ぼくの一人戦争。 ぼくの一人戦争感想_2DFan

ぼくの一人戦争感想_2DFan

ぼくの一人戦争

客観的に見て、勝機はなかった。 一対多という状況だけでも不利であるというのに、相手は歴戦の勇士であるロトのパーティー。 カインからすると、やり辛いとしか言い様がない。 この悪夢に呼ばれる前ならば、そう言って早々に諦めていたが、今のカインはそんな選択を選ばない。 血の宿命に抗うことこそが、彼らへの餞でもある。 そう彼らに誓ったし、今もその決意に揺らぎはない。 「やっぱ、四対一って卑怯じゃない?」 相対する敵が通常の魔物であるなら、特段に軽口をたたく必要性はないのだ。 凡才なれど、凡人であらず。 今のカインであれば、魔物程度なら複数相手でも打ち勝てる。 「君達もさあ、言葉がわかるんなら……いいんだけどね」 ただし、相手が普通の範疇で収まっているならば。 かつて、世界を席巻したロトの一味が眼前に立っていなければ。 カインはこんなにも頭を悩ませる必要はなかった。 「ま、倒すよ。 あくまで僕らしく」 瞬間、銀の閃光が飛び交った。 『アレル』だ。 一足一刀の間合いに入った途端、切っ先が飛んで来た。 一筋、二筋、三筋。 数を重ねる事に速度は急激に上がっていく。 さすがは勇者ロトを模しているだけはある。 力強さも、靭やかさも一級の領域に達している。 (御丁寧に一対一を演出って、舐められてるのか。 剣を持つ右手が汗ばんでいる。 盾を持つ左手がいつもより力んでいる。 先祖達との戦いは思いの外、緊張を伴うものらしい。 (活きが良い獲物を長時間楽しみたい。 はっ、死人崩れになっても本能は変わらないのかな) 一旦は距離を取ろうかとも考えたが、後衛に陣取る彼女達のことを頭にいれると、迂闊には下がれない。 ムーンブルクの王女に引けをとらない超絶技巧の魔術が飛んでくる。 ただそれだけで、自分の行動には相当な制限がかかるのだから。 「……れ、ない」 「はぁ?」 そして、数合打ち合ってそうは短くない時間が経過しただろう。 耳を澄ませば、剣劇の音に混じって微かな声が聞こえてくる。 それは、蚊の鳴くような声で、カインには最初呻き声としか思えなかったが、どうやら違うようだ。 志半ばで潰えた未来の夢を憂う怒りが、剣に伝わってくる。 「自由に、なりたいんだ……ッ!」 「……何を、言ってるんだよ」 死人の戯言に答えを返す必要なんて無い。 そう思っていながらも口元は勝手に言葉を紡いでいた。 「終わったんだよ、アンタ達は死んで、蘇生呪文でも蘇らなくて、現実ではもう存在し得ない幻想なんだ」 死者は蘇らない。 喪ったものは二度と戻ってこない。 例え、戻ってくる可能性があったとしてもそんな甘えは許されないし、あの時流した涙も嘘になる。 確かに在ったモノがある。 確かに受け継いだ剣がある。 夢の中とはいえ、彼らと誓った約束があるのだ。 優しい微睡みに背を向けて剣を取り、前を向くと決めたカイン自身を。 裏切ることなどできやしない。 「本当にさ、諦めの悪い先祖だよ」 カインは突き出された剣を側面から剣で弾き、勢いを殺さず上手く受け流す。 もっとも、相対するのはかの有名な『ロト』の夢。 その強烈な刺突に態勢が崩れてしまうも、盾で『ロト』を殴りつけ、無理矢理に吹き飛ばす。 この僅かな合間に、不利を覆す作戦を練らなければ。 そう、思った矢先、間髪入れずに別の影が入り込んでくることにより、カインは再び態勢を整えざるを得なかった。 軽く舌打ちをして、迎撃。 四対一なだけがあって、休む暇すら与えられない。 「どいつもこいつも、後悔を塗りたくった表情をするなよ。 気取れよ、笑えよ、アンタ達は自由に生きて、世界を席巻した勇者じゃないか!」 「自由が、愛が、欲しい」 「応えろよ、応えてくれよ。 これが、こんなのが……ッ! 僕達をずっと苦しめていた『元凶』なのか……!?」 彼らの苦渋に満ちた表情を垣間見て、自分がこれまで抱いてきたロトの幻想が崩れていくのを感じる。 傍若無人、天下無双。 枠組みに囚われず、生きたいように生き切ったと思っていた彼らの真実は、重かった。 「何でかぶってるんだよ。 自由になりたい、愛が欲しい。 そんなありふれた願いを持たないでくれよ」 傍から見る彼らの姿はどうしようもなく運命に縛られ、自由に恋焦がれる一人の人間に見える。 打倒する魔王も、生きた時代も違う彼らと自分達。 「これじゃあ、まるで。 夢に満ちた伝説は、蓋を開けると夢が砕かれた伝説だった。 自由になりたくて、戦って。 その果てに見たのがこんな苦渋の表情を浮かべる世界だったのだろうか。 これでは鏡に映る自分と戦っているようなものだ。 「畜生ッ、畜生……!」 口から出る悪態を尻目に拳と剣の応酬は激しさを増していく。 自然と剣を振るう手にも力が入る。 頬を滴る汗も、鏡写しの敵と戦うことで浮かぶ嫌悪感も。 カインの中に渦巻く葛藤が、剣劇に溶けていった。 「勇者っていうのは何時の時代も碌なもんじゃないってことかよ!」 