ( おしくだかれ )んをおそるゝゆゑ、家として雪を 掘 ( ほら )ざるはなし。 掘 ( ほ )るには木にて 作 ( つく )りたる 鋤 ( すき )を 用 ( もち )ふ、 里言 ( りげん )に こすきといふ、 則 ( すなはち ) 木鋤 ( こすき )也。 椈 ( ぶな )といふ木をもつて作る、 木質 ( きのしやう ) 軽強 ( ねばく )して 折 ( をる )る事なく 且 ( かつ ) 軽 ( かろ )し、 形 ( かたち )は鋤に 似 ( に )て 刃 ( は ) 広 ( ひろ )し。 雪中 第 ( だい )一の 用具 ( ようぐ )なれば、山中の人これを作りて 里 ( さと )に 売 ( うる )、 家毎 ( いへごと )に 貯 ( たくはへ )ざるはなし。 雪を 掘 ( ほ )る 状態 ( ありさま )は 図 ( づ )にあらはしたるが 如 ( ごと )し。 掘たる雪は 空地 ( あきち )の、人に 妨 ( さまたげ )なき 処 ( ところ )へ山のごとく 積 ( つみ )上る、これを 里言 ( りげん )に 掘揚 ( ほりあげ )といふ。 大家は 家夫 ( わかいもの )を 尽 ( つく )して 力 ( ちから )たらざれば 掘夫 ( ほりて )を 傭 ( やと )ひ、 幾 ( いく )十人の力を 併 ( あはせ )て一時に 掘尽 ( ほりつく )す。 事 ( こと )を 急 ( きふ )に 為 ( な )すは 掘 ( ほ )る内にも大雪 下 ( くだ )れば 立地 ( たちどころ )に 堆 ( うづたか )く人力におよばざるゆゑ也。 ( 掘 ( ほ )る処 図 ( づ )には 人数 ( にんず )を略してゑがけり)右は 大家 ( たいか )の事をいふ、小家の 貧 ( まづ )しきは 掘夫 ( ほりて )をやとふべきも 費 ( つひえ )あれば男女をいはず一家雪をほる。 吾里にかぎらず雪ふかき処は 皆 ( みな ) 然 ( しか )なり。 此雪いくばくの 力 ( ちから )をつひやし、いくばくの銭を 費 ( つひや )し、 終日 ( しゆうじつ )ほりたる 跡 ( あと )へその夜大雪 降 ( ふ )り 夜 ( よ ) 明 ( あけ )て見れば 元 ( もと )のごとし。 かゝる時は 主人 ( あるじ )はさら也、 下人 ( しもべ )も 頭 ( かしら )を 低 ( たれ )て 歎息 ( ためいき )をつくのみ也。 大抵 ( たいてい )雪ふるごとに 掘 ( ほる )ゆゑに、 里言 ( りげん )に一 番掘 ( ばんぼり )二番掘といふ。 春の雪は 消 ( きえ )やすきをもつて 沫雪 ( あわゆき )といふ。 和漢 ( わかん )の春雪 消 ( きえ )やすきを 詩哥 ( しいか )の 作為 ( さくい )とす、 是 ( これ ) 暖国 ( だんこく )の事也、寒国の雪は 冬 ( ふゆ )を 沫雪 ( あわゆき )ともいふべし。 いかんとなれば冬の雪はいかほどつもりても 凝凍 ( こほりかたまる )ことなく、 脆弱 ( やはらか )なる事 淤泥 ( どろ )のごとし。 故 ( かるがゆゑ )に冬の雪中は 橇 ( かんじき )・ 縋 ( すかり )を 穿 ( はき )て 途 ( みち )を 行 ( ゆく )。 里言 ( りげん )には雪を 漕 ( こぐ )といふ。 水を 渉 ( わた )る 状 ( すがた )に 似 ( に )たるゆゑにや、又 深田 ( ふかた )を 行 ( ゆく )すがたあり。 (すべらざるために 下駄 ( げた )の 歯 ( は )にくぎをうちて用ふ) 暖国 ( だんこく )の 沫雪 ( あわゆき )とは 気運 ( きうん )の 前後 ( ぜんご )かくのごとし。 冬の雪は 脆 ( やはらか )なるゆゑ人の 蹈固 ( ふみかため )たる 跡 ( あと )をゆくはやすけれど、 往来 ( ゆきゝ )の 旅人 ( たびゝと )一 宿 ( しゆく )の夜大雪降ばふみかためたる一 条 ( すぢ )の雪道雪に 埋 ( うづま )り 途 ( みち )をうしなふゆゑ、 郊原 ( のはら )にいたりては 方位 ( はうがく )をわかちがたし。 此時は 里人 ( さとひと )幾十人を 傭 ( やと )ひ、 橇 ( かんじき ) 縋 ( すかり )にて 道 ( みち )を 蹈開 ( ふみひらか )せ 跡 ( あと )に 随 ( したがつ )て 行 ( ゆく )也。 此 費 ( ものいり ) 幾緡 ( いくさし )の銭を 費 ( つひや )すゆゑ 貧 ( とぼ )しき 旅 ( たび )人は人の 道 ( みち )をひらかすを 待 ( まち )て 空 ( むなし )く時を 移 ( うつす )もあり。 健足 ( けんそく )の 飛脚 ( ひきやく )といへども雪 途 ( みち )を 行 ( ゆく )は一日二三里に 過 ( すぎ )ず。 橇 ( かんじき )にて 足 ( あし ) 自在 ( じざい )ならず、雪 膝 ( ひざ )を 越 ( こ )すゆゑ也。 これ冬の雪中一ツの 艱難 ( かんなん )なり。 春は雪 凍 ( こほり )て 銕石 ( てつせき )のごとくなれば、 雪車 ( そり ) (又 雪舟 ( そり )の字をも用ふ)を以て 重 ( おもき )を 乗 ( の )す。 里人 ( りじん )は雪車に物をのせ、おのれものりて雪上を 行 ( ゆく )事舟のごとくす。 雪中は牛馬の足立ざるゆゑすべて 雪車 ( そり )を用ふ。 春の雪中 重 ( おもき )を 負 ( おは )しむる事 牛馬 ( うしうま )に 勝 ( まさ )る。 (雪車の 制作 ( せいさく )別に記す、形大小種々あり大なるを 修羅 ( しゆら )といふ)雪国の 便利 ( べんり ) 第 ( だい )一の 用具 ( ようぐ )也。 しかれども雪凍りたる時にあらざれば用ひがたし、ゆゑに里人 雪舟途 ( そりみち )と 唱 ( とな )ふ。 凡 ( およそ )雪九月末より 降 ( ふり )はじめて雪中に春を 迎 ( むかへ )、正二の月は雪 尚 ( なほ ) 深 ( ふか )し。 三四の月に 至 ( いた )りて次第に 解 ( とけ )、五月にいたりて雪全く 消 ( きえ )て 夏道 ( なつみち )となる。 (年の寒暖によりて遅速あり)四五月にいたれば春の花ども一 時 ( じ )にひらく。 されば雪中に 在 ( あ )る事 凡 ( およそ )八ヶ月、一年の 間 ( あひだ )雪を 看 ( み )ざる事 僅 ( わづか )に四ヶ月なれども、全く雪中に 蟄 ( こも )るは半年也。 こゝを以て 家居 ( いへゐ )の 造 ( つく )りはさら也、 万事 ( よろづのこと )雪を 禦 ( ふせ )ぐを 専 ( もつはら )とし、 財 ( ざい )を 費 ( つひやし ) 力 ( ちから )を 尽 ( つく )す事 紙筆 ( しひつ )に 記 ( しる )しがたし。 農家 ( のうか )はことさら夏の初より秋の末までに五 穀 ( こく )をも 収 ( をさむ )るゆゑ、雪中に 稲 ( いね )を 刈 ( かる )事あり。 其 ( その ) 忙 ( せはし )き事の千 辛 ( しん )万 苦 ( く )、暖国の 農業 ( のうげふ )に 比 ( ひ )すれば百 倍 ( ばい )也。 さればとて雪国に 生 ( うまる )る 者 ( もの )は 幼稚 ( をさなき )より雪中に成長するゆゑ、 蓼中 ( たでのなか )の 虫 ( むし ) 辛 ( からき )をしらざるがごとく雪を雪ともおもはざるは、 暖地 ( だんち )の 安居 ( あんきよ )を 味 ( あぢはへ )ざるゆゑ也。 女はさら也、男も十人に七人は 是 ( これ )也。 しかれども 住 ( すめ )ば 都 ( みやこ )とて、 繁花 ( はんくわ )の江戸に奉公する事 年 ( とし )ありて 後 ( のち )雪国の 故郷 ( ふるさと )に 皈 ( かへ )る者、これも又十人にして七人也。 胡場 ( こば ) 北風 ( ほくふう )に 嘶 ( いなゝ )き、 越鳥 ( ゑつてう ) 南枝 ( なんし )に 巣 ( す )くふ、 故郷 ( こきやう )の 忘 ( わすれ )がたきは世界の 人情 ( にんじやう )也。 さて雪中は 廊下 ( らうか )に (江戸にいふ 店 ( たな )下) 雪垂 ( ゆきだれ )を (かやにてあみたるすだれをいふ) 下 ( くだ )し、 ( 雪吹 ( ふゞき )をふせぐため也) 窗 ( まど )も又これを用ふ。 雪ふらざる時は 巻 ( まい )て 明 ( あかり )をとる。 雪下 ( ゆきふる )事 盛 ( さかん )なる 時 ( とき )は、 積 ( つも )る雪家を 埋 ( うづめ )て雪と 屋上 ( やね )と 均 ( ひとし )く 平 ( たひら )になり、 明 ( あかり )のとるべき処なく、 昼 ( ひる )も 暗夜 ( あんや )のごとく 燈火 ( ともしび )を 照 ( てら )して家の内は 夜昼 ( よるひる )をわかたず。 漸 ( やうやく )雪の 止 ( やみ )たる時、雪を 掘 ( ほり )て 僅 ( わづか )に小 窗 ( まど )をひらき 明 ( あかり )をひく時は、 光明 ( くわうみやう ) 赫奕 ( かくやく )たる仏の国に生たるこゝち也。 鳥獣 ( とりけだもの )は 雪中 ( せつちゆう ) 食 ( しよく ) 无 ( なき )をしりて雪 浅 ( あさ )き国へ 去 ( さ )るもあれど一 定 ( ぢやう )ならず。 雪中に 籠 ( こも )り 居 ( ゐ )て朝夕をなすものは人と熊と也。 宿場 ( しゆくば )と 唱 ( となふ )る 所 ( ところ )は家の 前 ( まへ )に 庇 ( ひさし )を長くのばして 架 ( かく )る、大小の 人家 ( じんか )すべてかくのごとし。 雪中はさら也、平日も 往来 ( ゆきゝ )とす。 これによりて雪中の 街 ( ちまた )は用なきが如くなれば、人家の雪をこゝに 積 ( つむ )。 次第 ( しだい )に 重 ( かさなり )て 両側 ( りやうかは )の家の 間 ( あひだ )に雪の 堤 ( つゝみ )を 築 ( きづき )たるが 如 ( ごと )し。 こゝに於て 所々 ( ところ/\ )に雪の 洞 ( ほら )をひらき、 庇 ( ひさし )より庇に 通 ( かよ )ふ、これを 里言 ( さとことば )に 胎内潜 ( たいないくゞり )といふ、又 間夫 ( まぶ )ともいふ。 間夫 ( まぶ )とは 金掘 ( かねほり )の 方言 ( ことば )なるを 借 ( かり )て 用 ( もち )ふる也。 (間夫の本義は 妻妾 ( さいせふ )の 奸淫 ( かんいん )するをいふ)宿外の家の 続 ( つゞか )ざる処は 庇 ( ひさし )なければ、 高低 ( たかびく )をなしたるかの雪の 堤 ( つゝみ )を 往来 ( ゆきゝ )とす。 人の 足立 ( あしたて )がたき処あれば一 条 ( でう )の 道 ( みち )を 開 ( ひら )き、春にいたり雪 堆 ( うづだか )き所は 壇層 ( だん/\ )を作りて 通路 ( つうろ )の 便 ( べん )とす。 形 ( かたち ) 匣階 ( はこばしご )のごとし。 所 ( ところ )の 者 ( もの )はこれを 登下 ( のぼりくだり )するに 脚 ( あし )に 慣 ( なれ )て 一歩 ( ひとあし )もあやまつ事なし。 