キバユウ ピクシブ。 ”ソ連百合”こと『月と怪物』作者の実像

Drawings of Lions and People

キバユウ ピクシブ

ポケモンが好きで旅に出て、幼馴染と共にジムチャレンジに挑戦することにしたただの少女だと。 チャンピオンの推薦というラベルに当然興味はわいたが、当初は大して注目していなかったのが本当の所だ。 自他共に認めるイケメンのキバナよりも宝物庫を優先したのが面白くてユウリの見方を変えたが、思えばその時既に彼女がバッジを七つ集めて自分の元に来ると確信していたのかもしれない。 バトルをこの目で見たわけではない。 トレーナーとしての良さも知らない。 ジムリーダーとしての、ユウリよりも長い時間をポケモンと過ごしてきた一トレーナーとしての直感だった。 その頃のユウリはライバルとぶつかり、ジムリーダーに挑んで、ポケモンがもっと好きになったと表情や雰囲気が物語っていた。 そんな少女が浮かべる笑顔とは思えず、キバナは一瞬だけ目を丸くした。 ユウリはジムバッジを見事七つ集めてキバナの元にやってきた最初のチャレンジャーだった。 確信があったものの心が躍るほど嬉しかった。 ようやく、自分の興味を引いたトレーナーとバトルができるのだと。 だから気を抜いていたわけでも、余裕をこいていたわけでもない。 最後のジムリーダーとしてチャレンジャーの壁となるつもりでいた。 それがどうだろう。 目の前で繰り広げられる激戦に、額を汗が伝い、きつく歯を食いしばる。 バトルの余波がトレーナーの元まで届いて、ポケモンたちの熱が伝播する。 ジムチャレンジャーとのバトルでここまで熱くなるバトルがあっただろうか。 若いトレーナーを何人も見てきたが、これほど勝ちたいと思わせるトレーナーがいただろうか。 どちらも否。 ジムチャレンジの段階で、ジムリーダーに求められるのはチャレンジャーの壁となることだというのに、だ。 今、この時は勝ちたいと思ってしまった自分にキバナは驚きを隠せない。 楽しい、だから勝ちたいのだと思ってしまった。 それはユウリも同じなようで。 お互い手持ちが残り一体という状況で顔に浮かべるのは笑顔。 心から楽しいと言いたげな、勝ちたいと叫びそうな獰猛な笑顔。 温和なユウリの内に秘められていたトレーナーの性がこの目で見られたのだ。 胸の奥底から湧き上がってくる何かを感じながら大声で笑いそうになるのを堪えてキバナはジュラルドンを呼び出す。 ユウリも自分のパートナーをフィールドに出した。 どちらも無傷、ダブルバトルのはずが最後には一対一の真剣勝負。 この激戦のラストを飾るには相応しい、とキバナは笑みを深める。 「荒れ狂えよ、ジュラルドン!」 竜の咆哮が上がり、砂嵐が竜巻のように天に伸び上がる。 最後の戦いの火蓋が切られたのだった。 [chapter:おまけ] 「私ってこんな顔してました!?」 ジムチャレンジから数日が経ったある日の昼下がり。 ユウリが突然やってきたと思えばキバナの前に一冊の雑誌を突きつけた。 開かれたページを見れば先日のキバナとユウリのバトルが取り上げられていた。 大勢のチャレンジャーがいる中で、最初に突破したのだからメディアの動きとしては当然のことだろう。 ユウリより遥かにメディア慣れしているキバナは「あぁ」と短く返した。 「えぇ…こんな凶悪な顔を…知らなかった」 「何だ、気付いてなかったのか?」 「気付きませんでしたよ!ホップやマリィにも言われたことなかったですし、びっくりしたって電話がかかってくるくらいで…」 旅をしているユウリはあまり雑誌などのメディアに触れることが少ないのだろう。 ライバルたちの連絡で気付くのだから、かなり。 「キバナさんも知ってたんですよね?」 「勿論、目の前でバトルしてた張本人だぞ」 今もユウリのあの笑顔は鮮明に思い出すことができる。 それほど目に、肌に焼き付いていた。 「そんなに気にするなって」 「気にしますよ!どうしてだろ…全然分からなかったな」 ユウリは口角や頬を指で押し上げてみる。 