人並みの人生すら与えられない不条理は、真綿で首を絞められているかのような窮屈さだ。 自分も経験していることだから、理解できる。 彼らも勇者というフィルターから見られることに、苦痛を覚え、束縛を感じたのだろう。 (どうしようもない、お誂え向きの絶望だ) 勇者に祭り上げられたモノに救いはない。 生きて帰れたとしても、待っているものは過剰な英雄思想。 だから、ゆっくりと闇に沈んでいけ。 その方が君も楽だろう? そう囁く甘い声を、カインは振り切って、目を尖らせる。 温存なんて甘い考えはさらさらない、此処で総てを出し切る覚悟で戦いに臨まねば、死ぬのはカインの方だ。 (けれど、奸計を使うぐらいは許してもらいたいね) 故に、決死の意志で道を切り開く。 それが出来なければ、死ぬだけだ。 「敵わないな、四対一とかやってられないよ!」 『リンリン』の繰り出した貫手を躱す続け様に、カインは後方へと跳躍し、距離を取る。 『リンリン』と『アレル』は逃すまいと追撃の構えを見せて地面を蹴り飛ばす。 ともかく、まずは前衛の動きを封じなければ後衛を潰せない。 本来であるならば、もょもとが前衛を相手している間に後衛を倒すといった戦法を取りたい所だが、生憎とカインは一人だ。 ずっと戦っていたい。 一気に仕留めずに、徐々にペースを上げていこう。 その末に、壊れるならば所詮はそこまで。 精々、散り様で愉しませてくれればいい。 (はっ、その余裕のおかげでまだ保ってられるっていうの、相当に皮肉だけど) ならば、自分は機会が巡ってくるまで思惑に乗って踊ってやろうじゃないか。 だが、いつまでも踊ってなどやるものか。 油断している現状の程は把握した。 後は、その油断が本気になる前に一気に切り捨てる。 反撃する暇など与えない、一瞬で終わらせる。 そして、手にとったキメラのつばさを上空に放り投げた。 「これで、逃げさせてもらうよ!!!!」 声を張り上げ、キメラのつばさで逃走を図る。 どう見ても、それだけの動作にしか見えない。 当然、『アレル』もキメラのつばさについてはよく知っている。 だが、このような緊迫した戦闘で使われるものではない。 おちょくっているのか、それとも劣勢でヤケクソ混じりになっているのか。 どちらにせよ、『アレル』からすると下らないことだ。 戦えるなら、戦う。 戦う意欲のない雑魚ならば、一刀で斬り捨てる。 数秒間だけ、視点が離れる。 加えて、自分が敵わないと見るや尻尾を巻いて逃げる臆病者と認識していた。 十分だ、今の彼らなら打倒できる。 「悪いけど、一撃だ」 その言葉と同時に、ロトの剣に光の渦が纏わり付き、やがては雷へと変化していく。 そして、天統べる雷が凝縮された斬撃が横薙ぎに振るわれる。 『アレル』達が気づいた時には時は既に遅かった。 声を上げる暇もなく、光の奔流が過ぎ去り、『アレル』達を吹き飛ばした。 その事実は後衛の二人を驚かせるには十分なものだった。 けれど、勇者ロトのパーティとして、動揺も直ぐに落ち着いた。 少しの硬直こそあれど、すぐに立ち直る。 それができるからこそ、死地でも戦い続けることが出来た。 魔術を封印された後衛などもはやただの木偶の坊だ。 無論、そのような時に備えて彼らも準備はしている。 『男魔法使い』が懐からナイフを取り出し、『カーラ』も腰に携えていた剣の柄に手を伸ばす。 「だから、遅いと言った!」 その時には、カインは既に彼らとの一足一刀の間合いに達していた。 抜刀と共に迸った銀色の閃光が『男魔法使い』の首元へと吸い込まれていく。 血飛沫と宙を舞う生首。 それを気にも留めずに、カインは残る『カーラ』へと迫り、剣を振り下ろした。 だが、振るった剣は弾き返され、幾合か剣閃が火花を散らすが、徐々に防戦一方になっていく。 「賢者なのに剣技が前衛並なんて反則なんじゃないかなぁ!」 カインは軽口を叩きながらも、放たれた斬撃の雨を躱しつつ策略を練り直す。 よもや、賢者の職に就いていた者がここまでやれるとは。 大まかにしか伝わってない伝承に文句を言いたいぐらいだ。 再び、斬光が飛び交い、甲高い金属音が何度も響く中、カインは必死に食らいつく。 マホトーンの効力が効いている内に倒さなければいけない。 そう考えると、不思議と剣にも熱が篭る。 そう、言葉を続けようとした瞬間。 巨大な雷が、カイン達を飲み込んだ。 咄嗟に『カーラ』の影に隠れ、ホワイトシールドを構えてなお伝わってくる魔法だった。 声を上げる間すら与えられず、吹き飛ばされる。 何が起こった? カインは舌打ちをしながら、剣を支えに立ち上がる。 チカチカする視界が晴れ、双眸に映された世界。 そこにいたのは、悪鬼だった。 とても勇者が浮かべる表情ではない、獰猛な笑み。 嗤っている。 楽しくて楽しくて仕方がないといった風に、『アレル』は眼前の獲物に対して、狙いを定めた。 「よぉ、さっきのはいい一撃だったぜ。 リンリン達をぶっ殺すたァ骨があるじゃねぇか。 ま、カーラはオレが殺したようなもんか。 