他国 ( たこく )の 旅人 ( たびゝと )などは 怖 ( おそ )る/\ 移歩 ( あしをはこび )かへつて 落 ( おつ )る 者 ( もの )あり、おつれば雪中に 身 ( み )を 埋 ( うづ )む。 視 ( み )る人はこれを 笑 ( わら )ひ、 落 ( おち )たるものはこれを 怒 ( いか )る。 かゝる 難所 ( なんじよ )を作りて他国の 旅客 ( りよかく )を 労 ( わづら )はしむる事 求 ( もとめ )たる 所為 ( しわざ )にあらず。 此雪を 取除 ( とりのけん )とするには 人力 ( じんりき )と 銭財 ( せんざい )とを 費 ( つひや )すゆゑ、 寸導 ( せめて )は 壇 ( だん )を作りて 途 ( みち )を 開 ( ひら )く也。 そも/\初雪より歳を越て雪 消 ( きゆ )るまでの事を 繁細 ( はんさい )に記さば小冊には 尽 ( つく )しがたし、ゆゑに 省 ( はぶき )てしるさゞる事甚多し。 大小の川に 近 ( ちか )き 村里 ( むらさと )、初雪の 後 ( のち ) 洪水 ( こうずゐ )の 災 ( わざはひ )に 苦 ( くるし )む事あり。 洪水 ( こうずゐ )を此国の 俚言 ( りげん )に 水揚 ( みづあがり )といふ。 勝手 ( かつて )の方へ立いで見れば 家内 ( かない )の男女 狂気 ( きやうき )のごとく 駈 ( かけ )まはりて、 家財 ( かざい )を水に 流 ( なが )さじと 手当 ( てあたり )しだいに 取退 ( とりのく )る。 水は 低 ( ひくき )に随て 潮 ( うしほ )のごとくおしきたり、 已 ( すで )に 席 ( たゝみ )を 浸 ( ひた )し 庭 ( には )に 漲 ( みなぎ )る。 次第に 積 ( つもり )たる雪 所 ( ところ )として雪ならざるはなく、 雪光 ( せつくわう ) 暗夜 ( あんや )を 照 ( てら )して水の 流 ( ながる )るありさま、おそろしさいはんかたなし。 余 ( よ )は人に 助 ( たす )けられて 高所 ( たかきところ )に 逃登 ( にげのぼ )り 遙 ( はるか )に 駅中 ( えきちゆう )を 眺 ( のぞめ )ば、 提灯 ( ちやうちん ) 炬 ( たいまつ )を 燈 ( とも )しつれ大勢の男ども 手 ( てに )々に [#「 手 ( てに )々に」はママ] 木鋤 ( こすき )をかたげ、雪を 越 ( こえ )水を 渉 ( わたり )て 声 ( こゑ )をあげてこゝに 来 ( きた )る。 これは 水揚 ( みづあがり )せざる 所 ( ところ )の 者 ( もの )どもこゝに 馳 ( はせ )あつまりて、川 筋 ( すぢ )を 開 ( ひら )き水を 落 ( おと )さんとする也。 闇夜 ( あんや )にてすがたは見えねど、 女 ( をんな ) 童 ( わらべ )の 泣叫 ( なきさけ )ぶ 声 ( こゑ ) 或 ( あるひ )は 遠 ( とほ )く或は 近 ( ちか )く、 聞 ( きく )もあはれのありさま也。 燃残 ( もえのこ )りたる 炬 ( たいまつ )一ツをたよりに人も馬も 首 ( くび )たけ水に 浸 ( ひた )り、 漲 ( みなぎ )るながれをわたりゆくは馬を 助 ( たすけ )んとする也。 帯 ( おび )もせざる女 片手 ( かたて )に 小児 ( せうに )を 背負 ( せおひ )、 提灯 ( ちやうちん )を 提 ( さげ )て 高処 ( たかきところ )へ 逃 ( にげ )のぼるは、 近 ( ちか )ければそこらあらはに見ゆ、 命 ( いのち )とつりがへなればなにをも 恥 ( はづか )しとはおもふべからず。 やう/\ 東雲 ( しのゝめ )の 頃 ( ころ )に 至 ( いた )りて、水も 落 ( おち )たりとて 諸人 ( しよにん ) 安堵 ( あんど )のおもひをなしぬ。 此 ( この ) 関 ( せき )といふ 駅 ( しゆく )は左右 人家 ( じんか )の 前 ( まへ )に 一道 ( ひとすぢ )づゝの 流 ( ながれ )あり、 末 ( すゑ )は 魚野川 ( うをのかは )へ落る、 三伏 ( さんふく )の 旱 ( ひでり )にも 乾 ( かわ )く事なき 清流水 ( せいりうすゐ )也。 ゆゑに 家毎 ( いへごと )に 此 ( この ) 流 ( ながれ )を 以 ( もつ )て 井水 ( ゐすゐ )の 代 ( かは )りとし、しかも 桶 ( をけ )にても 汲 ( くむ )べき 流 ( ながれ )なれば、平日の 便利 ( べんり )井戸よりもはるかに 勝 ( まされ )り。 しかるに 初雪 ( しよせつ )の 後 ( のち )十月のころまでにこの 二条 ( ふたすぢ )の 小流 ( こながれ )雪の 為 ( ため )に 降埋 ( ふりうめ )られ、流水は雪の下にあり、 故 ( ゆゑ )に 家毎 ( いへごと )に 汲 ( くむ )べき 程 ( ほど )に雪を 穿 ( うがち )て 水用 ( すゐよう )を弁ず。 この 穿 ( うがち )たる所も一夜の雪に 埋 ( うづめ )らるゝことあれば 再 ( ふたゝび )うがつ事 屡 ( しば/\ )なり。 人家 ( じんか )にちかき 流 ( ながれ )さへかくのごとくなれば、この二 条 ( すぢ )の 流 ( ながれ )の 水源 ( みなかみ )も雪に 埋 ( うづも )れ、 水用 ( すゐよう )を 失 ( うしの )ふのみならず水あがりの 懼 ( おそれ )あるゆゑ、 所 ( ところ )の人 力 ( ちから )を 併 ( あはせ )て流のかゝり口の雪を 穿 ( うがつ )事なり。 されども 人毎 ( ひとごと )に 業用 ( げふよう )にさゝへて時を 失 ( うしな )ふか、又は一夜の大雪にかの 水源 ( すゐげん )を 塞 ( ふさ )ぐ時は、水 溢 ( あぶれ )て 低 ( ひくき )所を 尋 ( たづね )て 流 ( なが )る。 駅中 ( えきちゆう )は人の 往来 ( ゆきゝ )の 為 ( ため )に雪を 蹈 ( ふみ )へして 低 ( ひくき )ゆゑ、 流水 ( りうすゐ ) 漲 ( みなぎ )り 来 ( きた )り 猶 ( なほ )も 溢 ( あぶれ )て人家に入り、 水難 ( すゐなん )に 逢 ( あ )ふ事 前 ( まへ )にいへるがごとし。 幾 ( いく )百人の力を 尽 ( つく )して 水道 ( すゐだう )をひらかざれば、 家財 ( かざい )を 流 ( なが )し 或 ( あるひ )は 溺死 ( できし )におよぶもあり。 雪いまだ 消 ( きえ )ず、山々はさら也 田圃 ( たはた )も 渺々 ( べう/\ )たる 曠平 ( くわうへい )の 雪面 ( せつめん )なれば、 枝川 ( えだかは )は雪に 埋 ( うづも )れ水は雪の下を流れ、大河といへども冬の初より 岸 ( きし )の水まづ 氷 ( こほ )りて氷の上に雪をつもらせ、つもる雪もおなじく氷りて岩のごとく、 岸 ( きし )の氷りたる 端 ( はし ) 次第 ( しだい )に雪ふりつもり、のちには 両岸 ( りやうがん )の雪 相合 ( あひがつ )して 陸地 ( りくち )とおなじ雪の地となる。 さて春を 迎 ( むか )へて寒気次第に 和 ( やは )らぎ、その年の 暖気 ( だんき )につれて雪も 降止 ( ふりやみ )たる二月の 頃 ( ころ )、 水気 ( すゐき )は 地気 ( ちき )よりも 寒暖 ( かんだん )を 知 ( し )る事はやきものゆゑ、かの 水面 ( すゐめん )に 積 ( つも )りたる雪 下 ( した )より 解 ( とけ )て 凍 ( こほ )りたる雪の力も水にちかきは 弱 ( よわ )くなり、 流 ( ながれ )は雪に 塞 ( ふさが )れて 狭 ( せま )くなりたるゆゑ 水勢 ( すゐせい )ます/\ 烈 ( はげ )しく、 陽気 ( やうき )を 得 ( え )て雪の 軟 ( やはらか )なる下を 潜 ( くゞ )り、 堤 ( つゝみ )のきるゝがごとく、 譬 ( たとへ )にいふ 寝耳 ( ねみゝ )に水の 災難 ( さいなん )にあふ事、雪中の 洪水 ( こうずゐ )寒国の 艱難 ( かんなん )、 暖地 ( だんち )の人 憐 ( あはれみ )給へかし。 右は其一をいふのみ。 詳 ( つまびらか )には 弁 ( べん )じがたし。 越後の西北は 大洋 ( おほうみ )に 対 ( たい )して 高山 ( かうざん )なし。 東南は 連山 ( れんざん ) 巍々 ( ぎゝ )として越中上信奥羽の五か国に 跨 ( またが )り、 重岳 ( ちようがく ) 高嶺 ( かうれい ) 肩 ( かた )を 並 ( なら )べて 数 ( す )十里をなすゆゑ大小の 獣 ( けもの ) 甚 ( はなはだ ) 多 ( おほ )し。 此 獣 ( けもの )雪を 避 ( さけ )て他国へ去るもありさらざるもあり、 動 ( うごか )ずして雪中に 穴居 ( けつきよ )するは 熊 ( くま )のみ也。 熊胆 ( くまのい )は越後を上 品 ( ひん )とす、雪中の熊胆はことさらに 価 ( あたひ ) 貴 ( たつと )し。 其 重価 ( ちようくわ )を 得 ( え )んと 欲 ( ほつ )して 春暖 ( しゆんだん )を 得 ( え )て雪の 降止 ( ふりやみ )たるころ、 出羽 ( では )あたりの 猟師 ( れふし )ども五七人心を合せ、三四疋の 猛犬 ( まうけん )を 牽 ( ひ )き米と 塩 ( しほ )と 鍋 ( なべ )を 貯 ( たくは )へ、水と 薪 ( たきゞ )は山中 在 ( あ )るに 随 ( したがつ )て用をなし、山より山を 越 ( こえ )、 昼 ( ひる )は 猟 ( かり )して 獣 ( けもの )を 食 ( しよく )とし、夜は 樹根 ( きのね ) 岩窟 ( がんくつ )を 寝所 ( ねどころ )となし、 生木 ( なまき )を 焼 ( たい )て 寒 ( さむさ )を 凌 ( しのぎ ) 且 ( かつ ) 明 ( あかし )となし、 着 ( き )たまゝにて 寝臥 ( ねふし )をなす。 遠 ( とほ )く 視 ( み )れば 猿 ( さる )にして 顔 ( かほ )は人也。 金革 ( きんかく )を 衽 ( しきね )にすとはかゝる人をやいふべき。 此 者 ( もの )らが 志 ( こゝろざす )所は我国の熊にあり。 さて我山中に入り 場所 ( ばしよ )よきを 見立 ( みたて )、木の 枝 ( えだ ) 藤蔓 ( ふぢつる )を以て 仮 ( かり )に 小屋 ( こや )を作りこれを 居所 ( ゐどころ )となし、おの/\犬を 牽 ( ひき )四方に 別 ( わかれ )て熊を 窺 ( うかゞ )ふ。 熊の 穴居 ( こもり )たる所を 認 ( みつくれ )ば 目幟 ( めじるし )をのこして小屋にかへり、一 連 ( れん )の力を 併 ( あはせ )てこれを 捕 ( と )る。 その 道具 ( だうぐ )は 柄 ( え )の長さ四尺斗りの 手槍 ( てやり )、 或 ( あるひ )は 山刀 ( やまがたな )を 薙刀 ( なぎなた )のごとくに作りたるもの、 銕炮 ( てつはう )山刀 斧 ( をの )の 類 ( るゐ )也。 