脳 梗塞 と は。 【かくれ脳梗塞】5年以内に脳梗塞になる危険性がある!その症状は脳梗塞?

[96]

脳 梗塞 と は

脳梗塞の後遺症にはどのようなものがある? 脳梗塞を含む脳卒中の中で、最も心配になるのは後遺症のことでしょう。 脳性麻痺や言語障害、認知障害など、日常生活に支障が出る後遺症が多いと言われています。 日常生活に戻れるまで入院できるのか?再発を予防するには、どんなことに気をつければ良いのか?など、脳梗塞の後遺症について整理していきましょう。 脳梗塞や脳出血など、脳卒中による後遺症の症状 脳梗塞を発症すると、脳のダメージを負った部分の機能が低下し、重い後遺症が残るケースも少なくありません。 引き起こされる後遺症としては様々なものがありますが、代表的な症状としては、次のようなものが現れます。 脳性麻痺・痙縮・拘縮 脳の体を動かす働きを持つ部分がダメージを負い、体の半分が動かせなくなる、動かしにくくなるなどの症状が現れます。 半身の手足に出ることが多いですが、顔や口元に麻痺が残ることも。 麻痺や痙縮、拘縮を訴える方は非常に多く、脳梗塞の後遺症としては代表的なもの。 ただし、早めにリハビリを始めることで改善する希望も残されています。 その他の体に現れる後遺症 麻痺や痙縮、拘縮以外にも、しびれや痛みなどの感覚異常を訴える方もいます。 その他、めまいを感じやすくなる、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害を起こすなどの場合も。 しびれや痛みによってリハビリが思うように進まない、嚥下障害によって誤嚥性肺炎を引き起こすなど、二次的症状が現れることもあるので、適切なリハビリと治療が大切です。 高次脳機能障害 脳にダメージを負うことによって、認知機能や記憶機能、言語機能などが低下する後遺症です。 高次脳機能障害が残った場合、言語障害、認知症のような症状、記憶障害などが引き起こされます。 会話や筆記、計算に加え、日常的な活動ができなくなることもありますが、言語聴覚療法などでリハビリを行うことで改善する可能性もあります。 脳梗塞の予後に懸念される後遺症とリハビリ 脳梗塞が発症したら、後遺症の軽重を問わず速やかにリハビリテーションを行うことが大事。 脳梗塞のリハビリは機能の回復だけでなく、 再発の防止にも繋がっているのです。 麻痺 脳が障害を受けた部分と反対側の手足に片麻痺が発生し、手足に力が入らなくなる、歩行が難しくなる、転びやすくなるなどの状態になることです。 中には、文字を書きにくいなどの症状が現れることも。 脳梗塞の後遺症の中でも代表的な後遺症で、多くの方に見られる後遺症です。 残された言語能力のうち比較的ダメージが軽い側面を利用し、意思の疎通・会話の成立などの機能を回復させていきます。 リハビリの進行具合は人によって異なり、言葉がうまく話せない歯がゆさから患者自身のストレスも多くなります。 家族や支援者のサポートが何より大切です。 しびれ 後遺症として最も訴えが多い症状で、脳の神経経路や感覚中枢にダメージを負い、実際には起きていない「しびれ」が起きていると脳が誤認してしまうことが原因です。 後遺症として現れるしびれには、感覚中枢にダメージを受けたことによる「中枢性のしびれ」と、麻痺に関連した「末梢性のしびれ」の2種類があります。 症状は、感覚が麻痺する感覚鈍麻や感覚消失、ビリビリ感のある異常感覚などです。 もし、拘縮が引き起こされてしまった場合は、作業療法によるハンドセラピーなどで機能の回復を図ります。 拘縮予防のためのリハビリ支援機も開発されているため、これらを使用するのも一つの方法です。 痛み 後遺症による痛みは、しびれと並んで訴える方が多い症状です。 引き起こされる原因もしびれと同様で、脳の感覚を処理する部分である視床にダメージが与えられたことで、実際には起きていない「痛み」が起きていると脳が誤認することによります。 「中枢性の痛み」と「末梢性の痛み」の2種類があることも、しびれと同じです。 そのため、痛みが全く改善されない場合もありますが、中枢性の痛みのリハビリで「視覚と感覚の整合性を高める」という方法を用いたところ、痛みが劇的に改善したという例もあります。 脳梗塞の再発リスク 脳梗塞は再発しやすい病気の1つ。 