かははっ」 咄嗟に、カインは剣を正眼に構えるも遅い。 振るわれた力任せの一撃はカインの体ごと宙に浮かし、払い飛ばす。 追撃はなかった。 未だ嘗められているのか、それともゆっくりと甚振るつもりなのか。 「オレは天才だからな、剣技だけじゃなく魔法も使えるんだ。 その剣を持ってるんだ、この程度でくたばってるんじゃ話になんねぇぜ?」 勝てない。 そんな弱音が思わず飛び出してしまうぐらい、『ロト』は強大だった。 倒れた身体を起こそうとするも、足は弱々しく震えるばかりで立ち上がることを許さない。 やはり血脈なのか。 より濃く、戦闘に秀でた彼に敵うことなど、自分には不可能なのか。 ロトの血脈の中でも最弱であろう自分を、カインは数え切れない程に、嫌悪してきた。 けれど、血脈を否定した所で何も変わらない。 「とう、ぜん、だっ! 僕も、アンタには、負けたくないからね……!」 それならば、受け入れるしかないのだ。 この忌々しき血も、自分であることを。 きっと、何があろうとも自分の中に眠るロトは消し去れないのだろう。 何かに縋らなくては生きていけない弱さが蔓延した世界で、ロトは何にも勝る救いなのだから。 「僕は、ロトの血を受け継ぐ者だ。 生まれながらに決められた宿命は、死ぬまで付き纏う。 どんなに否定した所で不変なモノなら。 真実を知って尚、ロトを背負う覚悟を、此処に果たす。 「この血を纏うことが何よりもの証だ」 それに呼応して、握りしめたロトの剣が輝きを増していく。 「僕は、『ロト』だ」 カインがロトの血を受け入れたことに対して歓喜を覚えたのか、剣に嵌めこまれた宝玉が煌き、風玉を発生させる。 そして、風玉は爆ぜて風の刃を引き起こす。 それを正面から受けた『ロト』は切り裂かれながら後方へと吹き飛んでいく。 バギクロス。 劣化する以前に刻まれた風の最強の呪文だ。 「最後の『ロト』として、終止符を打つ」 ロトの剣に埋め込まれていた呪文が、再び使える理由などただ一つしかない。 カインの血と意志が『夢』の想いを引き寄せ、本来の姿を取り戻した。 もっとも、彼が背負う覚悟、約束に剣は応えたに過ぎない。 この事態はあるべくして、なったことだ。 「往くぞ。 僕が、アンタを終わらせる」 カインが生きた時代では先祖代々受け継がれた証としてロトの剣と銘打たれたものだが、本来の名称は違うのだ。 その名称はこう呼ばれる。 漸く、カインは立ち上がる。 その様は今にも消え入りそうな炎を想起させるものだけれど。 一方でこれから激しく燃え上がる炎にも感じ取れる。 「身体のコンディションは最悪。 鋭い斬撃を『ロト』は躱しながら、呪文を構築させる。 だが、その間髪すら与えないと言わんばかりにカインの掌からは閃光が迸った。 胸に突き刺さった閃光は『ロト』の身体を焼き、苦悶の声が上がる。 それでも、打倒には至らない。 至ってはいけないのだ。 ベギラマ一発で消えるような弱い宿命ならば、とっくに消え失せている。 「ざけんな……オレは、自由に……ッ!」 踏み込んだ足が地を削り、加速度が全身を水のように伝う。 剣は手に馴染み、風を纏わせながら大気を捩じ切っていく。 ぶつかり合う度に、世界が爆ぜる。 金属音と烈風が闇の中で唸り声を上げた。 「自由に、なって……!」 全盛期の力を取り戻した剣は、軽く振りかざしただけでも脅威だ。 闇を裂き、行く手を阻む者を風刃の下に斬り伏せる。 「世界を、見るッ!」 「それでも、アンタの世界はもう終わっているんだよ!!! どんなに願っても、叶わない幻想だ!」 その叫び声には不思議と熱が籠っていた。 少なくとも、カインには『アレル』は操られるがままの自我無き人形とは思えなかった。 双眸の焦点を合わせるでもなく、無意味に虚空へと視線を放散させていた他の三人とは違い、彼だけは強い意志を感じた。 「今のアンタは夢に摂取された死人もどきなんだぞ……? そんな様になってまで、生きたいのか」 「……ッ」 「本当はわかっているんじゃないのか。 今の自分が、現状が、自分の最後が。 というか、さっきから素が出てるんだよ、アンタ。 今更取り繕う必要もねェな。 改めて、挨拶するか。 よう子孫サマ、どうやら時代が巡ってもクソッタレな運命は変わらねェんだな」 けれど、どうあっても認められないし、諦めきれないのだ。 自分が終わっていることを。 「まあ、細かいことはどーだっていい。 オレは今、確かに生きている。 それだけだ。 与えられた機会は有効活用しねぇとな。 まだ終われねえ。 終わりたくねえ。 くっだらねェ理屈なんざどーだっていい。 テメエがオレを乗り越えたいならやってみな」 からからと笑う彼は、泡沫のような幻想であり、終わりを迎えている。 今のイキイキとした彼を見ている限りは信じれないが、彼は死者だ。 「もう遊びも十分に楽しんだし、後は一撃勝負だ」 「……一撃、ね。 その言葉、そっくりそのまま返してやる」 死者は死へと還さなければならない。 今此処にいる彼が悪意を持っていなかったとしても、倒さなくては終われないのだ。 