刃 ( は ) 鈍 ( にぶ )る時は 貯 ( たくは )へたる 砥 ( と )をもつて 自 ( みづから ) 研 ( と )ぐ。 此 道具 ( だうぐ )も 獣 ( けもの )の 皮 ( かは )を以て 鞘 ( さや )となす。 此者ら春にもかぎらず冬より山に入るをりもあり。 そも/\ 熊 ( くま )は 和獣 ( わじう )の王、 猛 ( たけ )くして 義 ( ぎ )を 知 ( し )る。 菓木 ( このみ )の 皮虫 ( かはむし )のるゐを 食 ( しよく )として 同類 ( どうるゐ )の 獣 ( けもの )を 喰 ( くらは )ず、 田圃 ( たはた )を 荒 ( あらさ )ず、 稀 ( まれ )に 荒 ( あら )すは 食 ( しよく )の 尽 ( つき )たる時也。 詩経 ( しきやう )には 男子 ( だんし )の 祥 ( しやう )とし、或は 六雄将軍 ( りくゆうしやうぐん )の名を 得 ( え )たるも 義獣 ( ぎじう )なればなるべし。 牝牡 ( めすをす ) 同 ( おなじ )く 穴 ( あな )に 蟄 ( こも )らず、 牝 ( めす )の子あるは子とおなじくこもる。 其 蔵蟄 ( あなごもり )する所は大木の 雪頽 ( なだれ )に 倒 ( たふ )れて 朽 ( くち )たる 洞 ( うろ ) (なだれの事下にしるす)又は 岩間 ( いはのあひ ) 土穴 ( つちあな )、かれが心に 随 ( したがつ )て 居 ( を )る処さだめがたし。 雪中の熊は右のごとく 他食 ( たしよく )を 求 ( もとめ )ざるゆゑ、その 胆 ( きも )の 良功 ( りやうこう )ある事夏の胆に 比 ( くらぶ )れば百 倍 ( ばい )也。 琥珀 ( こはく )を上 品 ( ひん )とし、黒胆を下品とす。 偽物 ( ぎぶつ )は黒胆に多し。 かれが 居 ( をる )所の 地理 ( ちり )にしたがつて 捕得 ( とりえ )やすき術をほどこす。 熊は秋の土用より 穴 ( あな )に入り、春の土用に穴より 出 ( いづ )るといふ。 又一 説 ( せつ )に、穴に入りてより穴を出るまで 一睡 ( ひとねむり )にねむるといふ、人の 視 ( み )ざるところなれば 信 ( しん )じがたし。 沫雪 ( あわゆき )の 条 ( くだり )にいへるごとく、冬の雪は 軟 ( やはら )にして 足場 ( あしば )あしきゆゑ、熊を 捕 ( とる )は雪の 凍 ( こほり )たる春の土用まへ、かれが穴よりいでんとする 頃 ( ころ )を 程 ( ほど )よき 時節 ( じせつ )とする也。 岩壁 ( がんへき )の 裾 ( すそ )又は 大樹 ( たいじゆ )の 根 ( ね )などに 蔵蟄 ( あなごもり )たるを 捕 ( とる )には 圧 ( おし )といふ 術 ( じゆつ )を 用 ( もち )ふ、 天井釣 ( てんじやうづり )ともいふ。 その 制作 ( しかた )は木の 枝 ( えだ ) 藤 ( ふぢ )の 蔓 ( つる )にて穴に 倚掛 ( よせかけ )て 棚 ( たな )を 作 ( つく )り、たなの 端 ( はし )は 地 ( ち )に付て 杭 ( くひ )を以てこれを 縛 ( しば )り、たなの横木に 柱 ( はしら )ありて 棚 ( たな )の上に大石を 積 ( つみ )ならべ、横木より 縄 ( なは )を下し縄に 輪 ( わ )を 結 ( むす )びて 穴 ( あな )に 臨 ( のぞま )す、これを 蹴綱 ( けづな )といふ。 此蹴綱に 転機 ( しかけ )あり、 全 ( まつた )く 作 ( つく )りをはりてのち、穴にのぞんで 玉蜀烟艸 ( たうがらしたばこ )の 茎 ( くき )のるゐ 熊 ( くま )の 悪 ( にく )む物を 焚 ( たき )、しきりに 扇 ( あふぎ )て 烟 ( けふり )を穴に入るれば熊烟りに 噎 ( むせ )て大に 怒 ( いか )り、穴を飛出る時かならずかの 蹴綱 ( けづな )に 触 ( ふる )れば 転機 ( しかけ )にて 棚 ( たな ) 落 ( おち )て熊大石の下に 死 ( し )す。 手を 下 ( くだ )さずして熊を 捕 ( とる )の上 術 ( じゆつ )也。 是は熊の 居所 ( ゐどころ )による也。 これらは 樵夫 ( せうふ )も 折 ( をり )によりてはする事也。 又 熊捕 ( くまとり )の 場数 ( ばかず )を 蹈 ( ふみ )たる 剛勇 ( がうゆう )の者は一 連 ( れん )の 猟師 ( れふし )を熊の 居 ( を )る穴の前に 待 ( また )せ、 己 ( おのれ )一人 ひろゝ 簑 ( みの )を 頭 ( かしら )より 被 ( かぶり )り ( ひろゝは山にある艸の名也、みのに作れば稿よりかろし、猟師常にこれを用ふ)穴にそろ/\と 這 ( はひ )入り、熊に 簑 ( みの )の毛を 触 ( ふる )れば熊はみのゝ毛を 嫌 ( きら )ふものゆゑ 除 ( よけ )て前にすゝむ。 又 後 ( しりへ )よりみの毛を 障 ( さはら )す、熊又まへにすゝむ。 又さはり又すゝんで熊 終 ( つひ )には穴の口にいたる。 これを 視 ( み )て 待 ( まち )かまへたる 猟師 ( れふし )ども 手練 ( しゆれん )の 槍尖 ( やりさき )にかけて 突留 ( つきとむ )る。 一槍 ( ひとやり ) 失 ( あやまつ )ときは熊の 一掻 ( ひとかき )に一 命 ( めい )を 失 ( うしな )ふ。 その 危 ( あやふき )を 蹈 ( ふん )で熊を捕は 僅 ( わづか )の 黄金 ( かね )の 為 ( ため )也。 金慾 ( きんよく )の人を 過 ( あやまつ )事 色慾 ( しきよく )よりも 甚 ( はなはだ )し。 されば 黄金 ( わうごん )は 道 ( みち )を以て 得 ( う )べし、不道をもつて 得 ( う )べからず。 又上に 覆 ( おほ )ふ所ありてその下には雪のつもらざるを知り土穴を 掘 ( ほり )て 蟄 ( こも )るもあり。 然 ( しか )れどもこゝにも雪三五尺は 吹積 ( ふきつもる )也。 熊の穴ある所の雪にはかならず 細孔 ( ほそきあな )ありて 管 ( くだ )のごとし。 これ熊の 気息 ( いき )にて雪の 解 ( とけ )たる 孔 ( あな )也。 猟師 ( れふし )これを見れば雪を掘て穴をあらはし、木の 枝 ( えだ ) 柴 ( しば )のるゐを穴に 挿 ( さし )入れば熊これを 掻 ( かき )とりて穴に入るゝ、かくする事しば/\なれば穴 逼 ( つま )りて熊穴の口にいづる時槍にかくる。 突 ( つき )たりと見れば 数疋 ( すひき )の 猛犬 ( つよいぬ )いちどに飛かゝりて 囓 ( かみ )つく。 犬は人を力とし、人は犬を力として 殺 ( ころす )もあり。 此術は 椌 ( うつほ )木にこもりたるにもする事也。 熊の 黒 ( くろき )は雪の白がごとく 天然 ( てんねん )の常なれども、 天公 ( てんこう ) 機 ( き )を 転 ( てん )じて 白熊 ( はくいう )を出せり。 よく人に 馴 ( なれ )てはなはだ 愛 ( あいす )べきもの也。 こゝかしこに持あるきしがその 終 ( をはり )をしらず。 白亀の 改元 ( かいげん )、 白鳥 ( しらとり )の 神瑞 ( しんずゐ )、八幡の 鳩 ( はと )、源家の 旗 ( はた )、すべて白きは 皇国 ( みくに )の 祥象 ( しやうせう )なれば、 天機 ( てんき ) 白熊 ( はくいう )をいだししも 昇平万歳 ( しようへいばんぜい )の吉 瑞 ( ずゐ )成べし。 人熊の穴に 墜 ( おちいり )て熊に助られしといふ 話 ( はなし ) 諸書 ( しよしよ )に 散見 ( さんけん )すれども、其 実地 ( じつち )をふみたる人の 語 ( かた )りしは 珍 ( めづらし )ければこゝに 記 ( しる )す。 頃 ( ころ )は夏なりしゆゑ 客舎 ( やどりしいへ )の 庭 ( には )の 木 ( こ )かげに 筵 ( むしろ )をしきて 納涼 ( すゞみ )居しに、 主人 ( あるじ )は酒を 好 ( この )む人にて 酒肴 ( しゆかう )をこゝに開き、 余 ( よ )は酒をば 嗜 ( すか )ざるゆゑ茶を 喫 ( のみ )て居たりしに、 一老夫 ( いちらうふ )こゝに来り主人を 視 ( み )て 拱手 ( てをさげ )て礼をなし 後園 ( うらのかた )へ行んとせしを、 主 ( あるじ ) 呼 ( よび )とめ 老 ( らう )夫を 指 ( ゆびさし )ていふやう、此 叟父 ( おやぢ )は 壮年時 ( わかきとき )熊に助られたる人也、 危 ( あやふ )き 命 ( いのち )をたすかり今年八十二まで 健 ( すこやか )に 長生 ( ながいき )するは 可賀 ( めでたき )老人也、 識面 ( ちかづき )になり給へといふ。 老夫 莞爾 ( にこり )として 再 ( ふたゝび ) 去 ( さら )んとす。 さて是より熊の 話 ( はなし )也、今一盃たまはるべしとて 自 ( みづから ) 酌 ( つぎ )てしきりに 喫 ( のみ )、 腰 ( こし )より 烟艸 ( たばこいれ )をいだして 烟 ( たばこ )を 吹 ( のみ )などするゆゑ、其 次 ( つぎ )はいかにとたづねければ、 老父 ( らうふ ) 曰 ( いはく )、さて 傍 ( かたはら )を見れば 潜 ( くゞる )べきほどの 岩窟 ( いはあな )あり、中には雪もなきゆゑはひりて見るにすこし 温 ( あたゝか )也。 此時こゝろづきて腰をさぐりみるに 握飯 ( にぎりめし )の 弁当 ( べんたう )もいつかおとしたり、かくては 飢死 ( うゑじに )すべし、さりながら雪を 喰 ( くらひ )ても五日や十日は命あるべし、その内には 雪車哥 ( そりうた )の 声 ( こゑ )さへ 聞 ( きこゆ )れば村の者也、大声あげて 叫 ( よば )らば 助 ( たすけ )くれべし、それにつけてもお伊勢さまと善光寺さまをおたのみ申よりほかなしと、しきりに念仏 唱 ( とな )へ、大神宮をいのり日もくれかゝりしゆゑ、こゝを 寝所 ( ねどころ )にせばやと 闇地 ( くらがり )を 探 ( さぐ )り/\ 這 ( は )入りて見るに 次第 ( しだい )に 温 ( あたゝか )也。 猶 ( なほ )も 探 ( さぐ )りし 手先 ( てさき )に 障 ( さはり )しは 正 ( まさ )しく熊也。 しきりになめたれば心 爽 ( さはやか )になり 咽 ( のど )も 潤 ( うるほ )ひしに、熊は 鼻息 ( はないき )を 鳴 ( なら )して 寝 ( ねいる )やう也。 さては我を 助 ( たすく )るならんと心大におちつき、のちは熊と 脊 ( せなか )をならべて 臥 ( ふし )しが宿の事をのみおもひて 眠気 ( ねむけ )もつかず、おもひ/\てのちはいつか 寝入 ( ねいり )たり。 かくて熊の 身動 ( みうごき )をしたるに目さめてみれば、穴の口見ゆるゆゑ夜の 明 ( あけ )たるをしり、穴をはひいで、もしやかへるべき道もあるか、山にのぼるべき 藤 ( ふぢ )づるにてもあるかとあちこち見れどもなし、熊も穴をいでゝ 滝壺 ( たきつぼ )にいたり水をのみし時はじめて熊を見れば、犬を七ツもよせたるほどの大熊也。 