年間の再発率は5%と言われており、 1年間で20人に1人の患者が再発しているのです。 再発が起こりやすいのは、発症してから半年~1年以内とされています。 なぜ脳梗塞は再発しやすいのか。 それは、脳梗塞患者のほとんどが発症の引き金となる危険因子を持っているからです。 危険因子には高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・飲酒・肥満などがあり、これらのリスクをで減らしていくことが重要です。 再発を防ぐためには、日常生活の改善と共に、指示された薬の服用・リハビリテーションの継続も必要です。 適切な薬物治療を行うことで、 再発の危険性が30~70%減らせるとも言われています。 症状が安定しているからと油断しないようにしましょう。 後遺症と向き合い、再発を予防することが大切 脳梗塞を含む脳卒中は、心筋梗塞など他の疾患と比較しても、再発リスクが非常に高いことで知られており、脳梗塞の年間再発率は約5%と言われています。 ですが、脳梗塞の再発は予防できるものなので、簡単に取り組める予防方法を見つけて、行動を始めることが大切でしょう。 代表的な再発予防方法としては、脳梗塞の危険因子である生活習慣病の予防や血圧の管理、抗血栓療法を受けることなどが挙げられます。 これらの脳梗塞再発予防を実践しながら、後遺症を改善するためのリハビリに取り組んでいきましょう。 患者一人では難しい部分もあるため、家族のサポートも大切です。 最大の危険因子である高血圧を改善 脳梗塞をはじめとする脳卒中の最大の危険因子は、高血圧だと言われています。 血圧をしっかりと管理することは、脳梗塞の再発予防だけでなく、その他の疾患の予防にもなるため徹底したいところです。 血圧は降圧治療でもコントロールできますが、降圧治療を受けた方は、脳梗塞の再発が3割も少なくなると報告されているため、その重要性がわかるでしょう。 高血圧改善のための方法とは 高血圧を改善するための方法は様々で、「高血圧治療ガイドライン2014」によると、次のような生活習慣の改善が望ましいとされています。 食生活の見直し…摂取する塩分やコレステロールを減らして必要な栄養素を摂取する• 運動…速めのウォーキングなど「ややきつい」程度の有酸素運動を1日合計30分行う• 節酒…1日の摂取量は日本酒1合、ビール中瓶1本までで、女性はその半分まで• 禁煙…禁煙をすることはもちろん、受動喫煙にも注意する• 生活習慣の改善…ストレスの軽減、熱すぎる入浴・冷水・サウナは避けるなど• 特定保健用食品…降圧薬の補助として高圧効果のある特定保健用食品を摂取する このように見ると、血圧は日常の生活全般から影響を受けていることが分かり、生活を根本から改善していくことが大切だと言えるでしょう。 また、食事については次の項目で、少し詳しくご紹介します。 食事でできる脳梗塞の再発予防 高血圧改善のところでも触れた食生活の改善ですが、脳梗塞の再発予防には、食事が大きなカギを握っています。 脳梗塞再発予防の食事で気を付けるべきところは、塩分を摂りすぎないこと、コレステロールや脂肪分を摂りすぎないこと、必要な栄養素をしっかりと摂れること、血液をサラサラにする食品を取り入れることなどです。 塩分の摂取量は最大6. 「高血圧治療ガイドライン2014」によると、降圧効果を実感するためには、1日に摂取する食塩量を6. 5gまで減らさなければならないと記載されています。 ただし、6. 5gという食塩量は摂取限界値なので、高血圧改善のために目標とするべき数値は6g未満が理想的です。 塩分量を抑えるための方法 減塩のために注意すべき食品は汁物や漬物で、食べる量や回数を減らす、汁やスープは残すようにするなどの工夫をしてください。 塩分量が少なくなると食事が薄味になり、物足りないという方もいるでしょうが、レモンや酢、香辛料を使って味にメリハリをつけることがおすすめ。 また、一品だけ塩分量を増やすことも、飽きずに食事をするためのポイントです。 降圧効果のある栄養素を摂りながらバランス良く 脳梗塞の再発予防で理想的な食生活は、先にご紹介したように、塩分や脂肪分を抑え、野菜や果物を積極的に摂取することです。 