それができないならば、自分はそこまでの人間だったということである。 先程、『カーラ』達を一気に吹き飛ばした魔法を剣に乗せた一撃だろう。 天才と自称していたが、その言葉もビッグマウスではないという証明か。 生半可な一撃ではそれごと押し潰される。 ならば、こちらも全力で剣を振るう他ない。 振るう剣撃も構えも同じだった。 ぶつかりあった雷光が闇を裂き、辺りを光に染め上げていく。 「ごめんね、先祖様」 きっと、このまま続けると『アレル』の一撃がカインを押し切りそのまま叩き斬られるだろう。 凡才が身に付けたトドメの一撃と、天才が編み出したトドメの一撃。 どちらが強いかは明白である。 「僕さぁ、嘘つきだから」 けれど、けれど。 単体で敵わないなら、更に付け加えればいいのだ。 「トドメの一撃、二つあるんだよね」 手に握られた槍の矛先では黒の雷が唸りをあげていて、いつでも発射できる態勢だ。 『アレル』がそれに気づいた時には、既に二つ目の奥義は完成されていた。 カインは、ニヤリと笑い言の葉を告げる。 「爆ぜろ、獄雷。 ジゴスパーク」 矛先から発射された黒雷は、一直線に星を掻き分けていく。 突き進んだ跡には黒の残り滓をちらつかせて、どこまでも真っ直ぐに速く閃光のように。 予想だにしなかった一撃だ、避けれる訳がなかった。 星の袂を裂いた黒雷は、源である『アレル』へと届き、破裂した。 黒雷が『アレル』の総てを焼き尽くす。 立っていることすら敵わぬトドメの一撃だ、勝敗は此処に決したも同然だった。 『アレル』が崩れ落ちるのと同時に、光の斬撃も消え去り、後には満身創痍のカインと死に体の『アレル』だけが残る。 「……終わり、か。 ったく、卑怯な手で勝ちをもぎ取りやがって」 「でも、僕の勝ちには違いないだろ」 「まぁな。 及第点、ってとこか。 ハッ、次は負けねぇよ」 「次があればだけどね」 大の字になって寝転がっている『アレル』の首元には生前に愛用した王者の剣が当てられていた。 けれど、その周到さが『アレル』は嫌いじゃなかった。 勝つ為なら何でもする姿勢は、子孫に受け継がれた事を察し、くぐもった声で笑う。 互いの別れの言葉は、短かった。 死者と生者に、それ以上はいらなかった。

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「ぼくの一人戦争」の評価が最悪だった5つの理由 ネタバレ無しレビュー

ぼくの一人戦争

2015-03-27 修正パッチを公開しました。 2015-03-07 「DOWNLOAD」「ぼくの一人戦争+」を公開しました。 2015-02-27 本日発売です!カウントダウンボイスを更新しました。 2015-02-26 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと1日! 2015-02-25 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと2日! 2015-02-24 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと3日! 2015-02-23 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと4日! 2015-02-22 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと5日! 2015-02-21 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと6日! 2015-02-20 「CAMPAIGN」発売記念抽選会情報を公開しました。 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと7日! 2015-02-19 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと8日! 2015-02-18 カウントダウンボイスを更新しました。 発売まであと9日! 2015-02-17 カウントダウンボイスを公開しました。 発売まであと10日! 2015-02-10 マスターアップしました! 2015-02-05 「GALLERY」イベントCGを1枚追加しました。 「CAMPAIGN」販売店様購入特典ページにオリジナル特典を公開しました。 2015-02-02 「SPEC」製品概要を更新しました。 2015-01-21 PUSH!! 3月号表紙記念ムービーを公開しました。 「GALLERY」イベントCGを1枚追加しました。 2015-01-15 「DOWNLOAD」体験版第2弾を公開しました。 2015-01-08 「GALLERY」イベントCGを1枚追加しました。 「CAMPAIGN」早期予約キャンペーン第2弾情報を公開しました。 