又もとの 窟 ( あな )へはいりしゆゑ 我 ( わし )は 窟 ( あな )の口に 居 ( ゐ )て 雪車哥 ( そりうた )のこゑやすらんと 耳 ( みゝ )を 澄 ( すま )して 聞居 ( きゝゐ )たりしが、滝の音のみにて鳥の 音 ( ね )もきかず、その日もむなしく 暮 ( くれ )て又穴に一夜をあかし、熊の 掌 ( て )に 飢 ( うゑ )をしのぎ、 幾日 ( いくか )たちても哥はきかず、その心 細 ( ほそ )き事いはんかたなし。 されど熊は 次第 ( しだい )に 馴 ( なれ ) 可愛 ( かあいく )なりしと語るうち、主人は 微酔 ( ほろゑひ )にて 老夫 ( らうふ )にむかひ、其熊は 牝 ( め )熊ではなかりしかと三人大ひに笑ひ、又酒をのませ盃の 献酬 ( やりとり )にしばらく 話消 ( はなしきえ )けるゆゑ 強 ( しひ )て 下回 ( そのつぎ )をたづねければ、 老夫 ( らうふ ) 曰 ( いはく )、人の心は物にふれてかはるもの也、はじめ熊に 逢 ( あひ )し時はもはや 死地 ( こゝでしす )事と 覚悟 ( かくご )をばきはめ命も 惜 ( をし )くなかりしが、熊に 助 ( たすけ )られてのちは 次第 ( しだい )に命がをしくなり、 助 ( たすく )る人はなくとも雪さへ 消 ( きえ )なば 木根 ( きのね ) 岩角 ( いはかど )に 縋 ( とりつき )てなりと宿へかへらんと、雪のきゆるをのみまちわび幾日といふ日さへ 忘 ( わすれ )て 虚々 ( うか/\ )くらししが、熊は 飼犬 ( かひいぬ )のやうになりてはじめて人間の 貴 ( たふとき )事を 知 ( し )り、 谷間 ( たにあひ )ゆゑ雪のきゆるも里よりは 遅 ( おそ )くたゞ日のたつをのみうれしくありしに、 一日 ( あるひ ) 窟 ( あな )の口の日のあたる所に 虱 ( しらみ )を 捫 ( とり )て 居 ( ゐ )たりし時、熊 窟 ( あな )よりいで袖を 咥 ( くはへ )て引しゆゑ、いかにするかと引れゆきしにはじめ 濘落 ( すべりおち )たるほとりにいたり、熊 前 ( さき )にすゝみて 自在 ( じざい )に雪を 掻掘 ( かきほり ) 一道 ( ひとすぢ )の 途 ( みち )をひらく、 何方 ( いづく )までもとしたがひゆけば又 途 ( みち )をひらき/\て人の 足跡 ( あしあと )ある所にいたり、熊 四方 ( しはう )を 顧 ( かへりみ )て 走 ( はし )り 去 ( さり )て行方しれず。 さては我を 導 ( みちびき )たる也と熊の 去 ( さり )し方を 遥拝 ( ふしをがみ )かず/\礼をのべ、これまつたく神仏の 御蔭 ( おかげ )ぞとお伊勢さま 善光寺 ( ぜんくわうじ )さまを 遥拝 ( ふしをがみ )うれしくて足の 蹈所 ( ふみど )もしらず、 火点頃 ( ひとぼしころ )宿へかへりしに、此時近所の人々あつまり念仏申てゐたり。 両親はじめ 驚愕 ( びつくり )せられ 幽 ( いうれい )ならんとて立さわぐ。 そのはづ也。 月代 ( さかやき )は 簑 ( みの )のやうにのび 面 ( つら )は狐のやうに 痩 ( やせ )たり、幽 とて立さわぎしものちは笑となりて、両親はさら也人々もよろこび、薪とりにいでし四十九日目の 待夜 ( たいや )也とていとなみたる 仏 ( ぶつじ )も 俄 ( にはか )にめでたき 酒宴 ( さかもり )となりしと 仔細 ( こまか )に 語 ( かた )りしは、九右エ門といひし 小間居 ( こまゐ )の 農夫 ( ひやくしやう )也き。 其夜 燈下 ( ともしびのもと )に筆をとりて語りしまゝを 記 ( しる )しおきしが、今はむかしとなりけり。 唐土 ( もろこし ) 蜀 ( しよく )の 峨眉山 ( がびさん )には夏も 積雪 ( つもりたるゆき )あり。 其雪の 中 ( なか )に 雪蛆 ( せつじよ )といふ虫ある事 山海経 ( さんがいきやう )に見えたり。 ( 唐土 ( もろこし )の書)此 節 ( せつ ) 空 ( むなし )からず、越後の雪中にも 雪蛆 ( せつじよ )あり、此虫早春の頃より雪中に 生 ( しやう )じ雪 消終 ( きえをはれ )ば虫も 消終 ( きえをは )る、 始終 ( ししゆう )の 死生 ( しせい )を雪と 同 ( おなじ )うす。 字書 ( じしよ )を 按 ( あんずる )に、 蛆 ( じよ )は 腐中 ( ふちゆう )の 蠅 ( はへ )とあれば 所謂 ( いはゆる ) 蛆蠅 ( うじばへ )也。 木火土金水 ( もくくわどごんすゐ )の五行中皆虫を 生 ( しやう )ず、木の虫土の虫水の虫は 常 ( つね )に見る所めづらしからず。 蠅 ( はへ )は 灰 ( はひ )より 生 ( しやう )ず、灰は火の 燼末 ( もえたこな )也、しかれば蠅は火の虫也。 蠅 ( はへ )を 殺 ( ころ )して 形 ( かたち )あるもの 灰中 ( はひのなか )におけば 蘇 ( よみがへる )也。 又 虱 ( しらみ )は人の 熱 ( ねつ )より 生 ( しやう )ず、 熱 ( ねつ )は火也、火より生たる虫ゆゑに 蠅 ( はへ )も 虱 ( しらみ )も 共 ( とも )に 暖 ( あたゝか )なるをこのむ。 金中 ( かねのなか )の虫は 肉眼 ( ひとのめ )におよばざる 冥塵 ( ほこり )のごとき虫ゆゑに人これをしらず。 およそ 銅銕 ( どうてつ )の 腐 ( くさる )はじめは虫を 生 ( しやう )ず、虫の生じたる 所 ( ところ ) 色 ( いろ )を 変 ( へん )ず。 しば/\これを 拭 ( ぬぐへ )ば虫をころすゆゑ 其所 ( そのところ ) 腐 ( くさら )ず。 錆 ( さびる )は 腐 ( くさる )の 始 ( はじめ )、 錆 ( さび )の中かならず虫あり、 肉眼 ( にくがん )におよばざるゆゑ人しらざる也。 (蘭人の説也)金中 猶 ( なほ ) 虫 ( むし )あり、雪中虫 無 ( なから )んや。 しかれども常をなさゞれば 奇 ( き )とし 妙 ( めう )として 唐土 ( もろこし )の 書 ( しよ )にも 記 ( しる )せり。 我越後の 雪蛆 ( せつじよ )はちひさき事 蚊 ( か )の 如 ( ごと )し。 此虫は二 種 ( しゆ )あり、一ツは 翼 ( はね )ありて 飛行 ( とびあるき )、一ツははねあれども 蔵 ( おさめ )て 行 ( はひありく )。 共に足六ツあり、色は 蠅 ( はへ )に 似 ( に )て 淡 ( うす )く (一は黒し)其 居 ( を )る所は 市中原野 ( しちゆうげんや ) 蚊 ( か )におなじ。 しかれども人を 螫 ( さす )むしにはあらず、 顕微鏡 ( むしめがね )にて 視 ( み )たる所をこゝに 図 ( づ )して 物産家 ( ぶつさんか )の 説 ( せつ )を 俟 ( ま )つ。 雪吹 ( ふゞき )は 樹 ( き )などに 積 ( つも )りたる雪の風に 散乱 ( さんらん )するをいふ。 其状 ( そのすがた ) 優美 ( やさしき )ものゆゑ花のちるを是に 比 ( ひ )して 花雪吹 ( はなふゞき )といひて 古哥 ( こか )にもあまた見えたり。 是 ( これ )東南 寸雪 ( すんせつ )の国の事也、北方 丈雪 ( ぢやうせつ )の国我が越後の雪 深 ( ふかき )ところの雪吹は雪中の 暴風 ( はやて )雪を 巻騰 ( まきあぐる ) ( つぢかぜ )也。 雪中第一の 難義 ( なんぎ )これがために死する人年々也。 その一ツを 挙 ( あげ )てこゝに 記 ( しる )し、 寸雪 ( すんせつ )の 雪吹 ( ふゞき )のやさしきを 観 ( みる )人の 為 ( ため )に 丈雪 ( ぢやうせつ )の雪吹の 愕 ( おそろしき )を 示 ( しめ )す。 余 ( よ )が 住 ( すむ ) 塩沢 ( しほさは )に 遠 ( とほ )からざる村の 農夫 ( のうふ ) 男 ( せがれ )一人あり、 篤実 ( とくじつ )にして 善 ( よく ) 親 ( おや )に 仕 ( つか )ふ。 廿二歳の冬、二里あまり 隔 ( へだて )たる村より十九歳の 娵 ( よめ )をむかへしに、 容姿 ( すがた ) 憎 ( にく )からず 生質 ( うまれつき ) 柔従 ( やはらか )にて、 糸織 ( いとはた )の 伎 ( わざ )にも 怜利 ( かしこ )ければ 舅 ( しうと ) 姑 ( しうとめ )も 可愛 ( かあい )がり、 夫婦 ( ふうふ )の中も 睦 ( むつまし )く 家内 ( かない ) 可祝 ( めでたく )春をむかへ、其年九月のはじめ 安産 ( あんざん )してしかも男子なりければ、 掌中 ( てのうち )に 珠 ( たま )を 得 ( え )たる 心地 ( こゝち )にて 家内 ( かない ) 悦 ( よろこ )びいさみ、 産婦 ( さんふ )も 健 ( すこやか )に 肥立 ( ひだち ) 乳汁 ( ちゝ )も一子に 余 ( あま )るほどなれば 小児 ( せうに )も 肥太 ( こえふと )り 可賀名 ( めでたきな )をつけて 千歳 ( ちとせ )を 寿 ( ことぶき )けり。 此一家 ( このいつか )の 者 ( もの )すべて 篤実 ( とくじつ )なれば 耕織 ( かうしよく )を 勤行 ( よくつとめ )、 小農夫 ( こびやくしやう )なれども 貧 ( まづし )からず、 善男 ( よきせがれ )をもち 良娵 ( よきよめ )をむかへ 好孫 ( よきまご )をまうけたりとて一 村 ( そん )の人々 常 ( つね )に 羨 ( うらやみ )けり。 かゝる 善人 ( ぜんにん )の 家 ( いへ )に天 災 ( わざはひ )を 下 ( くだ )ししは 如何 ( いかん )ぞや。 舅 ( しうと ) 旁 ( かたはら )にありて、そはよき事也 男 ( せがれ )も行べし、 実母 ( ばゝどの )へも 孫 ( まご )を見せてよろこばせ 夫婦 ( ふうふ )して 自慢 ( じまん )せよといふ。 娵 ( よめ )はうちゑみつゝ 姑 ( しうとめ )にかくといへば、姑は 俄 ( にはか )に 土産 ( みやげ )など取そろへる 間 ( うち )に 娵 ( よめ ) 髪 ( かみ )をゆひなどして 嗜 ( たしなみ )の 衣類 ( いるゐ )を 着 ( ちやく )し、 綿入 ( わたいれ )の 木綿帽子 ( もめんばうし )も 寒国 ( かんこく )の 習 ( ならひ )とて見にくからず、 児 ( こ )を 懐 ( ふところ )にいだき入んとするに 姑 ( しうとめ ) 旁 ( かたはら )よりよく 乳 ( ち )を 呑 ( のま )せていだきいれよ、 途 ( みち )にてはねんねがのみにくからんと 一言 ( ひとこと )の 詞 ( ことば )にも 孫 ( まご )を 愛 ( あい )する 情 ( こゝろ )ぞしられける。 夫 ( をつと )は 蓑笠 ( みのかさ ) 稿脚衣 ( わらはゞき )すんべを 穿 ( はき ) ( 晴天 ( せいてん )にも 簑 ( みの )を 着 ( きる )は雪中 農夫 ( のうふ )の常也) 土産物 ( みやげもの )を 軽荷 ( かるきに )に 担 ( にな )ひ、 両親 ( ふたおや )に 暇乞 ( いとまごひ )をなし 夫婦 ( ふうふ ) 袂 ( たもと )をつらね 喜躍 ( よろこびいさみ )て 立出 ( たちいで )けり。 