年頃の少女としては気になるのも仕方ないことだろう。 少女らしからぬ自分の笑顔を認識したばかりでは無理もない。 けど、とキバナはユウリをまっすぐ見据えた。 「俺はお前のあの笑顔好きだけど」 メディアに取り上げられなければ良かったのに、とまでは口に出さなかった。 恥ずかしさからか顔を赤くしたユウリがむっとする。 「特等席でまた見せてくれよ」 小さな拳が飛んできた。 [newpage] [chapter:ねらいうち] がおー、と爪をたてて隣に並び歯を見せる。 キバナとユウリのスマホロトムが同時にシャッター音を鳴らすと、くるりと回って二人の手の中に戻った。 キバナと会う度に恒例となった二人での自撮りは定番のピースから始まり、今ではキバナお決まりの「がおー」のポーズだ。 スマホロトムの写真が綺麗に撮れていることを確かめ、ユウリは頬を緩める。 「私にもキバナさんやダンデさんみたいなポーズがあったらってたまに思うんですよね」 キバナのポーズはドラゴンらしく彼らしく、猛々しいイメージを与える。 ダンデのリザードンポーズは正しく象徴と呼べるものだ。 となると、特定のタイプを持たないユウリはダンデを参考にして自分のパートナーポケモンらしいポーズをしたいと思う訳だが。 「インテレオンのポーズか…試しにやってみたらどうだ。 俺が見てやるから」 ユウリが最初に選んだポケモンはメッソンだった。 ほんの小さかったメッソンがジムチャレンジでユウリと共に成長し、進化したインテレオンが現在の彼女のパートナーである。 キバナの胸を借りるつもりでポーズを考えに考えては、ふっと消える。 少しして、良いものが閃いたらしいユウリが明るい顔でキバナを勢いよく見た。 「『ユウリのねらいうち!』ばっきゅーん!」 手を銃の形にしてキバナに向かって撃つ素振りをしてみせる。 頬を紅潮させてはにかむユウリをキバナはただ呆然と見つめていた。 褒めれば良いだけなのに肝心の言葉が出てこず、開いた口をはくりと動かすことしかできなかった。 「インテレオンといったら『ねらいうち』かなって…キバナさん?どうしました、キバナさん?」 片手で口を覆い隠して俯くキバナの顔を覗きこもうとユウリも体を斜めにする。 その顔があまりにも無垢なもので、その瞳があまりにも澄んでいて。 (はぁぁぁぁぁ?何だよ?可愛いかよ?) と、当のキバナは顔を無表情にしようと努めながら声にならない叫びをあげていた。 一方、ユウリのモンスターボールの中では一部始終を見ていたインテレオンが片手で両目を覆い、天を仰いでいたとか。 [newpage] [chapter:強いて言うならお前のせい] ああ、高い。 手をいくら伸ばしても彼を超えることは未だユウリには叶わないのだと知る。 チャンピオンとなってもまだ彼には届かない。 背中を掴んでもまたすぐに引き離されてしまう。 倒れたパートナーをモンスターボールに戻し、雲一つない青空を見上げる。 負けた悔しさは不思議となく、寧ろ清々しい気持ちさえした。 ポケモンに指示を出し続け、相手の先を読み続けたユウリの頭に酸素を送るようにすう、と息を吸い込む。 そして、背中を丸めて礼をした。 「ありがとうございました」 心からの感謝の言葉に、ダンデはただ微笑むだけだった。 *** *** 「バトルタワーでダンデに負けた?」 「はい、負けました」 「だからオレ様に肉を奢れって来たのか」 「話を聞いてもらいたかっただけですよ?」 奢れとは言っていません、と笑顔の一つも浮かべずにユウリは切り分けたステーキにフォークを刺し、口の中へ運ぶ作業を繰り返した。 それをまじまじと見ながらキバナも同じ作業をする。 確かにユウリは一言も奢れとは言っていない。 「それで、バトルの興奮が冷めやらないお前の話は何だよ?」 「…興奮が冷めやらない?」 動かしていた手を止め、ユウリが顔を上げる。 キバナは今日初めてユウリの目に映った気がした。 