「DOWNLOAD」CMムービーのミラーサイトを追加しました。 2014-12-30 「DOWNLOAD」CMムービーを公開しました。 2014-12-26 「GALLERY」イベントCGを1枚追加しました。 「CAMPAIGN」しおりコラボキャンペーン情報を更新しました。 2014-12-22 「CAMPAIGN」しおりコラボキャンペーン情報を公開しました。 2014-12-19 パソパラvol. 2表紙記念ムービーを公開しました。 サウンドトラックCD発売のお知らせ。 「GALLERY」イベントCGを1枚追加しました。 2014-12-18 「CAMPAIGN」早期予約キャンペーン情報を更新しました。 2014-12-11 「DOWNLOAD」体験版、デモムービーを公開しました。 「CHARACTER」二宮徹、里見蓮司、長門大地のCV・サンプルボイスを公開しました。 「CAMPAIGN」販売店様購入特典情報を公開しました。 早期予約キャンペーン開催店舗一覧を公開しました。 初回特典10周年記念シークレットシート情報を更新しました。 2014-12-04 「CHARACTER」岡部沙代、工藤命、前脇しのぶ、錦戸結花のCV・サンプルボイスを公開しました。 「CAMPAIGN」ハッシュタグツイートキャンペーン情報を公開しました。 BGMを追加しました。 2014-11-27 「CHARACTER」犬塚るみのCV・サンプルボイスを公開しました。 2014-11-20 「CAMPAIGN」早期予約キャンペーン情報を公開しました。 2014-11-17 PUSH!! 1月号にてコラボ表紙&特集記事のお知らせ 2014-11-06 「GALLERY」イベントCGを1枚追加しました。 2014-10-30 「CAMPAIGN」初回特典情報を公開しました。 2014-10-17 「CHARACTER」錦戸結花を公開しました。 2014-10-03 公式サイト公開しました。 2015-02-03 BugBug3月号 2015-01-30 メガストア3月号 2015-01-21 PUSH!! 3月号 表紙&特集記事掲載! 2014-12-29 BugBug2月号 2014-12-20 PUSH!! 2月号 2014-12-19 パソパラvol. 2 表紙&特集記事掲載予定! 2014-12-03 BugBug1月号 2014-11-21 PUSH!! 1月号 2014-11-01 BugBug12月号 2014-10-03 BugBug11月号.

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客観的に見て、勝機はなかった。 一対多という状況だけでも不利であるというのに、相手は歴戦の勇士であるロトのパーティー。 カインからすると、やり辛いとしか言い様がない。 この悪夢に呼ばれる前ならば、そう言って早々に諦めていたが、今のカインはそんな選択を選ばない。 血の宿命に抗うことこそが、彼らへの餞でもある。 そう彼らに誓ったし、今もその決意に揺らぎはない。 「やっぱ、四対一って卑怯じゃない?」 相対する敵が通常の魔物であるなら、特段に軽口をたたく必要性はないのだ。 凡才なれど、凡人であらず。 今のカインであれば、魔物程度なら複数相手でも打ち勝てる。 「君達もさあ、言葉がわかるんなら……いいんだけどね」 ただし、相手が普通の範疇で収まっているならば。 かつて、世界を席巻したロトの一味が眼前に立っていなければ。 カインはこんなにも頭を悩ませる必要はなかった。 「ま、倒すよ。 あくまで僕らしく」 瞬間、銀の閃光が飛び交った。 『アレル』だ。 一足一刀の間合いに入った途端、切っ先が飛んで来た。 一筋、二筋、三筋。 数を重ねる事に速度は急激に上がっていく。 さすがは勇者ロトを模しているだけはある。 力強さも、靭やかさも一級の領域に達している。 (御丁寧に一対一を演出って、舐められてるのか。 剣を持つ右手が汗ばんでいる。 盾を持つ左手がいつもより力んでいる。 先祖達との戦いは思いの外、緊張を伴うものらしい。 (活きが良い獲物を長時間楽しみたい。 はっ、死人崩れになっても本能は変わらないのかな) 一旦は距離を取ろうかとも考えたが、後衛に陣取る彼女達のことを頭にいれると、迂闊には下がれない。 ムーンブルクの王女に引けをとらない超絶技巧の魔術が飛んでくる。 ただそれだけで、自分の行動には相当な制限がかかるのだから。 「……れ、ない」 「はぁ?」 そして、数合打ち合ってそうは短くない時間が経過しただろう。 耳を澄ませば、剣劇の音に混じって微かな声が聞こえてくる。 それは、蚊の鳴くような声で、カインには最初呻き声としか思えなかったが、どうやら違うようだ。 志半ばで潰えた未来の夢を憂う怒りが、剣に伝わってくる。 「自由に、なりたいんだ……ッ!」 「……何を、言ってるんだよ」 死人の戯言に答えを返す必要なんて無い。 