正是 ( これぞ ) 親子 ( おやこ )が 一世 ( いつせ )の 別 ( わか )れ、 後 ( のち )の 悲歎 ( なげき )とはなりけり。 をつとつまにいふ、 今日 ( けふ )は 頃日 ( このごろ )の 日和 ( ひより )也、よくこそおもひたちたれ。 今日 ( けふ ) 夫婦 ( ふうふ ) 孫 ( まご )をつれて 来 ( きた )るべしとは 親 ( おや )たちはしられ玉ふまじ。 孫 ( まご )の 顔 ( かほ )を見玉はゞさぞかしよろこび給ふらん。 さればに候、 父翁 ( とつさま )はいつぞや 来 ( きた )られしが 母人 ( かさま )はいまだ 赤子 ( ねんね )を見給はざるゆゑことさらの 喜悦 ( よろこび )ならん。 遅 ( おそく )ならば 一宿 ( とまり )てもよからんか、 郎 ( おまへ )も 宿 ( とまり )給へ。 朗々 ( のどか )なりしも 掌 ( てのひら )をかへすがごとく 天 ( てん ) 怒 ( いかり ) 地 ( ち ) 狂 ( くるひ )、寒風は 肌 ( はだへ )を 貫 ( つらぬく )の 鎗 ( やり )、 凍雪 ( とうせつ )は 身 ( み )を 射 ( いる )の 箭 ( や )也。 夫 ( をつと )は 簑笠 ( みのかさ )を吹とられ、 妻 ( つま )は 帽子 ( ばうし )を 吹 ( ふき )ちぎられ、 髪 ( かみ )も吹みだされ、 咄嗟 ( あはや )といふ 間 ( ま )に 眼口 ( めくち ) 襟袖 ( えりそで )はさら也、 裾 ( すそ )へも雪を吹いれ、 全身 ( ぜんしん ) 凍 ( こゞえ ) 呼吸 ( こきう ) 迫 ( せま )り 半身 ( はんしん )は 已 ( すで )に雪に 埋 ( う )められしが、 命 ( いのち )のかぎりなれば 夫婦 ( ふうふ ) 声 ( こゑ )をあげほうい/\と 哭叫 ( なきさけべ )ども、 往来 ( ゆきゝ )の人もなく 人家 ( じんか )にも 遠 ( とほ )ければ 助 ( たすく )る人なく、手足 凍 ( こゞへ )て 枯木 ( かれき )のごとく 暴風 ( ばうふう )に 吹僵 ( ふきたふさ )れ、 夫婦 ( ふうふ ) 頭 ( かしら )を 並 ( ならべ )て雪中に 倒 ( たふ )れ 死 ( しゝ )けり。 此 雪吹 ( ふゞき )其日の 暮 ( くれ )に 止 ( やみ )、 次日 ( つぎのひ )は 晴天 ( せいてん )なりければ 近村 ( きんそん )の者四五人此所を 通 ( とほ )りかゝりしに、かの 死骸 ( しがい )は 雪吹 ( ふゞき )に 埋 ( うづめ )られて見えざれども 赤子 ( あかご )の 啼声 ( なくこゑ )を雪の中にきゝければ、人々大に 怪 ( あやし )みおそれて 逃 ( にげ )んとするも 在 ( あり )しが、 剛気 ( がうき )の者雪を 掘 ( ほり )てみるに、まづ女の 髪 ( かみ )の 毛 ( け )雪中に 顕 ( あらはれ )たり。 扨 ( さて )は 昨日 ( きのふ )の 雪吹倒 ( ふゞきたふ )れならん (里言にいふ所)とて皆あつまりて雪を 掘 ( ほり )、 死骸 ( しがい )を見るに 夫婦 ( ふうふ ) 手 ( て )を 引 ( ひき )あひて 死居 ( しゝゐ )たり。 児 ( こ )は母の 懐 ( ふところ )にあり、母の袖 児 ( こ )の 頭 ( かしら )を 覆 ( おほ )ひたれば 児 ( こ )は 身 ( み )に雪をば 触 ( ふれ )ざるゆゑにや 凍死 ( こゞえしな )ず、 両親 ( ふたおや )の 死骸 ( しがい )の中にて又 声 ( こゑ )をあげてなきけり。 雪中の 死骸 ( しがい )なれば 生 ( いけ )るがごとく、 見知 ( みしり )たる者ありて 夫婦 ( ふうふ )なることをしり、 我児 ( わがこ )をいたはりて袖をおほひ夫婦手をはなさずして 死 ( しゝ )たる心のうちおもひやられて、さすがの 若者 ( わかもの )らも 泪 ( なみだ )をおとし、 児 ( こ )は 懐 ( ふところ )にいれ 死骸 ( しがい )は 簑 ( みの )につゝみ 夫 ( をつと )の 家 ( いへ )に 荷 ( にな )ひゆきけり。 かの 両親 ( ふたおや )は夫婦 娵 ( よめ )の家に 一宿 ( とまりし )とのみおもひをりしに、 死骸 ( しがい )を見て 一言 ( ひとこと )の 詞 ( ことば )もなく、 二人 ( ふたり )が 死骸 ( しがい )にとりつき 顔 ( かほ )にかほをおしあて大 声 ( こゑ )をあげて 哭 ( なき )けるは、見るも 憐 ( あはれ )のありさま也。 一人の男 懐 ( ふところ )より 児 ( こ )をいだして 姑 ( しうと )にわたしければ、 悲 ( かなしみ )と 喜 ( よろこび )と 両行 ( りやうかう )の 涙 ( なみだ )をおとしけるとぞ。 雪吹 ( ふゞき )の人を 殺 ( ころ )す事大方右に 類 ( るゐ )す。 暖地 ( だんち )の人花の 散 ( ちる )に 比 ( くらべ )て 美賞 ( びしやう )する 雪吹 ( ふゞき )と其 異 ( ことなる )こと、 潮干 ( しほひ )に 遊 ( あそ )びて 楽 ( たのしむ )と 洪濤 ( つなみ )に 溺 ( おぼれ )て 苦 ( くるしむ )との 如 ( ごと )し。 雪国の 難義 ( なんぎ ) 暖地 ( だんち )の人おもひはかるべし。 連日 ( れんじつ )の 晴天 ( せいてん )も一時に 変 ( へん )じて雪吹となるは雪中の常也。 其 力 ( ちから ) 樹 ( き )を 抜 ( ぬき ) 屋 ( いへ )を 折 ( くじく )。 人家これが 為 ( ため )に 苦 ( くるし )む事 枚挙 ( あげてかぞへ )がたし。 雪吹に 逢 ( あひ )たる時は雪を 掘 ( ほり )身を其内に 埋 ( うづむ )れば雪 暫時 ( ざんじ )につもり、雪中はかへつて 温 ( あたゝか )なる 気味 ( きみ )ありて 且 ( かつ ) 気息 ( いき )を 漏 ( もら )し死をまぬがるゝ事あり。 雪中を 歩 ( ほ )する人 陰嚢 ( いんのう )を 綿 ( わた )にてつゝむ事をす、しかせざれば 陰嚢 ( いんのう )まづ 凍 ( こほり )て 精気 ( せいき ) 尽 ( つく )る也。 又 凍死 ( こゞえしゝ )たるを 湯火 ( たうくわ )をもつて 温 ( あたゝむ )れば 助 ( たすか )る事あれども 武火 ( つよきひ ) 熱湯 ( あつきゆ )を 用 ( もち )ふべからず。 命 ( いのち )たすかりたるのち 春暖 ( しゆんだん )にいたれば 腫 ( はれ ) 病 ( やまひ )となり 良医 ( りやうい )も 治 ( ぢ )しがたし。 凍死 ( こゞえしゝ )たるはまづ 塩 ( しほ )を 熬 ( いり )て 布 ( ぬの )に 包 ( つゝみ )しば/\ 臍 ( へそ )をあたゝめ 稿火 ( わらび )の 弱 ( よわき )をもつて 次第 ( しだい )に 温 ( あたゝむ )べし、 助 ( たすか )りたるのち 病 ( やまひ )を 発 ( はつ )せず。 ( 人肌 ( ひとはだ )にて 温 ( あたゝ )むはもつともよし) 手足 ( てあし )の 凍 ( こゞえ )たるも 強 ( つよ )き 湯火 ( たうくわ )にてあたゝむれば、 陽気 ( やうき )いたれば 灼傷 ( やけど )のごとく 腫 ( はれ )、つひに 腐 ( くさり )て 指 ( ゆび )をおとす、百 薬 ( やく ) 功 ( こう )なし。 これ 我 ( わ )が見たる所を 記 ( しる )して人に 示 ( しめ )す。 人の 凍死 ( こゞえし )するも手足の 亀手 ( かゞまる )も 陰毒 ( いんどく )の 血脉 ( けちみやく )を 塞 ( ふさ )ぐの也。 俄 ( にはか )に 湯火 ( たうくわ )の 熱 ( ねつ )を以て 温 ( あたゝむ )れば 人精 ( じんせい )の 気血 ( きけつ )をたすけ、 陰毒 ( いんどく ) 一旦 ( いつたん )に 解 ( とく )るといへども 全 ( まつた )く 去 ( さら )ず、 陰 ( いん )は 陽 ( やう )に 勝 ( かた )ざるを以て 陽気 ( やうき ) 至 ( いたれ )ば 陰毒 ( いんどく ) 肉 ( にく )に 暈 ( しみ )て 腐 ( くさる )也。 寒中 雨雪 ( うせつ )に 歩行 ( ありき )て 冷 ( ひえ )たる人 急 ( きふ )に 湯火 ( たうくわ )を 用 ( もち )ふべからず。 己 ( おのれ )が 人熱 ( じんねつ )の 温 ( あたゝか )ならしむるをまつて用ふべし、 長生 ( ちやうせい )の一 術 ( じゆつ )なり。 世に越後の 七不思議 ( なゝふしぎ )と 称 ( しよう )する其一ツ 蒲原郡 ( かんばらこほり )妙法寺村の 農家 ( のうか ) 炉中 ( ろちゆう )の 隅 ( すみ ) 石臼 ( いしうす )の 孔 ( あな )より 出 ( いづ )る火、人 皆 ( みな ) 奇 ( き )也として 口碑 ( かうひ )につたへ 諸書 ( しよしよ )に 散見 ( さんけん )す。 此火寛文年中 始 ( はじめ )て 出 ( いで )しと 旧記 ( きうき )に見えたれば、三百余年の今において 絶 ( たゆ )る事なきは 奇中 ( きちゆう )の奇也。 天奇 ( てんき )を 出 ( いだ )す事一ならず、おなじ国の 魚沼郡 ( うおぬまこほり )に又一ツの 奇火 ( きくわ )を 出 ( いだ )せり。 天公 ( てんたうさま )の 機状 ( からくりのしかけ )かの妙法寺村の火とおなじ事也。 彼 ( かれ )は人の 知 ( し )る所、是は他国の人のしらざる所なればこゝに 記 ( しるし )て 話柄 ( はなしのたね )とす *3。 その中に一人の 童 ( わらべ ) 家 ( いへ )にかへり 事 ( こと )の 仔細 ( しさい )を 親 ( おや )に 語 ( かたり )けるに、 此親 ( このおや )心ある者にてその所にいたり火の 形状 ( かたち )を見るに、いまだ 消 ( きえ )ざる雪中に 手 ( て )を入るべきほどの 孔 ( あな )をなし 孔 ( あな )より三四寸の上に火 燃 ( もゆ )る。 熟覧 ( よく/\みて )おもへらく、これ 正 ( まさ )しく妙法寺村の火のるゐなるべしと 火口 ( ひぐち )に石を入れてこれを 消 ( け )し家にかへりて人に 語 ( かたら )ず、雪きえてのち 再 ( ふたゝび )その所にいたりて見るに火のもえたるはかの 小溝 ( こみぞ )の 岸 ( きし )也。 火燧 ( ひうち )をもて 発燭 ( つけぎ )に火を 点 ( てん )じ 試 ( こゝろみ )に池中に 投 ( なげ )いれしに、 池中 ( ちちゆう )火を 出 ( いだ )せし事 庭燎 ( にはび )のごとし。 水上に火 燃 ( もゆ )るは妙法寺村の火よりも 奇 ( き )也として 駅中 ( えきちゆう )の人々 来 ( きた )りてこれを 視 ( み )る。 