「興奮…言われてみれば確かにずっとあのバトルのことばかり考えてましたね」 「飯も食わずに二日もね…」 キバナの元にやってきたユウリが「話を聞いてもらえませんか」と真顔で頼んでくるのに、彼女の腹の虫が素直に大きく鳴ったものだからこうして穴場のステーキ屋に連れて来たのだ。 件のダンデとのバトルは二日前のことだとユウリ自身から証言は得ている。 「本題に移るんですけど、負けたんです、私」 「ああ、さっきも言ったな。 ダンデに勝つためにアドバイスが欲しいのか?」 キバナは最も多くダンデとバトルしているトレーナーだ。 ダンデのバトルスタイルやポケモンについて多く知るのは本人を除けば間違いなく彼だろう。 しかし、その問にユウリはまさかと首を横に振る。 キバナは嬉しそうに好戦的とも捉えられる笑みを返し、話の続きを促した。 「ダンデさん、ウォーグルみたいだなって」 空の勇者とも呼ばれるウォーグルがどうしてダンデに繋がるのか分からず、キバナは片眉を上げた。 ダンデといったらリザードンだろうに、何故関係のないウォーグルが出てくるのか。 ユウリ本人もまだ思考をまとめられていないのか、何度も口を開いては閉じる。 それでも精一杯キバナに伝えようとしているから、遮らずに次の言葉を待った。 「ダンデさんはずっと高いところにいるんです。 今も悠々と空を飛んで、支配しているみたい。 でも、負けたのに清々しいんです」 可笑しいですよね、と頬をかく。 何となくユウリの気持ちが、言わんとしていることが分かる。 ダンデとの距離を遠いではなく高いと表現するのは、ダンデがトレーナーの高みに昇っていることを実感しているからだろう。 同じようにキバナも感じたことがある。 それもダンデがチャンピオンを降りてから特に。 頬杖をついてチャンピオン・ダンデとチャレンジャー・ユウリのバトルが終わった瞬間をふと思い出した。 初めて悔し気に顔を伏せたあと、新たなチャンピオンの誕生を祝福するダンデの表情は清々しかったと言えなくもない。 「今の私ではダンデさんのところに並び立つなんて、とてもじゃないけど無理です。 手が届く訳でもありません」 それなら、と一息入れたユウリの顔は穏やかだった。 「撃ち落とせば良いんです」 ステーキにフォークを突き刺す。 捕食者の動きに見えてぞっとしたのは気のせいではなかった。 今までのユウリの話では確かにうちおとすのは相性で考えれば効果抜群だが、彼女が言ったのはそういうことではなく文字通り、空を舞うダンデを地上から撃ち落とすということなのだろう。 頬を引きつらせ、乾いた笑い声を漏らした。 今のユウリならやりかねない。 ユウリにそう思わせるダンデに悔しさを抱き、ほんの少しだけ同情した。 食べ終わると律儀に礼をしてユウリは足早に去って行く。 試したいことができたと満足そうに子供らしい笑みを浮かべ、とてもワイルドエリアに行くとは思えない軽い足取りで。 キバナはその小さな背中が見えなくなるまで見送り、大きく溜息を吐いた。 ああ、まだ精進が足りない。 あの域に自分もいつかは、そう誓ってジムへと戻った。 後日、キバナはユウリからダンデに勝ったと報告の電話を貰い、ダンデからユウリに何を話したのかと縋るような電話を貰った。 [newpage] [chapter:先着順] チャンピオンを降りてから、この世界の広さを知った。 様々なトレーナーたちがバトルタワーを訪れ、上を目指してバトルを繰り広げる日々はまるで酸欠のように目眩がするほど熱くさせた。 同じバトルなど一つもありはしない。 一戦一戦がダンデの血を沸かせ、心を躍らせた。 中でも一際、彼女の試合が。 よろしくお願いします!と明るい声で挨拶し、パートナーを繰り出すユウリの姿が手元のモニターに映っている。 たった今、始まったばかりの試合だ。 トレーナーに、チャンピオンになりたてだというのに彼女はもう随分と勝ち進み、このバトルタワーの頂に迫っている。 恐ろしい才能だと思う。 けれど同時に、もっと開花させてはくれないかとも思う。 きっと更に彼女は成長し、強くなる。 それだけの時間がまだ彼女にはある。 