そう思っていながらも口元は勝手に言葉を紡いでいた。 「終わったんだよ、アンタ達は死んで、蘇生呪文でも蘇らなくて、現実ではもう存在し得ない幻想なんだ」 死者は蘇らない。 喪ったものは二度と戻ってこない。 例え、戻ってくる可能性があったとしてもそんな甘えは許されないし、あの時流した涙も嘘になる。 確かに在ったモノがある。 確かに受け継いだ剣がある。 夢の中とはいえ、彼らと誓った約束があるのだ。 優しい微睡みに背を向けて剣を取り、前を向くと決めたカイン自身を。 裏切ることなどできやしない。 「本当にさ、諦めの悪い先祖だよ」 カインは突き出された剣を側面から剣で弾き、勢いを殺さず上手く受け流す。 もっとも、相対するのはかの有名な『ロト』の夢。 その強烈な刺突に態勢が崩れてしまうも、盾で『ロト』を殴りつけ、無理矢理に吹き飛ばす。 この僅かな合間に、不利を覆す作戦を練らなければ。 そう、思った矢先、間髪入れずに別の影が入り込んでくることにより、カインは再び態勢を整えざるを得なかった。 軽く舌打ちをして、迎撃。 四対一なだけがあって、休む暇すら与えられない。 「どいつもこいつも、後悔を塗りたくった表情をするなよ。 気取れよ、笑えよ、アンタ達は自由に生きて、世界を席巻した勇者じゃないか!」 「自由が、愛が、欲しい」 「応えろよ、応えてくれよ。 これが、こんなのが……ッ! 僕達をずっと苦しめていた『元凶』なのか……!?」 彼らの苦渋に満ちた表情を垣間見て、自分がこれまで抱いてきたロトの幻想が崩れていくのを感じる。 傍若無人、天下無双。 枠組みに囚われず、生きたいように生き切ったと思っていた彼らの真実は、重かった。 「何でかぶってるんだよ。 自由になりたい、愛が欲しい。 そんなありふれた願いを持たないでくれよ」 傍から見る彼らの姿はどうしようもなく運命に縛られ、自由に恋焦がれる一人の人間に見える。 打倒する魔王も、生きた時代も違う彼らと自分達。 「これじゃあ、まるで。 夢に満ちた伝説は、蓋を開けると夢が砕かれた伝説だった。 自由になりたくて、戦って。 その果てに見たのがこんな苦渋の表情を浮かべる世界だったのだろうか。 これでは鏡に映る自分と戦っているようなものだ。 「畜生ッ、畜生……!」 口から出る悪態を尻目に拳と剣の応酬は激しさを増していく。 自然と剣を振るう手にも力が入る。 頬を滴る汗も、鏡写しの敵と戦うことで浮かぶ嫌悪感も。 カインの中に渦巻く葛藤が、剣劇に溶けていった。 「勇者っていうのは何時の時代も碌なもんじゃないってことかよ!」 人並みの人生すら与えられない不条理は、真綿で首を絞められているかのような窮屈さだ。 自分も経験していることだから、理解できる。 彼らも勇者というフィルターから見られることに、苦痛を覚え、束縛を感じたのだろう。 (どうしようもない、お誂え向きの絶望だ) 勇者に祭り上げられたモノに救いはない。 生きて帰れたとしても、待っているものは過剰な英雄思想。 だから、ゆっくりと闇に沈んでいけ。 その方が君も楽だろう? そう囁く甘い声を、カインは振り切って、目を尖らせる。 温存なんて甘い考えはさらさらない、此処で総てを出し切る覚悟で戦いに臨まねば、死ぬのはカインの方だ。 (けれど、奸計を使うぐらいは許してもらいたいね) 故に、決死の意志で道を切り開く。 それが出来なければ、死ぬだけだ。 「敵わないな、四対一とかやってられないよ!」 『リンリン』の繰り出した貫手を躱す続け様に、カインは後方へと跳躍し、距離を取る。 『リンリン』と『アレル』は逃すまいと追撃の構えを見せて地面を蹴り飛ばす。 ともかく、まずは前衛の動きを封じなければ後衛を潰せない。 本来であるならば、もょもとが前衛を相手している間に後衛を倒すといった戦法を取りたい所だが、生憎とカインは一人だ。 ずっと戦っていたい。 一気に仕留めずに、徐々にペースを上げていこう。 その末に、壊れるならば所詮はそこまで。 精々、散り様で愉しませてくれればいい。 (はっ、その余裕のおかげでまだ保ってられるっていうの、相当に皮肉だけど) ならば、自分は機会が巡ってくるまで思惑に乗って踊ってやろうじゃないか。 だが、いつまでも踊ってなどやるものか。 油断している現状の程は把握した。 後は、その油断が本気になる前に一気に切り捨てる。 反撃する暇など与えない、一瞬で終わらせる。 そして、手にとったキメラのつばさを上空に放り投げた。 「これで、逃げさせてもらうよ!!!!」 声を張り上げ、キメラのつばさで逃走を図る。 どう見ても、それだけの動作にしか見えない。 当然、『アレル』もキメラのつばさについてはよく知っている。 だが、このような緊迫した戦闘で使われるものではない。 おちょくっているのか、それとも劣勢でヤケクソ混じりになっているのか。 どちらにせよ、『アレル』からすると下らないことだ。 戦えるなら、戦う。 戦う意欲のない雑魚ならば、一刀で斬り捨てる。 