1日に必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切ですが、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維が多い食品は、血圧を下げる効果があるとされているので、高血圧予防にも効果的でしょう。 血液サラサラ効果のある栄養素を摂取 脳梗塞の再発を予防するためには、血管を詰まらせないことが一番です。 そして、そのためには、血液をサラサラな状態にして、血栓を作らせないことが大切。 血液がサラサラになると言われている栄養素は豊富にあるため、それらを含んだ食品や健康食品は、積極的に取り入れるようにしましょう。 血液をサラサラにしてくれる栄養素とは? アリシンやナットウキナーゼ、DHA、EPA、ポリフェノールなどの栄養素は、コレステロール値を改善して、血液をサラサラにする効果を発揮してくれるとされています。 また、酵素も血液をサラサラにする働きがあるとされるため、脳梗塞の再発予防に効果が期待できます。 ただし、酵素を食品から摂取することは難しいので、サプリメントや健康食品を利用すれば簡単に摂取可能でしょう。 退院後の生活環境を整える 急性期・回復期のリハビリを終えた後は維持期に入るため、退院して自宅でのリハビリ生活が始まります。 そのため、患者がリハビリをしやすい環境を整えておくことが大切です。 自宅の整備について まず、トイレやバスルームに手すりを設ける、玄関に踏み台や手すりを設置する、室内の段差をなくすなど、移動しやすいように自宅をリフォーム修繕することは、生活環境を整えるために一番理想的な方法です。 ですが、その他にも、主に生活する部屋を変える、滑りやすいフローリングに滑り止めマットを敷く、家具を動かして移動しやすくするなど、少しの変化で変えられることもあります。 また、福祉用具はレンタルすることもできるので、必要なものがあれば自治体に相談してみましょう。 リハビリテーション施設の利用について 退院後のリハビリは自宅で行うだけではなく、リハビリテーション施設や専用の病院を利用して行うことも多いでしょう。 保険適応外となりますが、質の高いリハビリサービスを提供している施設は増えていますし、訪問リハビリを行ってくれる施設もあります。 また、通所リハビリにもいくつかの種類があり、1~2時間という短時間で個別にリハビリが受けられる施設や、8時間程度の長時間に渡り、集団でリハビリを受ける施設もあります。 受けられるサービスによって、内容はもちろん、利用料金や保険適用の有無も異なるので、後遺症の重度や受けたいサービスに合わせて適したものを選びましょう。 この記事をつくるのに参考にしたサイト・文献•

次の

脳梗塞とは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル

脳 梗塞 と は

脳梗塞と深い関係のある さまざまな病気 脳幹梗塞 人間の脳の最も中心部にある脳幹は、脳に12種類あるという脳神経のうちの10種類が集まっている、最重要部分と言えます。 脳幹に梗塞が起きた場合の症状の特徴や治療法、後遺症について、まとめて解説します。 脳幹梗塞とは 脳幹梗塞は、人間の脳の中でも脳幹と呼ばれる部分へ続く血管で血栓や狭窄ができてしまって起こる脳梗塞です。 脳幹は脳のちょうど真ん中に位置していて、脳を支えている小さなキノコのような形の部分です。 下から順に延髄、橋(きょう)、中脳の3つからできていて、それぞれの部分に人間の思考や活動の原点となる脳神経の中枢があります。 例えば延髄にあるのは、呼吸や血圧の調整、舌や喉の動きなどを司っている、第9から第12までの4つの脳神経。 橋には顔面神経や三叉神経など、第5から第8までの4つの神経があります。 このように、脳幹には人間の脳に12種類ある脳神経のうち、10種類の神経が集まっているので、この部分で脳梗塞が起こると、生命維持に関わる基本的な動きや感覚に障害が出てしまうことになります。 <症状>生命維持に関わる障害や意識障害の可能性も 脳幹梗塞は、ほかの部分の梗塞とは少し違い、たとえ小規模な病変であっても、場所によっては高度な意識障害が表れる場合があるという特徴があります。 意識障害は、脳梗塞の症状としては最も重症なもので、突然意識レベルが低下して朦朧としたり、記憶がなくなったりという場合もあります。 最悪のケースでは、意識が無くなって昏睡状態に陥ってしまいます。 