とは言え、それはまだ大分先のことだ。 今はただ、ユウリがこのバトルを勝ち、最後の自分とのバトルまで上り詰めることが楽しみで仕方がなかった。 「さあ、上がってくるんだ。 オレから勝ちを奪えるのは先着順なのだから」今までも、これからもそれは変わらない。 しかし、それが他の誰でもなくユウリであって欲しいと願うのは一種の独占欲なのかもしれない。 そう気付いたときにはもう、この思いをなかったことにするには遅すぎた。 [newpage] [chapter:運命なんて、くそくらえ] 誰だってチャンピオンになったなら、それは運命だと思うだろう。 事実、ダンデもそうだった。 子供の頃、子供だった頃。 チャンピオンになることを夢見て駆け回った日々は宝物と呼べるかけがえのないものだ。 しかし、ダンデを待っていたのはそれを嘲笑うかのような停滞。 熱く滾る思いも時間が経てば冷え切る。 暖炉の炎がくべる薪なくしては燃えていられないのと同様に。 それでも彼は笑顔で立ち続けなくてはならなかった。 チャンピオンであるが故に。 負けない故に。 ダンデは求められるがままに戦い、勝ち、ガラルの先頭に立ち続けた。 幼い頃求めた筈の夢はいつしか、彼の羽ばたきを妨げる錘と化していた。 そんなダンデの前に一筋の光明が差す。 ホップや、ビート、マリィが各々の夢に葛藤、目的を抱いてユウリとぶつかる。 セミファイナルの試合を前にして、ダンデはほうと息を吐いた。 ここに立つまでに彼等は何度もバトルをしてきたのだろう。 それこそ、ダンデとキバナのようなライバルとして。 ホップ達の思いの強さは、ユウリとのバトルを経て大きくなっていくのが離れていても分かる。 対照的にユウリからは勝ちたいという意思しか感じられない。 彼女はまるで鏡のように対戦相手の思いを映し出し、反射していたのだ。 ユウリに引き寄せられるのは彼等だけではなく、ダンデもまた凍りついた世界が溶けていくように感じた。 氷塊がじわじわと溶けていくと、忘れていた何かが息を吹き返したと言わんばかりに奥底から湧き上がってきた。 ただ生きるために繰り返されていた鼓動が、徐々に早まっていく。 同時に血の巡りも早まり、体温が上がっていく。 そこで彼は自分が呼吸を忘れていたことを思い出した。 短い呼吸を繰り返し、チカチカとした光の点滅を感じて頭を振る。 思い返してみれば、ユウリのバトルを意識して見たことはなかった。 確かに、チャンピオンになったことは運命だったのかもしれない。 本音を言えば運命などと言いたくはないが、これまでを思えばそう呼ばざるを得ないとも思う。 しかし、ユウリは自分とは違うと確信があった。 彼女はチャンピオンになったことを運命だとは決して言わないだろう、勝つための努力を怠らなかっただけだと臆面もなく言い切ることだろうと。 そう言えたならどれほど良かったか、と羨ましく、妬ましく思う。 チャンピオンになったのは運命ではなかったと言える日はおそらく来ない。 けれど、運命ではなかったと証明できるときは、迫っている気がした。 [newpage] [chapter:星に捧げるラブソング] マリィに誘われてネズのライブに訪れたユウリが違和感に気付いたのは、その曲が始まって少しした頃だった。 彼にしては珍しいラブソングだった。 大切なひとを想った言葉の数々がゆっくりとした曲調に乗って耳から体に染み込んでくる。 しかし、それだけではなかった。 ライブ中、観客であるユウリはネズをずっと見ていた。 髪を振り回し、汗を飛ばす。 いつもよりも眉間の皺を深く刻んで、荒々しく歌う。 いつもの無気力な姿とは対照的にいきいきとしていて、とても眩しかった。 それがライブ中のネズだとジムチャレンジの頃から知っている。 しかし、あんなにも穏やかに、優しく囁くように歌うネズを知らなかったのだ。 何故か、かっちりと歯車がかみ合ったようにネズから目を離せなかったのだ。 「今日のライブはどうでしたかね?」 ライブが終わったあと、ネズに尋ねられたユウリは理由も分からずにドキリとした。 