数秒間だけ、視点が離れる。 加えて、自分が敵わないと見るや尻尾を巻いて逃げる臆病者と認識していた。 十分だ、今の彼らなら打倒できる。 「悪いけど、一撃だ」 その言葉と同時に、ロトの剣に光の渦が纏わり付き、やがては雷へと変化していく。 そして、天統べる雷が凝縮された斬撃が横薙ぎに振るわれる。 『アレル』達が気づいた時には時は既に遅かった。 声を上げる暇もなく、光の奔流が過ぎ去り、『アレル』達を吹き飛ばした。 その事実は後衛の二人を驚かせるには十分なものだった。 けれど、勇者ロトのパーティとして、動揺も直ぐに落ち着いた。 少しの硬直こそあれど、すぐに立ち直る。 それができるからこそ、死地でも戦い続けることが出来た。 魔術を封印された後衛などもはやただの木偶の坊だ。 無論、そのような時に備えて彼らも準備はしている。 『男魔法使い』が懐からナイフを取り出し、『カーラ』も腰に携えていた剣の柄に手を伸ばす。 「だから、遅いと言った!」 その時には、カインは既に彼らとの一足一刀の間合いに達していた。 抜刀と共に迸った銀色の閃光が『男魔法使い』の首元へと吸い込まれていく。 血飛沫と宙を舞う生首。 それを気にも留めずに、カインは残る『カーラ』へと迫り、剣を振り下ろした。 だが、振るった剣は弾き返され、幾合か剣閃が火花を散らすが、徐々に防戦一方になっていく。 「賢者なのに剣技が前衛並なんて反則なんじゃないかなぁ!」 カインは軽口を叩きながらも、放たれた斬撃の雨を躱しつつ策略を練り直す。 よもや、賢者の職に就いていた者がここまでやれるとは。 大まかにしか伝わってない伝承に文句を言いたいぐらいだ。 再び、斬光が飛び交い、甲高い金属音が何度も響く中、カインは必死に食らいつく。 マホトーンの効力が効いている内に倒さなければいけない。 そう考えると、不思議と剣にも熱が篭る。 そう、言葉を続けようとした瞬間。 巨大な雷が、カイン達を飲み込んだ。 咄嗟に『カーラ』の影に隠れ、ホワイトシールドを構えてなお伝わってくる魔法だった。 声を上げる間すら与えられず、吹き飛ばされる。 何が起こった? カインは舌打ちをしながら、剣を支えに立ち上がる。 チカチカする視界が晴れ、双眸に映された世界。 そこにいたのは、悪鬼だった。 とても勇者が浮かべる表情ではない、獰猛な笑み。 嗤っている。 楽しくて楽しくて仕方がないといった風に、『アレル』は眼前の獲物に対して、狙いを定めた。 「よぉ、さっきのはいい一撃だったぜ。 リンリン達をぶっ殺すたァ骨があるじゃねぇか。 ま、カーラはオレが殺したようなもんか。 かははっ」 咄嗟に、カインは剣を正眼に構えるも遅い。 振るわれた力任せの一撃はカインの体ごと宙に浮かし、払い飛ばす。 追撃はなかった。 未だ嘗められているのか、それともゆっくりと甚振るつもりなのか。 「オレは天才だからな、剣技だけじゃなく魔法も使えるんだ。 その剣を持ってるんだ、この程度でくたばってるんじゃ話になんねぇぜ?」 勝てない。 そんな弱音が思わず飛び出してしまうぐらい、『ロト』は強大だった。 倒れた身体を起こそうとするも、足は弱々しく震えるばかりで立ち上がることを許さない。 やはり血脈なのか。 より濃く、戦闘に秀でた彼に敵うことなど、自分には不可能なのか。 ロトの血脈の中でも最弱であろう自分を、カインは数え切れない程に、嫌悪してきた。 けれど、血脈を否定した所で何も変わらない。 「とう、ぜん、だっ! 僕も、アンタには、負けたくないからね……!」 それならば、受け入れるしかないのだ。 この忌々しき血も、自分であることを。 きっと、何があろうとも自分の中に眠るロトは消し去れないのだろう。 何かに縋らなくては生きていけない弱さが蔓延した世界で、ロトは何にも勝る救いなのだから。 「僕は、ロトの血を受け継ぐ者だ。 生まれながらに決められた宿命は、死ぬまで付き纏う。 どんなに否定した所で不変なモノなら。 真実を知って尚、ロトを背負う覚悟を、此処に果たす。 「この血を纏うことが何よりもの証だ」 それに呼応して、握りしめたロトの剣が輝きを増していく。 「僕は、『ロト』だ」 カインがロトの血を受け入れたことに対して歓喜を覚えたのか、剣に嵌めこまれた宝玉が煌き、風玉を発生させる。 そして、風玉は爆ぜて風の刃を引き起こす。 それを正面から受けた『ロト』は切り裂かれながら後方へと吹き飛んでいく。 バギクロス。 劣化する以前に刻まれた風の最強の呪文だ。 「最後の『ロト』として、終止符を打つ」 ロトの剣に埋め込まれていた呪文が、再び使える理由などただ一つしかない。 カインの血と意志が『夢』の想いを引き寄せ、本来の姿を取り戻した。 もっとも、彼が背負う覚悟、約束に剣は応えたに過ぎない。 この事態はあるべくして、なったことだ。 「往くぞ。 僕が、アンタを終わらせる」 カインが生きた時代では先祖代々受け継がれた証としてロトの剣と銘打たれたものだが、本来の名称は違うのだ。 その名称はこう呼ばれる。 