さらに、脳幹の中でも中脳の部分で梗塞が起こると、動眼神経があるため、瞳孔の動きに異常が表れることがあります。 このとき、男性の眼球には眼振と呼ばれる現象が起きていました。 また、稀な事例ですが、脳幹梗塞によって呼吸器機能に影響が出て、心配停止に至った事例もあるそうです。 特に脳幹梗塞は、ほんの少しの位置の違いによって特徴的な障害が表れることが多く、それぞれの障害に名称が付いているほどです。 例えば、延髄に病変が起こったケースで「ワレンベルグ症候群」と呼ばれるものがあります。 また、橋部分で梗塞が起きた場合は、「フォビーユ症候群」という病名で、目の動きが水平 または垂直に動かせなくなったり、外向きに目を動かせなくなったり、といった特有の症状が表れます。 脳幹部分につながる椎骨動脈や脳底動脈などに、動脈硬化が原因の血栓や狭窄 が起こることで、延髄や橋、中脳などに梗塞が起こります。 動脈硬化は、高血圧や糖尿病、高脂血症などが引き起こす症状ですので、それら生活習慣病の予防や 改善が不可欠となります。 また、心筋梗塞などの心疾患を原因として心臓で血栓ができ、それが脳に近い動脈まで到達することで起こる場合もあります。 いずれにせよ、血管を劣化させる、詰まらせる原因となるような持病をできるだけ持たない、すでにある人は改善するように心がけることが、最も大切でしょう。 <予防>生活習慣を正しドロドロ血液を作らないこと 動脈硬化が原因となって引き起こされる脳幹梗塞。 予防には、こうした生活習慣病を発症しないよう、健康的な生活を心がけましょう。 脳幹梗塞の危険がある人がもっとも注意すべき点は、血栓を作らないということです。 血液をドロドロにしてしまうコレステロールの高い食事を控え、血流改善効果の高い食品を多く摂るようにしてください。 また、飲酒・喫煙を控える、適度な運動を行う、睡眠をしっかりとってストレスをためない、ということも重要です。 下のリンク先にて、脳幹梗塞を予防するための方法を解説していますので、参考にしてみてくださいね。

次の

脳梗塞の前兆を見逃すな!初期症状のセルフチェックのやり方は?

脳 梗塞 と は

はじめに 高血圧、糖尿病で薬を服用しているAさん(70歳、男性)は、ある夕方、食事中に突然、持っていた箸を落としてしまい、右手に力が入らないことに気づきました。 あわてて立ち上がろうとすると右足にも力が入らず、うまく立ち上がれませんでした。 不安になり、どうなるのかと座って様子をみているうちに10分ほどで右の手足は元通りに動くようになりました。 症状が一時的ですぐにおさまったので安心し、そのまま風呂に入り、就寝しました。 Aさんのこの行動は正しかったのでしょうか。 あなたならどうしますか? 一過性脳虚血発作(TIA)とは Aさんの身に起こった一時的な右手足の脱力発作は「一過性脳虚血発作」の可能性があります。 一過性脳虚血発作は「TIA」(transient[一過性の]ischemic[血流が乏しくなる]attack[発作]の英語の略称)とも呼ばれています。 この発作は、脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内(多くは数分から数十分)に完全に消えてしまいます。 脳細胞に栄養を与えている脳の動脈が血栓(血の塊)で詰まり、症状が現れますが、脳細胞が死んでしまう前に血液の流れが再びよくなるため、脳細胞が元の機能を回復し、症状も消失します。 一方、脳の血液の流れが悪い状態が続くと脳細胞は死んでしまい、運動まひなどの症状も残ってしまいます。 この状態が「脳梗塞」です。 脳梗塞は最近よく知られるようになってきましたが、一過性脳虚血発作はあまり聞きなれない言葉かもしれません。 2011年にわれわれが全国の20~70代の一般男女10,000人に行ったアンケート調査(厚生労働科学研究費による)でも、「脳梗塞」がどういうものか説明できる人は、全体の約7割であったのに対し、「一過性脳虚血発作」を知っていた人はわずか2 割弱でした〈図1〉。 また、このアンケートでは冒頭のAさんのような一過性の症状を経験した際に「どのように行動しますか?」という質問もしましたが、「すぐに病院を受診する」と回答した人は全体の約5 割でした。 