とても格好良かったです、と教科書通りの答えを返すと、ネズは目を細めた。 何か言いたげなネズの視線から逃れるようにユウリは視線を彷徨わせた。 「ライブでラブソングを歌うのは初めてだったんですが、どうでした?」 先程とは違う感想を言おうと口を開いて、止まる。 ラブソング中のネズの向けられた目を思い出して頬が熱を帯びていくのを感じた。 「目が、離せませんでした」 今更取り繕うこともできず、たどたどしく思ったことを言う。 恥ずかしくなって俯くと頭上から小さな笑い声が聞こえた。 「なら良かったです。 おれもおまえのことを見て歌いましたんで」 ユウリの顔を覗き込んでネズは言う。 小さな両手で顔を覆うユウリなどお構いなしに、彼は優しく微笑んだ。 「おまえの返事を聞かせてくれねぇですか」 細い指の間から覗かせるユウリの瞳は海面に映る星空のように美しい、とネズは見入っていた。

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キバユウ ピクシブ

バズツイートに物申すオタクはダメだよ。 最近そればっかだ。 今日のそれです。 キバユウ、未プレイ民が二次創作して、未プレイ民が「萌えました!」ってどんどん膨らんで今こうなってると知り、 「原作未履修二次創作はオタクの恥」という概念はないんだな… もはや今の若いオタクは原作すらいらない、ただ萌える外見のキャター同士のやり取りを消費するだけでいいんだな… — 抱かえる sayako16 このツイート見た時、これってめちゃくちゃキャター的というか、的というか、まさに「今の若いオタク」っぽい、現代的な消費行動だな~って思ったんだよね。 それが良いのか悪いのかは別として(私は他人の消費行動にとやかく言えるほどえらい人間ではないので…) キャター的(キャター論的)なこと、ということについては、このブログで最初に書いた記事(ですね、かなり「人間」におけるキャター論についての文章)でもチラっと触れたんだけども、もちろん創作上のキャターについても、「キャター(性格・特徴)」の寄せ集めによって、ひとつの人格が創作される、という過程はあてはまると思うんだよな。 オタクなら身に覚えがあるんじゃないかと思うけれども、オタクは、広く「」を共有した認識として持っている。 それは、髪や目、あるいは胸や体形体格の形やら色であったり、性格、人付き合いの在り方、感情の振れ方であったり、全く「人間」の形状を逸れた創作的個性も含め、おおよそありとあらゆる「人格」の構成要素を内包している。 「」の視覚化は、今や単純明快であって、イラスト投稿サイト(とかだね)ではイラスト毎に「」たりえる多くの単語がされている。 たとえば「」「」「短髪」「内向的」などがそれで、名も知らぬキャターであっても、そのだけで一覧することができるようになっている。 キャター(創作上の存在)とキャター(性格・特徴といった)が紛らわしいので、以下「人格」と「(萌え)要素」と明確に分けます。 頭がこんがらがってくるため。 この大量に流通するっていうのは、でいう「データベース消費」におけるデータベースそのもの、というのは飽きるほど指摘されているけれども、オタクは様々な経路によって共有のものとしているのデータベースから、好みの要素を取捨選択することで、好みの人格を創作上に見出しているわけだよな。 その消費行動は、人格そのものと関わり合い性格を相互に理解するというプロセスが存在する現実的な人間関係とは真逆であって、人格の持つ要素が(おおよそにおいて)真っ先に提示されていることで、好みである人格を探すことができるし、そこを入り口として作品に触れる、というプロセスも間違いなく存在している。 さて、ここからが本題なのですが、一番上のツイートにあった「作品のキャター(人格)が、その作品のストーリーを知らない者によって、再解釈され『二次』創作」される、という状況について書きたかったんです。 なのでここからはその話です。 