漸く、カインは立ち上がる。 その様は今にも消え入りそうな炎を想起させるものだけれど。 一方でこれから激しく燃え上がる炎にも感じ取れる。 「身体のコンディションは最悪。 鋭い斬撃を『ロト』は躱しながら、呪文を構築させる。 だが、その間髪すら与えないと言わんばかりにカインの掌からは閃光が迸った。 胸に突き刺さった閃光は『ロト』の身体を焼き、苦悶の声が上がる。 それでも、打倒には至らない。 至ってはいけないのだ。 ベギラマ一発で消えるような弱い宿命ならば、とっくに消え失せている。 「ざけんな……オレは、自由に……ッ!」 踏み込んだ足が地を削り、加速度が全身を水のように伝う。 剣は手に馴染み、風を纏わせながら大気を捩じ切っていく。 ぶつかり合う度に、世界が爆ぜる。 金属音と烈風が闇の中で唸り声を上げた。 「自由に、なって……!」 全盛期の力を取り戻した剣は、軽く振りかざしただけでも脅威だ。 闇を裂き、行く手を阻む者を風刃の下に斬り伏せる。 「世界を、見るッ!」 「それでも、アンタの世界はもう終わっているんだよ!!! どんなに願っても、叶わない幻想だ!」 その叫び声には不思議と熱が籠っていた。 少なくとも、カインには『アレル』は操られるがままの自我無き人形とは思えなかった。 双眸の焦点を合わせるでもなく、無意味に虚空へと視線を放散させていた他の三人とは違い、彼だけは強い意志を感じた。 「今のアンタは夢に摂取された死人もどきなんだぞ……? そんな様になってまで、生きたいのか」 「……ッ」 「本当はわかっているんじゃないのか。 今の自分が、現状が、自分の最後が。 というか、さっきから素が出てるんだよ、アンタ。 今更取り繕う必要もねェな。 改めて、挨拶するか。 よう子孫サマ、どうやら時代が巡ってもクソッタレな運命は変わらねェんだな」 けれど、どうあっても認められないし、諦めきれないのだ。 自分が終わっていることを。 「まあ、細かいことはどーだっていい。 オレは今、確かに生きている。 それだけだ。 与えられた機会は有効活用しねぇとな。 まだ終われねえ。 終わりたくねえ。 くっだらねェ理屈なんざどーだっていい。 テメエがオレを乗り越えたいならやってみな」 からからと笑う彼は、泡沫のような幻想であり、終わりを迎えている。 今のイキイキとした彼を見ている限りは信じれないが、彼は死者だ。 「もう遊びも十分に楽しんだし、後は一撃勝負だ」 「……一撃、ね。 その言葉、そっくりそのまま返してやる」 死者は死へと還さなければならない。 今此処にいる彼が悪意を持っていなかったとしても、倒さなくては終われないのだ。 それができないならば、自分はそこまでの人間だったということである。 先程、『カーラ』達を一気に吹き飛ばした魔法を剣に乗せた一撃だろう。 天才と自称していたが、その言葉もビッグマウスではないという証明か。 生半可な一撃ではそれごと押し潰される。 ならば、こちらも全力で剣を振るう他ない。 振るう剣撃も構えも同じだった。 ぶつかりあった雷光が闇を裂き、辺りを光に染め上げていく。 「ごめんね、先祖様」 きっと、このまま続けると『アレル』の一撃がカインを押し切りそのまま叩き斬られるだろう。 凡才が身に付けたトドメの一撃と、天才が編み出したトドメの一撃。 どちらが強いかは明白である。 「僕さぁ、嘘つきだから」 けれど、けれど。 単体で敵わないなら、更に付け加えればいいのだ。 「トドメの一撃、二つあるんだよね」 手に握られた槍の矛先では黒の雷が唸りをあげていて、いつでも発射できる態勢だ。 『アレル』がそれに気づいた時には、既に二つ目の奥義は完成されていた。 カインは、ニヤリと笑い言の葉を告げる。 「爆ぜろ、獄雷。 ジゴスパーク」 矛先から発射された黒雷は、一直線に星を掻き分けていく。 突き進んだ跡には黒の残り滓をちらつかせて、どこまでも真っ直ぐに速く閃光のように。 予想だにしなかった一撃だ、避けれる訳がなかった。 星の袂を裂いた黒雷は、源である『アレル』へと届き、破裂した。 黒雷が『アレル』の総てを焼き尽くす。 立っていることすら敵わぬトドメの一撃だ、勝敗は此処に決したも同然だった。 『アレル』が崩れ落ちるのと同時に、光の斬撃も消え去り、後には満身創痍のカインと死に体の『アレル』だけが残る。 「……終わり、か。 ったく、卑怯な手で勝ちをもぎ取りやがって」 「でも、僕の勝ちには違いないだろ」 「まぁな。 及第点、ってとこか。 ハッ、次は負けねぇよ」 「次があればだけどね」 大の字になって寝転がっている『アレル』の首元には生前に愛用した王者の剣が当てられていた。 けれど、その周到さが『アレル』は嫌いじゃなかった。 勝つ為なら何でもする姿勢は、子孫に受け継がれた事を察し、くぐもった声で笑う。 互いの別れの言葉は、短かった。 死者と生者に、それ以上はいらなかった。

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