症状が続いた場合は「すぐに病院を受診する」と回答した人が9 割近い結果であったことからも、一過性脳虚血発作は知られていないだけでなく、一時的な症状自体が軽視されていることがわかりました。 この発作は軽視してよいか? 症状が短時間で消えてしまう一過性脳虚血発作は、すぐに病院へ行かなくてもよい病気なのでしょうか。 以前は一般の方々だけでなく、医師の間でも一過性脳虚血発作は緊急を要する病気であるとは認識されていませんでした。 しかし、一過性脳虚血発作を治療しないで放っておくと、3か月以内に15~20%の方が脳梗塞を発症し、そのうち半数は一過性脳虚血発作を起こしてから数日以内(特に48時間以内が危ない)に脳梗塞になることがわかりました。 さらに、一過性脳虚血発作後、速やかに病院を受診し、検査・治療を始めれば、その後の脳梗塞発症の危険を減らせることも、いろいろな研究からわかってきました。 これらの事実から 脳卒中を専門とする医師の間では、一過性脳虚血発作は脳梗塞の重要な「前触れ発作」「警告発作」であり、早期受診、早期治療が必要な緊急疾患であるという認識に現在では変わってきています。 しかし、アンケート結果からおわかりのように、一般の方には一過性脳虚血発作の重要性、緊急性がまだ広く認識されていないのが現状です。 またこの知識は脳卒中を専門にしていない医師(開業医を含む)にもまだまだ普及していません。 今後この発作の重要性、緊急性をさらに広く知ってもらう必要があります。 脳梗塞になる患者さんのすべてが、一過性脳虚血発作を経験してから脳梗塞になるわけではありません。 残念ながらいきなり重症の脳梗塞になってしまう方もおられます。 そういう意味では、一過性脳虚血発作という軽い一時的な症状で始まる方は、運が良いのかもしれません。 脳梗塞にならないように対処できる絶好の機会だからです。 「気のせい」などとは思わずに、ためらわずにすぐ脳卒中の専門病院(神経内科、脳神経外科、脳卒中科などのある病院)に受診することが必要です。 ただ、一過性脳虚血発作を疑う症状を経験した時に、とっさにどこの病院を受診すればよいかわからない場合が多いと思います。 脳卒中の専門医がいない病院もたくさんあります。 そのためにも日ごろからご家族とともに、もしもの時にどこの病院を受診したらよいかを調べておくことも重要です。 かかりつけ医がいる場合には、脳卒中の専門病院を紹介してもらうとよいでしょう。 一過性脳虚血発作が疑われる症状は? この発作の症状は、脳の動脈が詰まる場所によってさまざまです。 典型的な場合、片側の手足や顔のまひなどの運動障害、片側の手足や顔のしびれや感じ方が鈍くなるなどの感覚障害(脳血管の異常による運動障害や感覚障害は、ほとんどが片側に起こるのがポイント)、ろれつが回らなかったり、言葉が出なかったりする言語障害、片方の目が見えにくくなる視力障害(一過性黒内障)、片側にあるものが見えなくなる視野障害(同名半盲)などが主な症状です〈図2〉。 こうした症状は、一過性脳虚血発作以外の緊急性がない原因で起こることもありますが、心配な場合はご自身で判断しないで、まず医療機関への受診をお勧めします。 一過性脳虚血発作の症状は、多くの場合、病院を受診した時点では消えていますので、医師はその症状を実際には診察で確認することができません。 医師が一過性脳虚血発作かどうかを判断する一つの重要な材料は、一過性の症状についての本人、もしくは周りにいた人からの問診です。 例えば運動まひであれば「どこの部位に生じたのか」「まひがどの程度であったのか」「症状が何分くらい続いたのか」などをできるだけ正確に伝えることができるようにしておきましょう。 特に危ないのは? ABCD 2 スコアとは? 一過性脳虚血発作後に脳梗塞を起こす危険度は、患者さんそれぞれによって異なります。 ABCD 2 スコアは、一過性脳虚血発作後に脳梗塞を早期に起こす危険性を予測する指標として開発されました〈表1〉。 各項目の点数を合計したスコア(0~7点)が高いほど、一過性脳虚血発作後、早期に脳梗塞を起こす危険性が高いとされています。 このスコアを指標に受診するかどうかを決める必要はありませんが、特にスコア3~4点以上は要注意ですので、知っておくとよいでしょう。 専門病院受診後はどうなるか 問診や診察などで一過性脳虚血発作が疑われる場合は、直ちに検査を行い、治療を始めます。 