二次創作というのは、語の定義上「原作となる作品の延長線上、あるいは可能性として、その作品の愛好家によって二次的に創作されるもの」であるはずだから。 であれば、問題となっている作品は明確に二次創作ではない。 おそらく、創作者もそれが「定義上の二次創作」と同列に扱われることを望んでいないんじゃないか?とも思う。 では、なぜそれらが「二次創作」という体で扱われてしまったのか。 それは、「特定の要素を集めた創作の代名詞」として最適であったから、だと思うんだよね。 要素の集合としての、特定の人格を指し示すには、名前があったほうが便利である。 「つり目短髪くせっ毛人見知り内向的鈴付きチョーカー長袖青ボーダーワンピースの子」でも伝わるかもしれないが、やはり名前が付いていた方が親しみが持てるだろうし、伝えあいやすい。 また、名前を付けたとしても、それが広く知られることが無い限り、それを代名詞として要素の集合を広く語ることはできない。 ーさんだと、自分の好きな要素を詰め込んだいわゆる「うちの子」を創作している方も多い。 けれども、私がに居るひとりの青年の名前はおろか存在すら知らないことと同じように、「うちの子」は創作者の周囲では知られるかもしれないものの、広く一般的な代名詞として用いられるには、という壁が立ちはだかることになる。 そのような状況下で、商業上少なからずを備えていければいけない商業作品は、特定の要素を詰め合わせた人格の代名詞として使いやすい存在になる。 「あの作品のあの子」と言えば、それだけで多くのを雄弁に語ってくれるのだ。 それこそ、「伏せ紺赤つり目短髪くせっ毛人見知り内向的鈴付き細身チョーカー長袖青ボーダーワンピースの子」という要素の集合を、ひと言ふた言で済ませてしまうことができるのだから便利である。 ただし、そういった使い方の場合、名前に付随する要素が重要であって、その背後に存在する作品上のストーリーだとか、人間関係などと言った存在は、むしろ邪魔な物になる。 要素から連想される創作の制限をするものであって、足枷にしかならない。 要素の集合としての人格のみを基に創作するのであれば、その発信側にとっても、消費側にとっても、作品それ自体への理解というものは不要である。 創作は、二次創作として作られてはいないわけだ。 このすれ違いは非常に深刻であって、語の定義に沿ったかたちの「二次創作」を見たい人と、人格の要素だけを基につくられた「二次創作」を見たい人は、全く異なる需要を持っているにもかかわらず、同じひとつの作品の「二次創作」というくくりになってしまうことになる。 これでは分かり合えないのも当然ですね… これを解決しようとするのは大変に困難である。 はの一例であるけれども、消費行動は同時に脱属人を進めていると思っていて、「このーの作品が好き」という消費よりも、「誰それのあの作品が好き」という、より細かな視点での「いいね」が増えている、気がする。 であれば、特定のーが「うちの子」として発表したものが、要素集合としての人格の代名詞化することは難しく、ならばその種の創作は二次創作という体で行った方が、同好の消費者にも届きやすい。 加えて言うならば、非常に多くのオタクに「バズった」ような作品の場合、人格の名前に作品のストーリーが非常に強く結びついているため、それを無視した二次創作はやり辛い。 そうなると、オタクの「必修科目」と呼ばれるような、超有名な作品よりも、少しマイナーな作品のほうが、この種の「人格だけ二次創作」の標的になりやすいのかもしれないな。 不幸な話だねぇ。

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”ソ連百合”こと『月と怪物』作者の実像

キバユウ ピクシブ