そのゝち銭に 才 ( かしこき )人かの池のほとりに 混屋 ( ふろや )をつくり、 筧 ( かけひ )を以て水をとるがごとくして地中の火を引き 湯槽 ( ゆぶね )の 竈 ( かまど )に 燃 ( もや )し、又 燈火 ( ともしび )にも 代 ( かゆ )る。 此湯 硫黄 ( ゆわう )の気ありて 能 ( よく ) 疥癬 ( しつ )の 類 ( るゐ )を 治 ( ぢ )し、 一時 ( いちじ ) 流行 ( りうかう )して人群をなせり。 かるがゆゑに火脉は 甚 ( はなはだ ) 稀 ( まれ )也。 地中の火脉 凝結 ( こりむすぶ )ところかならず 気息 ( いき )を 出 ( いだ )す事人の気息のごとく、 肉眼 ( にくがん )には見えず。 火脉 ( くわみやく )の 気息 ( いき )に 人間 ( にんげん ) 日用 ( にちよう )の 陽火 ( ほんのひ )を 加 ( くはふ )ればもえて 焔 ( ほのほ )をなす、これを 陰火 ( いんくわ )といひ 寒火 ( かんくわ )といふ。 寒火を 引 ( ひく )に 筧 ( かけひ )の 筒 ( つゝ )の 焦 ( こげ )ざるは、火脉の気いまだ陽火をうけて火とならざる 気息 ( いき )ばかりなるゆゑ也。 陽火をうくれば筒の口より一二寸の上に火をなす、こゝを以て 火脉 ( くわみやく )の気息の 燃 ( もゆ )るを 知 ( し )るべし。 妙法寺村の火も是也。 是 余 ( よ )が 発明 ( はつめい )にあらず、 古書 ( こしよ )に 拠 ( より )て 考得 ( かんがへえ )たる所也。 *4 魚沼郡 ( うをぬまこほり ) 清水 ( しみづ )村の 奥 ( おく )に山あり、高さ一里あまり、 周囲 ( めぐり )も一里あまり也。 山中すべて大小の 破隙 ( われめ )あるを以て山の名とす。 山半 ( やまのなかば )は 老樹 ( らうじゆ ) 条 ( えだ )をつらね 半 ( なかば )より上は 岩石 ( がんぜき ) 畳々 ( でふ/\ )として 其形 ( そのかたち ) 竜躍 ( りようをどり ) 虎怒 ( とらいかる )がごとく 奇々怪々 ( きゝくわい/\ ) 言 ( いふ )べからず。 麓 ( ふもと )の左右に 渓川 ( たにがは )あり 合 ( がつ )して 滝 ( たき )をなす、 絶景 ( ぜつけい )又 言 ( いふ )べからず。 旱 ( ひでり )の時此 滝壺 ( たきつぼ )に ( あまこひ )すればかならず 験 ( しるし )あり。 一年 ( ひとゝせ )四月の 半 ( なかば )雪の 消 ( きえ )たる 頃 ( ころ )清水村の 農夫 ( のうふ )ら二十人あまり 集 ( あつま )り、 熊 ( くま )を 狩 ( から )んとて此山にのぼり、かの 破隙 ( われめ )の 窟 ( うろ )をなしたる所かならず熊の 住処 ( すみか )ならんと、 例 ( れい )の 番椒烟草 ( たうがらしたばこ )の 茎 ( くき )を 薪 ( たきゞ )に 交 ( まぜ )、 窟 ( うろ )にのぞんで 焚 ( たき )たてしに熊はさらに 出 ( いで )ず、 窟 ( うろ )の 深 ( ふかき )ゆゑに 烟 ( けふり )の 奥 ( おく )に 至 ( いた )らざるならんと 次日 ( つぎのひ )は 薪 ( たきゞ )を 増 ( ま )し山も 焼 ( やけ )よと 焚 ( たき )けるに、熊はいでずして一山の 破隙 ( われめ )こゝかしこより 烟 ( けふり )をいだして 雲 ( くも )の 起 ( おこる )が 如 ( ごと )くなりければ、 奇異 ( きい )のおもひをなし熊を 狩 ( から )ずして 空 ( むな )しく立かへりしと清水村の 農夫 ( のうふ )が 語 ( かた )りぬ。 おもふに此山 半 ( なかば )より上は岩を 骨 ( ほね )として 肉 ( にく )の 土 ( つち ) 薄 ( うす )く 地脉 ( ちみやく )気を 通 ( つう )じて 破隙 ( われめ )をなすにや、天地妙々の 奇工 ( きこう ) 思量 ( はかりしる )べからず。 山より雪の 崩頽 ( くづれおつる )を 里言 ( さとことば )に なだれといふ、又なでともいふ。 按 ( あんずる )になだれは 撫下 ( なでおり )る也、 るを れといふは 活用 ( はたらかする )ことばなり、山にもいふ也。 こゝには 雪頽 ( ゆきくづる )の 字 ( じ )を 借 ( かり )て 用 ( もち )ふ。 字書 ( じしよ )に 頽 ( たい )は 暴風 ( ばうふう )ともあればよく 叶 ( かな )へるにや。 さて 雪頽 ( なだれ )は 雪吹 ( ふゞき )に 双 ( ならべ )て雪国の 難義 ( なんぎ )とす。 高山 ( たかやま )の雪は里よりも 深 ( ふか )く、 凍 ( こほ )るも又里よりは 甚 ( はなはだ )し。 我国東南の山々 里 ( さと )にちかきも雪一丈四五尺なるは 浅 ( あさ )しとす。 此雪こほりて岩のごとくなるもの、二月のころにいたれば 陽気 ( やうき )地中より 蒸 ( むし )て 解 ( とけ )んとする時地気と天気との 為 ( ため )に 破 ( われ )て 響 ( ひゞき )をなす。 一 片 ( へん ) 破 ( われ )て 片々 ( へん/\ )破る、其ひゞき大木を 折 ( をる )がごとし。 これ 雪頽 ( なだれ )んとするの 萌 ( きざし )也。 山の 地勢 ( ちせい )と日の 照 ( てら )すとによりてなだるゝ 処 ( ところ )となだれざる処あり、なだるゝはかならず二月にあり。 里人 ( さとひと )はその時をしり、処をしり、 萌 ( きざし )を 知 ( し )るゆゑに、なだれのために 撃死 ( うたれし )するもの 稀 ( まれ )也。 しかれども天の 気候 ( きこう ) 不意 ( ふい )にして一 定 ( ぢやう )ならざれば、 雪頽 ( なだれ )の下に身を 粉 ( こ )に 砕 ( くだく )もあり。 此時はかならず 暴風 ( はやて )力をそへて粉に 砕 ( くだき )たる 沙礫 ( こじやり )のごとき雪を 飛 ( とば )せ、白日も 暗夜 ( あんや )の如くその 慄 ( おそろ )しき事 筆帋 ( ひつし )に 尽 ( つく )しがたし。 此 雪頽 ( なだれ )に 命 ( いのち )を 捨 ( おと )しし人、命を 拾 ( ひろひ )し人、我が 見聞 ( みきゝ )したるを 次 ( つぎ )の 巻 ( まき )に 記 ( しる )して 暖国 ( だんこく )の人の 話柄 ( はなしのたね )とす。 或人 ( あるひと ) 問 ( とふて ) 曰 ( いはく )、雪の 形 ( かたち ) 六出 ( むつかど )なるは 前 ( まえ )に 弁 ( べん )ありて 詳 ( つまびらか )也。 雪頽 ( なだれ )は雪の 塊 ( かたまり )ならん、 砕 ( くだけ )たる 形 ( かたち )雪の 六出 ( むつかど )なる 本形 ( ほんけい )をうしなひて 方形 ( かどだつ )はいかん。 答 ( こたへ )て 曰 ( いはく )、地気天に 変格 ( へんかく )して雪となるゆゑ天の 円 ( まるき )と地の 方 ( かく )なるとを 併合 ( あはせ )て 六出 ( むつかど )をなす。 六出 ( りくしゆつ )は 円形 ( まろきかたち )の 裏 ( うら )也。 雪 天陽 ( てんやう )を 離 ( はなれ )て 降下 ( ふりくだ )り地に 皈 ( かへれ )ば天 陽 ( やう )の 円 ( まろ )き 象 ( かたどり )うせて地 陰 ( いん )の 方 ( かく )なる 本形 ( ほんけい )に 象 ( かたど )る、ゆゑに 雪頽 ( なだれ )は千も万も 圭角 ( かどだつ )也。 このなだれ 解 ( とけ )るはじめは 角々 ( かど/\ ) 円 ( まろ )くなる、これ 陽火 ( やうくわ )の日にてらさるゝゆゑ天の 円 ( まろき )による也。 陰中 ( いんちゆう )に 陽 ( やう )を 包 ( つゝ )み、 陽中 ( やうちゆう )に 陰 ( いん )を 抱 ( いだく )は天地 定理中 ( ぢやうりちゆう )の 定格 ( ぢやうかく )也。 老子経 ( らうしきやう )第四十二 章 ( しやう )に 曰 ( いはく )、 万物 ( ばんぶつ )負 レ 陰而 ( いんをおびて )抱 レ 陽 ( やうをいだく ) 沖気以 ( ちゆうきもつて )為 レ 和 ( くわをなす )といへり。 此 理 ( り )を以てする時はお 内義 ( ないぎ )さまいつもお内義さまでは 陰中 ( いんちゆう )に陽を 抱 ( いだか )ずして 天理 ( てんり )に 叶 ( かなは )ず、をり/\は 夫 ( をつと )に 代 ( かは )りて 理屈 ( りくつ )をいはざれば 家内 ( かない ) 治 ( おさまら )ず、さればとて 理屈 ( りくつ )に 過 ( すぎ ) 牝鳥 ( めんどり ) 旦 ( とき )をつくれば、これも又家内の 陰陽 ( いんやう ) 前後 ( ぜんご )して 天理 ( てんり )に 違 ( たが )ふゆゑ家の 亡 ( ほろぶ )るもと也。 万物 ( ばんぶつ )の天理 誣 ( しふ )べからざる事かくのごとしといひければ、 問客 ( とひしひと ) 唯々 ( いゝ )として 去 ( さ )りぬ。 雪頽の 図 ( づ )多く方形に 从 ( したが )ふものは、其七八をとりて 模様 ( もやう )を 為 ( なす )すのみ。 北越雪譜初編巻之上 終 [#改丁] 我 ( わが ) 住 ( すむ ) 魚沼郡 ( うをぬまこほり )の内にて 雪頽 ( なだれ )の 為 ( ため )に 非命 ( ひめい )の 死 ( し )をなしたる事、其村の人のはなしをこゝに 記 ( しる )す。 しかれども人の 不祥 ( ふしやう )なれば 人名 ( じんめい )を 詳 ( つまびらか )にせず。 いづれも 孝子 ( かうし )の 聞 ( きこえ )ありけり。 一年 ( ひとゝせ )二月のはじめ 主人 ( あるじ )は朝より用ある所へ 出行 ( いでゆき )しが、其日も 已 ( すで )に 申 ( さる )の頃なれど 皈 ( かへ )りきたらず。 さのみ 間 ( ひま )をとるべき用にもあらざりければ、家内 不審 ( ふしん )におもひ 忰 ( せがれ ) 家僕 ( かぼく )をつれて其家にいたり 父 ( ちゝ )が事をたづねしに、こゝへはきたらずといふ。 しからばこゝならんかしこならんなど 家僕 ( かぼく )とはかりて 尋求 ( たづねもとめ )しかど 更 ( さら )に 音問 ( おとづれ )をきかず、日もはや 暮 ( くれ )なんとすれば 空 ( むな )しく家に 皈 ( かへ )りしか/\のよし母に 語 ( かた )りければ、こは 心得 ( こゝろえ )ぬ事也とて心あたりの処こゝかしこへ人を 走 ( はし )らせて 尋 ( たづね )させけるにその 在家 ( ありか )さらにしれず。 其夜 四更 ( しかう )の 頃 ( ころ )にいたれども 主人 ( あるじ )は 皈 ( かへ )らず。 