発作が起こってから早く来院された場合(特に発作後48時間以内)は、その後の脳梗塞発症の危険度が高いため、原則として入院となります。 ABCD 2 スコアやMRIの結果なども入院の判断の参考となります。 基本となる点を説明しましたので、続いてこの発作の原因、検査、治療についてもう少し詳しく説明します。 原因は主に二つ 一過性脳虚血発作は、大きく分けて二つの原因から起こります。 動脈硬化と心臓の病気です。 ・動脈硬化が原因の場合 この発作の多くは動脈硬化が原因で起こります。 比較的太い動脈(特に頸部の頸動脈)に動脈硬化が起こると、その表面に血栓が付着します。 この血栓がはがれ、血流にのって、より先の動脈に引っかかるとまひなどの症状が出現します〈図3〉。 血栓が小さい場合は、すぐに溶けて流れ去ってしまうため、血流が回復して症状も消えてしまいます。 また、もう一つの起こり方として、動脈硬化によって非常に狭くなった脳の動脈がある場合は、急に血圧が下がるなど脳の血流がさらに悪くなったときに症状が出現します〈図4〉。 頭を低くして休むなどして、再び脳の血流が回復すると症状は改善します。 ・心臓が原因の場合 心臓で作られた血栓が脳の動脈に流れていき、動脈が詰まると症状が出てきます。 心臓に血栓ができやすくなる心臓の病気としては、心房細動という不整脈が圧倒的に多く、心筋梗塞、人工弁なども原因となります。 ただ心臓にできる血栓は大きいため、一過性脳虚血発作よりは大きな脳梗塞(心原性脳塞栓症)として起こってくることが多いようです。 検査 この発作の原因となりうる、動脈や心臓の病気を調べるために、次の ような検査をします。 頭部MRI検査(CT検査) MRIでは、脳梗塞やそれ以外の一過性脳虚血発作の原因となりうる病変を調べることができます。 MRIの撮影法はいろいろありますが、その中で拡散強調画像と呼ばれる方法は、新しい脳梗塞部分をはっきりとらえることができます。 〈図5 のA〉。 一過性脳虚血発作は、基本的には脳に傷跡(脳梗塞)が残らないのですが、拡散強調画像を撮影すると、新しい脳梗塞が見つかるケースが増えています。 こうした検査結果は、一過性の症状が脳の虚血発作であったという強固な証拠となりますし、一過性脳虚血発作後に脳梗塞を起こしやすいという危険信号といえます。 またMRAという検査では、脳の動脈の状態を検査することができます〈図5 のB〉。 これによって一過性脳虚血発作の原因となる太い動脈の動脈硬化の程度、具体的には高度の狭窄や閉塞がないかをチェックできます。 一方、CT検査は、大まかな脳の状態を把握することはできますが、小さな脳梗塞や血管の状態まではみることはできません(ただし造影剤を使用すれば可能)。 そのため最近では一過性脳虚血発作の診療に、拡散強調画像やMRAを含むMRI検査が必須となっています。 頸部血管超音波検査 首に超音波を発する探触子(プローブ)をあてて行う検査です。 先にお話ししたように頸動脈の動脈硬化は、一過性脳虚血発作の重要な原因の一つです。 この検査では、頸動脈の動脈硬化の程度、狭窄の有無などを容易に調べることができます〈図6〉。 心電図 心臓に血栓を作る主な原因となる心房細動(不整脈)がないかをチェックします。 心房細動は一過性のことがあり、通常の心電図で心房細動を確認できない場合は、携帯型の心電図を1日中つけて、心房細動がないかを検査します。 経胸壁心臓超音波検査と経食道心臓超音波検査 経胸壁心臓超音波検査は、胸の表面から超音波をあてて、心臓の壁や弁の動き、心臓内の血栓の有無などを調べ、一過性脳虚血発作を引き起こす心臓の病気を検査します。 さらに詳しく調べたいときには、経食道心臓超音波検査を行います。 これは胃カメラのように、超音波の探触子(プローブ)のついた管を飲み込み、食道側から心臓を調べる検査です。 経胸壁心臓超音波検査より苦痛を伴う検査ですが、心臓内(血栓のできやすい左心房内)の血栓をより鋭敏に見つけることができ、また一過性脳虚血発作の原因となる心臓の穴(卵円孔)や大動脈の動脈硬化も調べることができる有用な検査です。 治療 早期の治療で一過性脳虚血発作後の脳梗塞発症を減らせることは前に触れました。 頭部MRI、頸動脈超音波検査、心電図などの検査結果から一過性脳虚血発作の原因を推定し、治療を選択します。 