ユウリは今雪の降るキルクスタウンを歩いていた。 あの日キバナにキスを(おでこに)されてからというもの恥ずかしさのせいでナックルシティを訪れられずにもうすぐ2週間が経とうとしていた。 「 …そろそろ、ワイルドエリアでポケモンたちを鍛えながらキャンプがしたいなぁ 」 雪の降る空を白い吐息が覆い隠し、抱き抱えていたラルトスが不思議そうに空を見て、雪を捕まえようと手を動かす。 「そっか、ラルトス雪は初めて見るのか」 この子はつい先日育て屋に預けていたサーナイトが抱えていたタマゴが孵り産まれたばかりのひよっこラルトス。 この子を育てるためにもワイルドエリアでほかのポケモンたちが戦っているのを見せるのがなかなか効率がいいのだが、如何せん強い子達がいるエリアはナックルシティから行く方が途中買い物やらなんやらをするのにも、とても効率がいい。 雪にはしゃぐラルトスを抱え直した。 「 …バレないように、こっそり通ればキバナさんも忙しいし、見つからないよね 」 はぁ、と寒空にまた息を吐いてユウリはナックルシティに向かって歩き出す。 「おっ、とその前に」 ラルトスを片手で抱え、ポケットに入れていたロトムスマホを取り出し、だいぶ前にキバナさんに教えて貰って始めたSNSに投稿する用に、雪にはしゃぐラルトスとのツーショットを撮ってSNSに投稿した。 「見てラルトス、可愛く撮れてるよ」 そう言ってロトムの画面を覗き込むとラルトスは嬉しそうにはしゃいだ。 このSNSを初めてからは一言日記のように毎日ポケモンたちやカレーや、ショッピングの事などを投稿していた。 その度に色んな人から色んな反応を貰えるのが楽しくて最近では自分が楽しいからと理由の方が大きくなっている。 しかしここ2週間ほどの投稿でナックルシティやその付近の話をしなくなった事を不自然に思う人がいるのか、たまにコメントで「ワイルドエリアには行かないの?」などと来ることもある。 「 やっぱり、あの付近に行ってないこと分かるのかな… 」 んーーー、と考えてるとラルトスが腕から飛び降りてちょこちょこ走り出し、少ししてユウリを振り返り早く早くと言わんばかりに飛び跳ねる。 「うん!行こっかラルトス!」 一方その頃、ナックルシティ、ナックルスタジアムの一室にイライラを包み隠さず表情に出し、貧乏揺すりをしている大柄な男が1人。 「おい、キバナさんまだ機嫌悪いのか」 「そうなの、ここんとこずっとあの調子よ」 ジムトレーナーの2人がコソコソと話をする、するとその2人に、イライラしていたキバナが声をかける。 「おい!話してる暇あるならトレーニング行ってこい!」 「「は、はい!!」」 ぴん、と背筋を伸ばし注意されたジムトレーナー達は足早に部屋を出ていった。 「はぁぁあ、 …とんだ八つ当たりだ 」 イライラを己のジムトレーナー達に向けてしまった不甲斐なさにキバナは頭を抱えた。 「 くそ、それもこれも全部ユウリのせいだ 」 ここ2週間ほどユウリが全くナックルシティに寄り付かなくなった。 その理由も自分であることを知っているキバナは自分が避けられていることに勘づいていた。 しかも、当の本人は毎日いろいろな町や人に会ってはその様子を楽しそうにSNSに載せているのを見ると余計に腹が立っていた。 つい先程更新されたSNSにはキルクスにいるらしいユウリと孵化したばかりのラルトスとのツーショット写真があげられていた。 その写真にもちろんいいねはしておきながら、キバナはまた頭を抱える。 「 …くっそ、可愛いな 」 産まれたばかりのラルトスも可愛いが何よりその隣でラルトスをメインにとっているため自分はみきれている笑顔のユウリがとても可愛い。 「 会いてぇな 」 その見切れた笑顔を眺めながらふぅ、と息をつく。 すると、気分転換をさせるためボールから出していたジュラルドンがこちらにやって来てグイグイと俺様の肩を押す。 「おいおい、なんだ急に」 渋々立ち上がると今度はフライゴンがやって来てキバナさんの服をひっぱる。 「なんだよほんとに」 大きな2体にされるがまま後を着いていく。 そのままスタジアムの外に連れ出されるとコータスがそこにはいた。 「お?なんだこんなとこまで来てたのか」 よしよし、と撫でているとコータスが違うそうじゃない、と言わんばかりに首を伸ばす。 