我は 宿 ( やど )へ 皈 ( かへ )り足にて 遙 ( はるか )に 行過 ( ゆきすぎ )たる 頃 ( ころ ) 例 ( れい )の 雪頽 ( なだれ )の 音 ( おと )をきゝて、これかならずかの山ならんと 嶺 ( たふげ )を 无事 ( ぶじ )に 通 ( とほ )りしをよろこびしにつけ、こゝのあるじはふもとを 无難 ( ぶなん )に 行過 ( ゆきすぎ )給ひしや、万一なだれに 逢 ( あひ )はし給はざりしかと 案 ( あん )じつゝ 宿 ( やど )へかへりぬ。 今に 皈 ( かへ )り給はぬはもしやなだれにといひて 眉 ( まゆ )を 皺 ( しは )めければ、親子は心あたりときゝてたのみし事も 案 ( あん )にたがひて、顔見あはせ 泪 ( なみだ )さしぐむばかり也。 老夫 ( らうふ )はこれを見てそこ/\に立かへりぬ。 集居 ( あつまりゐ )たる 若人 ( わかて )どもこれをきゝて、さらばなだれの処にいたりてたづねみん 炬 ( たいまつ )こしらへよなど 立騒 ( たちさわ )ぎければ、ひとりの 老人 ( らうじん )がいふ、いな/\まづまち候へ、 遠 ( とほ )くたづねに 行 ( ゆき )し 者 ( もの )もいまだかへらず、今にもその人とおなじくあるじの 皈 ( かへ )りたまはんもはかりがたし、 雪頽 ( なだれ )にうたれ給ふやうなる 不覚人 ( ふかくにん )にはあらざるを、かの 老奴 ( おやぢ )めがいらざることをいひて 親子 ( おやこ )たちの心を 苦 ( くるしめ )たりといふに、親子はこれに 励 ( はげま )されて 心慰 ( こゝろひらけ ) 酒肴 ( しゆかう )をいだして人々にすゝむ。 これを見て 皆 ( みな )打ゑみつゝ 炉辺 ( ろへん )に 座列 ( ゐならび )て酒 酌 ( くみ )かはし、やゝ時うつりて 遠 ( とほ )く 走 ( はせ )たる者ども立かへりしに、 行方 ( ゆくへ )は 猶 ( なほ )しれざりけり。 さて 雪頽 ( なだれ )を見るにさのみにはあらぬすこしのなだれなれば、 道 ( みち )を 塞 ( ふさぎ )たる事二十 間 ( けん ) 余 ( あま )り雪の 土手 ( どて )をなせり。 よしやこゝに死たりともなだれの下をこゝぞとたづねんよすがもなければ、いかにやせんと人々 佇立 ( たゝずみ )たるなかに、かの 老人 ( らうじん )よし/\ 所為 ( しかた )こそあれとて、 若 ( わか )き 者 ( もの )どもをつれ 近 ( ちか )き村にいたりて ( にはとり )をかりあつめ、 雪頽 ( なだれ )の上にはなち 餌 ( ゑ )をあたえつゝおもふ処へあゆませけるに、一羽の 羽たゝきして時ならぬに 為晨 ( ときをつくり )ければ 余 ( ほか )のにはとりもこゝにあつまりて 声 ( こゑ )をあはせけり。 こは 水中 ( すゐちゆう )の 死骸 ( しがい )をもとむる 術 ( じゆつ )なるを雪に 用 ( もち )ひしは 応変 ( おうへん )の才也しと、のち/\までも人々いひあへり。 老人 衆 ( しゆう )にむかひ、あるじはかならず此下に 在 ( あ )るべし、いざ 掘 ( ほ )れほらんとて大勢一度に立かゝりて 雪頽 ( なだれ )を 砕 ( くだ )きなどして 掘 ( ほり )けるほどに、大なる 穴 ( あな )をなして六七尺もほり入れしが目に見ゆるものさらになし。 猶 ( なほ )ちからを 尽 ( つく )してほりけるに 真白 ( ましろ )なる雪のなかに 血 ( ち )を 染 ( そめ )たる雪にほりあて、すはやとて 猶 ( なほ )ほり入れしに 片腕 ( かたうで )ちぎれて 首 ( くび )なき 死骸 ( しがい )をほりいだし、やがて 腕 ( かひな )はいでたれども首はいでず。 こはいかにとて 広 ( ひろ )く穴にしたるなかをあちこちほりもとめてやう/\ 首 ( くび )もいでたり、雪中にありしゆゑ 面 ( おもて ) 生 ( いけ )るがごとく也。 さいぜんよりこゝにありつる 妻 ( つま )子らこれを見るより 妻 ( つま )は 夫 ( をつと )が 首 ( くび )を 抱 ( かゝ )へ、子どもは 死骸 ( しがい )にとりすがり 声 ( こゑ )をあげて 哭 ( なき )けり、人々もこのあはれさを見て 袖 ( そで )をぬらさぬはなかりけり。 かくてもあられねば 妻 ( つま )は 着 ( き )たる 羽織 ( はおり )に 夫 ( をつと )の 首 ( くび )をつゝみてかゝへ、 世息 ( せがれ )は 布子 ( ぬのこ )を 脱 ( ぬぎ )て父の 死骸 ( しがい )に 腕 ( うで )をそへて 泪 ( なみだ )ながらにつゝみ 脊負 ( せおは )んとする時、さいぜん 走 ( はし )りたる 者 ( もの )ども 戸板 ( といた )むしろなど 担 ( かた )げる用意をなしきたり、 妻 ( つま )がもちたる 首 ( くび )をもなきからにそへてかたげければ、人々 前後 ( ぜんご )につきそひ、つま子らは 哭 ( なく )々あとにつきて 皈 ( かへ )りけるとぞ。 此ものがたりは 牧之 ( ぼくし )が 若 ( わか )かりし時その事にあづかりたる人のかたりしまゝをしるせり。 これのみならずなだれに命をうしなひし人 猶 ( なほ ) 多 ( おほ )かり、またなだれに家をおしつぶせし事もありき。 其 ( その ) 怖 ( おそろし )さいはんかたなし。 かの 死骸 ( しがい )の 頭 ( かしら )と 腕 ( かひな )の 断離 ( ちぎれ )たるは、なだれにうたれて 磨断 ( すりきら )れたる也。 なだれは 敢 ( あへ )て山にもかぎらず、 形状 ( かたち ) 峯 ( みね )をなしたる処は時としてなだるゝ事あり。 文化のはじめ 思川村 ( おもひがはむら ) 天昌寺 ( てんしやうじ )の 住職 ( じゆうしよく ) 執中和尚 ( しつちゆうをせう )は 牧之 ( ぼくし )が 伯父 ( をぢ )也。 仲冬のすゑ此人 居間 ( ゐま )の二階にて 書案 ( つくゑ )によりて物を 書 ( かき )てをられしが、 窓 ( まど )の 庇 ( ひさし )に 下 ( さが )りたる 垂氷 ( つらゝ )の五六尺なるが 明 ( あか )りに 障 ( さは )りて 机 ( つくゑ )のほとり 暗 ( くら )きゆゑ、家の 檐 ( のき )にいで 家僕 ( しもべ )が雪をほらんとてうちおきたる 木鋤 ( こすき )をとり、かのつらゝを 打 ( うち )をらんとて一打うちけるに、此ひゞきにやありけん (里言につらゝを かなこほりといふ、たるひとは古言にもいふ)本堂に 積 ( つもり )たる雪の片屋根 磊々 ( ぐら/\ )となだれおち、 土蔵 ( どざう )のほとりに 清水 ( しみづ )がゝりの池ありしに、和尚なだれに 押落 ( おしおと )され池に入るべきを、なだれの 勢 ( いきほ )ひに 身 ( み )は 手鞠 ( てまり )のごとく池をもはねこえて 掘揚 ( ほりあげ )たる雪に 半身 ( はんしん )を 埋 ( うづ )められ、あとさけびたるこゑに 庫裏 ( くり )の雪をほりゐたるしもべら 馳 ( はせ )きたり、 持 ( もち )たる 木鋤 ( こすき )にて和尚を 掘 ( ほり )いだしければ、和尚大に 笑 ( わら )ひ 身 ( み )うちを見るに 聊 ( いさゝか )も 疵 ( きず )うけず、 耳 ( みゝ )に 掛 ( かけ )たる 眼鏡 ( めかね )さへつゝがなく 不思議 ( ふしぎ )の命をたすかり給ひぬ。 此時七十 余 ( よ )の 老僧 ( らうそう )也しが、 前 ( まへ )にいへる 何村 ( なにむら )の人の 不幸 ( ふかう )に 比 ( くらぶ )れば万死に一生をえられたる 天幸 ( てんかう )といひつべし。 齢 ( よはひ )も八十余まで 无病 ( むびやう )にして文政のすゑに 遷化 ( せんげ )せられき。 平日 余 ( よ )に 示 ( しめ )していはれしは、我 雪頽 ( なだれ )に 撞 ( うた )れしとき筆を 採 ( と )りて 居 ( ゐ )たりしは、 尊 ( たふと )き 仏経 ( ぶつきやう )なりしゆゑたゞにやはとて一 字 ( じ ) 毎 ( ごと )に 念仏 ( ねんぶつ )申て 書居 ( かきを )れり、しかるに 雪頽 ( なだれ )に死すべかりしを 不思議 ( ふしぎ )に 命 ( いのち ) 助 ( たす )かりしは一 字 ( じ ) 念仏 ( ねんぶつ )の 功徳 ( くどく )にてやありけん。 神仏 ( かみほとけ )を 信 ( しん )ずる心の 中 ( うち )より悪心はいでぬもの也。 悪心の 无 ( なき )が 災難 ( さいなん )をのがるゝ第一也とをしへられき。 今も 猶 ( なほ ) 耳 ( みゝ )に残れり。 人智 ( じんち )を 尽 ( つく )してのちはからざる 大難 ( だいなん )にあふは 因果 ( いんぐわ )のしからしむる処ならんか。 人にははかりしりがたし。 人家の 雪頽 ( なだれ )にも家を 潰 ( つぶ )せし事人の死たるなどあまた 見聞 ( みきゝ )したれども、さのみはとてしるさず。 さきのとし玉山翁が 梓行 ( しかう )せられし 軍物語 ( いくさものがたり )の画本の中に、越後の雪中にたゝかひしといふ 図 ( づ )あり。 文には 深雪 ( みゆき )とありて、しかも十二月の事なるに、ゑがきたる 軍兵 ( ぐんびやう )どもが 挙止 ( ふるまひ )を見るに雪は 浅 ( あさ )く見ゆ。 (越後の雪中馬足はたちがたし、ゆゑに農人すら雪中牛馬を用ひず、いわんや軍馬をや、しかるを馬上の戦ひにしるしたるは作者のあやまり也、したがふて画者も 誤 ( あやま )れる也、雪あさき国の人の画作なれば雪の実地をしらざるはうべ也)越後雪中の 真景 ( しんけい )には甚しくたがへり。 しかしながら 画 ( ゑ )には 虚 ( そらごと )もまじへざればそのさまあしきもあるべけれど、あまりにたがひたれば玉山の玉に 瑾 ( きず )あらんも 惜 ( をし )ければ、かねて 書通 ( しよつう )の 交 ( まじは )りにまかせて牧之が 拙 ( つたな )き筆にて雪の 真景 ( しんけい ) 種々 ( かず/\ ) 写 ( うつ )し、 猶 ( なほ ) 常 ( つね )に見ざる真景もがなと春の 半 ( なかば )わざ/\ 三国嶺 ( みくにたふげ )にちかき 法師嶺 ( ほふしたふげ )のふもとに 在 ( あ )る 温泉 ( をんせん )に 旅 ( やど )りそのあたりの雪を見つるに、 高 ( たか )き 峯 ( みね )よりおろしたるなだれなどは、五七 間 ( けん )ほどなる四角或は三角なる雪の長さは二三十 間 ( けん )もあらんとおもふが谷によこたはりたる上に、なほ 幾 ( いく )つとなく大小かさなりたるなど、雪国にうまれたる目にさへその 奇観 ( きくわん )ことばには 尽 ( つく )しがたし。 これらの 真景 ( しんけい )をも 其座 ( そのざ )にうつしとりたるを 添 ( そへ )て 贈 ( おく )りしに、玉山翁が 返書 ( へんしよ )に、 北越 ( ほくゑつ )の雪 我 ( わ )が 机上 ( きしやう )にふりかゝるがごとく目をおどろかし候、これらの 図 ( づ )をなほ多くあつめ文を 添 ( そへ )させ私筆にて 例 ( れい )の 絵本 ( ゑほん )となし候はゞ、其 書 ( しよ )雪の 霏.