治療は、大きくは内科的治療と外科的治療に分けられます。 内科的治療 この発作に対して、短期的もしくは長期的に脳梗塞発症を予防するための内科的治療(薬物治療)は、抗血栓薬による治療(血液をサラサラにして血栓ができるのを予防する治療)と、高血圧、糖尿病、脂質異常症など動脈硬化の原因となる生活習慣病の治療が中心となります。 抗血栓薬は「抗血小板薬」と「抗凝固薬」に分けられ、一過性脳虚血発作の原因によって使い分けられます。 頸動脈や頭の中の動脈の動脈硬化が原因となる一過性脳虚血発作では、抗血小板薬としてアスピリン(バイアスピリン*)、クロピドグレル(プラビックス*)、シロスタゾール(プレタール*)などを、病状に合わせて、使い分けたり併用したりします。 一方、心房細動など心臓に由来している場合は、抗凝固薬を使用します。 抗凝固薬によって心臓の中に血栓ができるのを防ぎ、脳梗塞を予防します。 以前はワルファリン(ワーファリン*)という薬しかありませんでした。 ワルファリンは予防効果の高い薬ですが、食事(納豆、青汁など)や他の薬剤の影響を受けやすく、血液検査で内服量を常に調節しなければならない煩わしい面もありました。 最近では、これらの短所を改善したダビガトラン(プラザキサ*)やリバーロキサバン(イグザレルト*)という新しい薬が発売され、抗凝固薬の選択肢が増えました。 生活習慣病の治療については、後で説明します。 (*印は商品名) 外科的治療 一過性脳虚血発作の原因が、動脈硬化で、狭くなった頸部の頸動脈である場合は、脳梗塞の発症予防を目的に外科的治療をすることがあります。 それには、「頸動脈内膜剥離り術」と「頸動脈ステント留置術」という二つの手術法があります。 頸動脈内膜剥離術は、全身麻酔によって頚動脈の流れを一時的に遮断して切開し、狭窄の原因となっている動脈硬化の塊(粥腫-じゅくしゅ)を除去するものです。 一方、頸動脈ステント留置術は、カテーテル(細い管)を使って行う治療で、局所麻酔をして、足の付け根の血管からカテーテルを通し、頚動脈の狭窄部分に「ステント」と呼ばれる金属性の網状の筒を留置して、血管を正常の太さまで広げる手術です。 ステント治療の方が患者さんにとって負担が少ないように思えますが、内膜剥離術にも治療として優れた点があり、どちらの治療を行うかは、患者さん本人の希望だけでなく、専門医の意見も参考にする必要があります。 その他の外科的治療としては、太い動脈が完全に閉塞し、脳の血流が悪くなっていることが一過性脳虚血発作の原因になっている場合は、頭皮などの血管を脳内の血管につないで血流を良くする「バイパス手術」を行うこともあります。 一過性脳虚血発作、脳梗塞を起こさないために 一過性脳虚血発作や脳梗塞の主な要因は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙を4 大要因とする動脈硬化と、心房細動(不整脈)です。 一過性脳虚血発作や脳梗塞を予防するには、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病をしっかり治療すること、禁煙すること、そして心房細動に対して早いうちに対処することが鍵となります。 高血圧:高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。 そのため血圧のコントロールは重要で、上の血圧(収縮期血圧)140mmHg未満、下の血圧(拡張期血圧)90mmHg未満を目標に治療します。 健診時や診察時の血圧は、いろいろな条件が影響し、あてにならないこともあります。 高血圧が疑われる方、また高血圧で内服治療中の方は、自宅での毎日の血圧測定が重要です。 起床して1時間以内、就寝前の計2回、1~2分間安静にした状態で座って測り、記録して診察時に医師にみてもらいましょう。 脂質異常症:以前は高脂血症と呼ばれていましたが、現在は脂質異常症と呼ばれています。 健診で指摘された場合には、まず食事療法、運動療法が基本となりますが、それでも改善しない場合、特にLDLコレステロールが高い場合には、「スタチン」という薬を使用します。 「スタチン」はコレステロールを下げる以外の作用もあり、脳卒中の再発予防の効果があるとされています。 