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4文字: 書作品と漢語集

樽商 まなば

学内限定コンテンツを登録など個人識別できるようにして自宅などからも見れるようにしてほしい。 wifiをサークル会館まで飛ばしてほしい。 ・JRの時刻と大学から小樽駅に向かうバスの時刻書いて欲しい• ・掲示板に貼られる情報をネットでも見れるようにして欲しい• ・図書館の大画面のモニターは無駄が多い。 新刊情報など• ・それぞれの授業の履修登録者のみへの休講情報。 ・E-learningとmanabaの融合• ・携帯なくしたりした人は不便• ・図書館じゃなく、三号館などの入口付近に設置してあるとより便利• ・掲示板をいちいち見るのが面倒• 「言葉」のコーナーは誰が見ているのでしょうか?何も感じないような言葉が紹介されていたりすると腹が立ちます。 *OUCnaviからe-learningが見れない• *学生連絡室に行くのが面倒• *休講情報の不具合• *e-learningとかmanabaとかまぎらわしい• 1週間の天気が知りたい• E-learning,manaba,oucNAVIなど色々ありすぎてたまに混乱することがある。 e-learningに授業連絡のために毎度アクセスするのが面倒だし、チェックし忘れたりするので、専用アプリなどをつくって、新しい情報が更新されたら通知が来るようにして欲しい!!!• E-learningやmanaba、教員のHPなど…学生への情報提供がバラバラ• e-learningやoucナビやmanabaとか色々サイトが多すぎて面倒くさい• iPhone4sとかスマホで学内限定ってでます Wi-Fiなのに!!!!• ともだちが困ってます• iPhoneだと画面が小さいので、iPadを商大生全員にあてがってほしい• JRの時刻ももしのせれるなら• のせてほしいです• JRの時刻をのせてほしい• JRの時刻を出して欲しい• JRの時刻を載せてほしいです。 タブレットで見るときはいいけど、スマホから見ずらいです。 JRの時刻欲しい• jrの時刻表ものせてほしい。 JRの時間も教えてほしい。 eラーニングからプリントアウトしたりするのが面倒。 JRの時間も載せて• 図書館にいちいち行かないといけないのが大変• manaba、E-learning、キャンパススクエアなど、サイトがばらばらにわかれすぎてて面倒。 一つのサイトにまとめるべき。 ouc naviからe-learningが開けません。 ouc naviで休講情報だけでなく講義の連絡事項も見れるようにしてほしい• ouc naviの情報量が少ない• 掲示板の内容が欲しい• ouc naviの情報量が少ない。 OUCnaviが学内でしかつかえないというのは不便である。 E-learningも同様である。 OUCnaviが学内でしかつかえないというのは不便である。 E-learningも同様である。 OUCnaviを、スマホで見れるから、図書館にあるのはあまり見ません。 もっと、毎日通るようなところ、例えば3号館の前とかにあればいいと思います。 OUCナビからe-learningなどにいこうとするとforbittenとでる• oucナビからとべるeラーニングがつながらない。 私だけ?• OUCナビで教室変更の情報とJRの時間がわからない• 図書館に画面があっても見る機会が少ない• まなばとかイーラーニングとかややこしい• OUCナビとかもそうだけど、情報を提供されるだけで生徒から情報を提供する場がない。 生徒から電光掲示板やOUCナビに情報提供できるようになればいいと思う• OUCナビへアクセスしずらいことが多い• OUCナビをアプリ化してほしい。 いくらサイト内を情報活用方法の改善をしたところで、サイトに飛ばなきゃなにも意味ない。 だからアプリ化して手軽に見れるようにしてほしい。 Wi-Fiがつながらない• WI-Fiにつながないとこのアンケートにこたえられないのがめんどい。 普通に見られるようにするか、Wi-Fiをもっと簡単につなげるようにしてほしい• Wi-Fiの範囲を広げる• Wi-Fiの範囲を拡大してほしい!• Wi-Fiの繋がる範囲が狭い• Wi-Fiを学校の建物内だけでなく、サークル会館とかまで飛ばして欲しい• Wifiが登録しないと使えないのが面倒臭い• wifiのつながるとこが少ない• 学区内限定になってはいれない• あっても使う人が少ないので、もっと知られたほうが• あっても使う人が少ないので、もっと知られたほうが• ありません。 いーらーにんぐとかまなばとかよくわからなくなる• いちいちE-leaningに繋ぎ、確認するのはめんどくさい!だから更新しました的なメールがくるといい!• あと学校の隅から隅までWi-Fiになるのはいつですか?• ウェブサイトでよく学内限定といって閲覧できないことがある。 ガラケーに優しくない• ガラケーの人がきつい• ガラケーの人とスマホの人との情報格差• ガラケーの人は情報が回って来づらいのがダメだと思いまーす• キャンパススクエアの履修登録を学校でしか出来ないのが不便。 あと、登録されたのか不安になる。 キャンパススクエアやeラーニングなど大学で使うサイトを一つにするか、ログインしたままリンクから飛べるようになると使いやすくなると思う。 コピー現金でできるよーにしてほしい• 3Gつながらない• wifiのやり方わからない• インターネット使えない環境の人は過ごしづらい• サークルの情報などが出る掲示板などを作って欲しい。 スクリーンの設置場所が少ない• スマホがかなり優遇されてる• ガラケーが悲しい顔してる• スマホのウィジェット画面に休講情報などを貼り付けれない• スマホの充電箇所を増やして欲しい• スマホを利用して得られる情報が多いから、商大の中で、歩きながらスマホをしている人が多くて危険。 スマホを持っている人と持っていない人の差が激しい。 アナログ人間にとってはデジタル格差が激しいと思われる。 スマホを持っている人は使いやすいと思うが、ガラケーのひとは見にくいのかなとおもう。 情報は全員が活用しやすいのが大事。 スマホ非所持者への対応• スライドだと場所によって見にくかったりするのか困ります• セキュリティ上の問題があるとはいえcanbus squareが学校しか使えないのはつらい。 そう言われましても少々考える時間がないとお応えできません。 タップ可能な部分がわかりづらい• たまに接続できない• デジタルデバイド• デジタルランゲージを見れるのが図書館入り口しかないのが大変、生徒がよく利用する3号館の玄関においてほしい• なんとなく目につかない• バスケしたい。 体育館の使用状況が知りたい。 バスケしたい。 バスだけでなくJRの時刻も載せてほしい。 日経平均株価の情報はあまり使う機会がありません。 バスの出発時刻だけでなくJRも表示してほしい。 バスの時刻表を行きも見れたら良い• バスの時間がない 小樽駅からの• パネルがある場所が限られている 検索機能があったらいい• ほとんどが端末を持っているかもしれないが、持ってない人がいるので、デジタルデバイトが浮き彫りになる。 まず電波がめっちゃ悪い• マナバやoucナビがわかりずらい• 1つですむようにしてほしい• むうい• もっと 多くのところで 情報活用できるようにする• よく行く食堂でも情報を見れる方法がほしい。 わざわざ学生センターに行くのがめんどくさい• わざわざ掲示を見に行かなくてもスマホで見れるようにしてほしい• 不具合によって間違った情報が流れてしまう可能性があるかもしれません。 主な連絡が連絡室に行かなければ手に入らない• 非常にめんどくさい• 休講情報が表示されているの知らなかった• 休講情報だけでなく、各講義のより詳細な情報がわかるようになると便利• 休講情報だけでなく、各講義のより詳細な情報がわかるようになると便利• 休講情報のみだけではなく課題の提出期限などの情報を載せてほしい• 休講情報の曜日はあってるが、日にちを間違えてしまう• 休講情報をすべてのせてほしい!• 休講情報を一括して提供してくれる情報源がない。 その日の食堂のメニュー一覧を表示してほしい。 休講情報を一括して提供してくれる情報源がない。 その日の食堂のメニュー一覧を表示してほしい。 休講情報を大学の入口あたりにも掲示してほしい• 休講案内に曜日も付けてほしい• 何でもかんでも掲示板で情報を提示するところ。 駅から学校までのバスの時刻知りたい。 使える先生がすくない• 使える先生がすくない• 使ってみようと思わせる機能• 先生や部活、サークルごとにさまざまなSNSを使っていて、混乱するので、統一してほしい。 全教員にデジタルに対応してほしい。 デジタルに対応してほしい。 ある人は連絡室、ある人は電子掲示板では困る。 全授業が同一のシステムを使ってほしい。 授業ごとに異なるからIDやパスワードの管理、ページの管理が面倒。 友達がいまつながらないそうなので、このサイトにつながるようにしてほしい。 友達のすまほがカスすぎて見れないらしい• 商大ホームページの大学構内図を教室番号など細かく表示してほしい• 商大側からメールとかで休講情報しらせてほしい• 問題は。。。 情報を載せたどころはバラバラ まとめにくいかな。。。 ouc naviで ドキドキそこにかいたアドレスリンクは使えない 特に自分のLTEを使う時• 図書館においてある掲示板をできれば校門付近 よく通る場所 に設置して欲しい• 図書館に行かないと情報を見れないので、三号館一階などにあった方が見やすいと思う。 図書館に行かないと見れない、一度に表示できる情報量が少ない• 図書館に行けば休講情報は手にはいるが、校内じゃないとその情報は手に入らない。 スマホがないと、出れる授業が限られる• 図書館のところにあるモニターは、画面がいくつか切り替わるので知りたい情報が出るまで待たなければならないときがある。 図書館のモニターだと、場所が限定されすぎている• 図書館の巨大スクリーンの右半分の本紹介などはほとんど見ないから、もっと別な、例えば1人暮らしお得情報とか載っけてほしい• 図書館以外にもデジタルサイネージがあればいいと思う。 図書館入り口前の電子掲示板誰もそんな見てないと思う。 図書館前の電子掲示板は、凄いとは思うけど実際のところはあまり活用していない。 画面が勝手に切り替わるのであまり見ないで素通りしてしまう。 タッチ式にして自分で操作したい。 大学に来なければ分からないことが多すぎる。 教室変更や履修抽選、授業の連絡など、リアルタイムで確認できるようにしてほしい。 図書館前のモニターに何の存在価値があるのか分からない。 これを見て新たに情報を得ている人はどれだけいるのか。 大学の地図というかどこに何号室があるとかキャリア支援センターはここにあるとかわかる図がネットで見れたり図書館行けば見れたりできたら迷子にならない。 大学内で見れる場所少ない、アナログ派の人への配慮がない• 大画面ディスプレイで見やすいが、電気代などコストがおおきくなりやすい。 学内でしか情報をみられないこと• 学内でしか開けないページがあること• 学内で電波が悪すぎる。 学内限定がやばい• 学内限定からのみアクセスできるものが以外と多い• 学内限定が多い• 学内限定が多すぎて不便• 学内限定に学内にいてもなる• 学内限定やばす• 学校のホームページがみづらい• 学校内限定のものを学外でも使えるようにしてほしい• 学生会館でもWi-Fiをつかいたい。 学生会館などで無線が使えないなど、整備が不十分• 学生掲示板までいくのが面倒• 掲示板の範囲が広くてみにくい• 学生掲示板を毎日見に行くのが面倒であること• 学生連絡センターの掲示が更新されたら、学校に来なくても見ることができるようにしてほしいです• 学生連絡室 または附属図書館 でしか連絡事項の確認ができない点• 学生連絡室が混むので、同じ連絡をOUCナビでも公開したら便利だと思う• 学生連絡室じゃないとわからない情報があるのが困る• 学生連絡室で見れる情報を全部ネットにだしてほしい!• 学生連絡室に行かないと連絡事項がわからないこと 全休のときとか困る! キャンパススクエアを家でも使いたい• 授業の宿題のこととかでたらいいな!! 学生連絡室に行かなければ確認出来ない情報があり、それを見る多くの人で混雑してしまう点• 学生連絡室に貼ってある情報をネットで見たい• 学生連絡室の情報がどれがいつ入った情報かわからない• 学生連絡室の情報が見づらい• 学生連絡室の掲示が見づらい• 学生連絡室の掲示物を自分の携帯でも見れるようにしてほしい• 学生連絡室はちょっとめんどう• 学生連絡室まで行くのがめんどくさい• 学生連絡掲示板を行き帰りで見に行く必要がある• 学食のメニュー表示• 学食や購買の混雑具合や今日のメニューなどが知りたい• 小樽商大用のサイトを一つに統一して欲しい• 小樽市内でやるイベントとかあったら楽しそう、もしくはアンケートとってみたり?• 小樽駅からのJRの発車時刻も出してほしい• 小樽駅から商大へのバスの時刻も載せて欲しい。 小樽駅から商大へのバス時刻が• 載ってないこと• 小樽駅から商大行きのバス時刻ものせてほしい。 履修登録が学校でしかできない問題• 休講情報以外にも連絡室に載っている情報をネットで見れるようにして欲しい• 帰りのバスあっていいけど• おたるからの行きのバスの時間がない• 図書館の掲示板って最初魅力的で立ち寄ってたけど慣れてしまえば素通りが普通になってしまう• 常に更新を気にしなければならないか、新情報は赤字にするなど一目で何が変わり、変わってないのか分かるといい• 常に更新を気にしなければならないか、新情報は赤字にするなど一目で何が変わり、変わってないのか分かるといい• 急遽休講になったとき、通知音とかで知らせてほしい• クレジットの欄の意味がわからない• 焼きそばとかの広告が必要なのかよくわからない• 情報が一括で入手しづらい• 情報が少ない• 情報の更新があったときに通知がくる設定をつけてほしい• 情報を見られるところが図書館しかない• 情報処理センターのパソコンの起動が遅い。 成績等が大学に来ないと見れないと上級生に聞いており、不便だと思う• 授業に関する情報が情報室にしかないというところが面倒• 授業の抽選結果を乗っけて欲しい• 授業中にスマホをいじってる人が多くてキレソウデス。 授業関係の連絡の掲示板をネットでやって欲しい• 掲示されているものをスマホで見たい• 掲示板などが見にくい• 掲示板のプリントを剥がすまでの期間がはっきりしない、貼り出すタイミングをそろえて欲しい。 掲示板の画面が切り替わるのが早い• 掲示板は講義がない日は見に行かないので休講情報以外の連絡も商大のサイトでしてほしい• 掲示板も幾つかのところにありますし、ネットで情報確認のサイトもたくさんあるので、見逃す可能性が高いと思います。 教室の変更の情報がわからないこと• 教室変更の情報知りたい• 教室変更や、教科の情報が学生連絡室でしかみれないので不便• 本の紹介がみにくい〜もっときれいにしてほしい• 札通生は学生連絡室を見る頻度が小樽住みの人より少ない。 大学のホームページにマナバがのっていない。 校内限定でしか使えない機能がいがいと多い• 樽商の中電波悪い• 正門にも、商大掲示板があるといいですーーー• 無理して最先端にこだわらないこと• 特に思いあたりません• 生協会館でWi-Fiが繋がらない。 登録したら休講情報などのお知らせのメールを受け取れるようにしてほしい。 知名度が低い• 場所が悪い• 情報を得るのにそれを利用しようという選択肢がない• 自分に関係ある情報だけまとめてほしい• 衛星電話を標準装備すればこの大学に不可能はなくなる と思う• 覚えるIDやパスワードが多すぎる。 それだけ登録する場所が多すぎ• 逆に情報が飛び交いすぎていてどれが正しいのか判断しにくい。 連絡室だけで載せる情報が多い、学校行かないと見られないのが問題点だと思います。 連絡室に行かないと授業についての連絡がわからない• 各号間に連絡板をつけてほしい• 連絡室の制度を変える• 連絡室の情報がネットで見れない• 連絡室の情報ものせてほしい• 連絡室の情報をホームページに載せてほしいです。 連絡室の情報をみれるようにしてほしい、• 連絡室の情報を学内LANで自分のスマホで見れるようにしてほしい• 連絡室や図書室まで行って休講情報やその他の情報を見に行くのがめんどくさいので、毎朝と放課後にメールやLINEでその情報を送ってほしい• 連絡室や電光掲示板など場所がまばらで見づらいです• 部活、サークル情報もあげてほしい• 重要な情報が掲示板にいきなり貼られて見なかった人は知らんよってのが不便な気がする• 電光掲示板は図書館に行かないと見えないので、• もっと学生センター前とかもっと行きやすくてわかりやすいところにおいてほしい• 電子掲示板の数が少ない。 連絡室、食堂、購買前のサイネージにも表示して欲しい• 電波がない• 電波が不安定• 電波が悪い• e-leaningの資料が開けない• 休講情報が乗ってないことがある• 電波の届かないところがある。 電波わるい• 食堂の席の混み具合をわかるようにしてほしい。 体育館を自由に使える時間が知りたい• 駅から商大までのバス時刻表もわかるとうれしい• 駅から大学のバスの時刻も乗せてほしい• 坂が大変.

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