糖尿病:動脈硬化の原因となるだけでなく、網膜や腎臓に糖尿病による合併症を引き起こし、失明や腎不全の原因となりますので、糖尿病を放置しておくのは危険です。 糖尿病の診断は血糖値の検査に基づき行います〈表2〉。 一度糖尿病と診断されたら、速やかに治療を始め、定期的に検査を受けて血糖のコントロールができているかを確かめることが大切です。 糖尿病は長く付き合っていかなければならない病気ですが、血糖をしっかりコントロールしていると脳卒中など循環器病の発症を抑えることができます。 また健診などで糖尿病の疑いとされた方も、その後検査しないでいると、知らないうちに糖尿病になっていることもあるので、注意が必要です。 糖尿病の治療は、食事・運動療法が基本ですが、薬物治療としては血糖を下げる血糖降下薬という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足している人のためのインスリン注射があります。 喫煙:禁煙の継続で脳卒中の危険性は、確実に低下します。 長年喫煙している場合も、今からでも遅くないので、ぜひ禁煙をお勧めします。 なかなか禁煙ができない人には、禁煙外来を受診する方法もあります。 心房細動:心房細動は、文字通り心臓の心房という部屋が細かく震えるように動き、心臓を動かす電気刺激がうまく伝わらなくなって起こる不整脈です。 結果として脈が規則的にうたずに乱れてきます。 心房細動は高齢者に多く、70歳をこえると5~10%の人に起こるといわれています。 多くの場合、心房細動そのものが命に関わることはありませんが、心房が細かく震えることによって、心房内の血流によどみができ、血栓を生じ、脳梗塞の原因となるところが問題です。 心房細動とわかれば、その予防にワルファリンなどの抗凝固薬が威力を発揮しますが、残念なことに、心房細動があって抗凝固療法を受けている患者さんは意外と少ないのです。 特に高齢者では、心房細動の自覚症状がないことも多く、患者さん自身が心房細動の存在に気付いてないため、病院を受診しないことも一因と考えられています。 健診でたまたま心房細動とわかる場合もありますが、時々自分で脈をとってみてリズムが乱れていないかをチェックするのも重要です。 心房細動が疑われるときには、一過性脳虚血発作を起こす前でも、循環器内科を受診することが肝心です。 食事療法:高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病には食事療法が欠かせません。 高血圧の方には減塩が効果的です。 1日食塩摂取量6gを守りましょう。 カロリーや脂肪分を抑え、バランスのとれた食事をとることは、糖尿病、脂質異常症の改善につながりますし、生活習慣病悪化の下地となる肥満の抑制にもなります。 過度の飲酒は肝臓を悪くするだけでなく、脳卒中のリスクを高めます。 1日の飲酒量は日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度にしましょう。 「休肝日」を設けることも大切です。 運動療法:適度な運動は生活習慣病を改善させ,脳卒中の予防につながります。 特に激しい運動をする必要はありません。 運動は1日30分、ウォーキングであれば、少し汗ばみ、息がはずむ程度が目安です。 糖尿病の患者さんでは食後1~2時間後に行うと食後の血糖の上昇が抑えられ効果的です。 日本脳卒中協会は、脳卒中予防の知識をより広く普及させるため、わかりやすい「脳卒中予防10か条」を作成しています。 参考にしてください〈図7〉。 おわりに このパンフレットをお読みいただいた方には、脳梗塞の警告発作としての一過性脳虚血発作の重要性、緊急性をよく理解していただけたと思います。 冒頭でお話ししたAさんのその後を最後にお話しします。 翌朝Aさんは目を覚まし、起き上がろうとするとうまく起き上がれず、右手足に再び力が入らないことに気づきました。 救急車で病院に搬送され、脳梗塞と診断されました。 入院治療にもかかわらず、後遺症として右片まひが残り、長期のリハビリテーションを余儀なくされました。 もし前日の間に病院を受診し、検査、治療を受けていれば、脳梗塞になるのを予防できたかもしれません。 ご自身あるいはご家族に、一過性脳虚血発作を疑う症状が起きた場合、後悔することのないよう、早く専門病院を受診するようにしてください。

次の