「ん?」 コータスが首を伸ばすさきに目をやるとワイルドエリアに続く階段の入口の端の方に何やらコソコソ怪しい動きの人物がいた。 割と距離があるので目を凝らしてその人物を見ていると、不意に下を見ていた顔が上がり緑のベレー帽が見えた。 その姿は紛れもなく、ユウリだった。 「でかした!お前ら!」 しゃがみこんでいたキバナが勢いよく立ち上がると、ポケモンたちは腰のホルスターにあるボールへと自ら戻って行った。 「やっと見つけたぞ!」 「ピーピーエイダーに、かいふくのくすり、げんきのかたまり、きのみも沢山あるし、食材はいざとなればワイルドエリアにもあるし大丈夫だよね!よし!」 ユウリはワイルドエリアに続く階段の近く、人の邪魔にならないよう端っこの方にリュックの中身を出しながら足りないものはないか再確認をしていた。 よしよし、と指差し確認しながら、傍らにいるラルトスに笑いかける。 「じゃあ、行こっかラルトス!」 そう言うとラルトスはクルクルとユウリの足元を回り始めた。 その光景にユウリが笑いながら広げていた荷物をリュックに戻そうと手を伸ばした。 その時 「やっと見つけたぞ!!!ユウリ!!!!」 太く通る声がユウリの鼓膜を突き抜けた。 「へ!?キバナさん!?やばい、どこ!?」 キョロキョロ辺りを見渡してもキバナはいなかった。 その事に首を傾げたユウリにキバナがまた声をかける。 「ここだバカっ!!!」 罵声のする方に顔を向けるとユウリのいる所からナックルスタジアムの入口の方にズカズカ歩いてくるキバナを見つけた。 「え、とおっ!でも、今から階段降りちゃえば追いつかれない!」 逃げようとリュックを手に取るも、確認のため広げていた荷物をまだ戻していなかった。 急いでリュックに詰め込み、リュックを背負うと、ラルトスを抱えあげうしろを確認する。 先程よりもだいぶ距離を詰められていてより一層キバナのイライラが伝わって来た。 「 やばいヤバい!げきりんだよぉぉ、怒ってるよーーー! い、いこ!ラルトス!!」 踵を返して、階段の方に走るユウリに気が付きキバナが声を上げた。 「あ!おい待て!!」 「いたわ!!ユウリチャンピオン!!」 キバナがユウリを追いかけていたその途中の路地からマスコミらしき男女が2人飛び出してきた。 「ユウリって聞こえたからまさかと思ったけど、ほんとに居たわ!!チャンピオンお話聞かせてください!!」 「え、?」 大きな声をかけユウリに近づく2人に気が付き、恐らく同じようにユウリを目当てにこの辺に張り付いていたマスコミたちが集まりユウリはあっという間に人の壁に囲まれた。 「チャンピオン!今からワイルドエリアに行かれるのですか?」 「強さの秘訣はどこにあるんですか!」 「ぜひ答えてください!!」 マスコミたちの勢いに圧倒されユウリは少しずつ後ずさり、腕に抱えたラルトスは震えていた。 「あ、えっ、」 また1歩後ろに下がった時、ユウリの身体が大きくバランスを崩した。 そう、ユウリは咄嗟のことでここが階段のすぐ上だということを忘れていた。 身体が宙に浮き、咄嗟に腕に抱えたラルトスを強く抱き締めた。 ぐいっ 力いっぱい腕を捕まれ、身体が引き上げられる。 勢いそのままに引っ張られたその先にぽす、と抱きとめられた。 恐る恐る目を開けると、見慣れたパーカーが目に入り、ゆっくり顔を上げると息を切らしたキバナと目が合った。 「はは、間一髪、だったな」 「あ」 ぎゅ、とキバナに引き寄せられ、キバナはユウリを庇うようにしながらマスコミの方をむく。 その冷たい視線にマスコミたちは息を飲んだ。 「はーい、ここまで!お前らあんま元気があんのはいいがもうちっと周りを見ろ?危なかったぞ」 口は笑っているが目が笑っていなかったキバナにマスコミたちはすみません、と小さく言うと脱兎のごとくその場を去っていった。 「…たく、おい大丈夫か?ユウリ」 去っていったマスコミたちを見送った後引き寄せたユウリを見下ろしたが、ユウリはキバナのパーカーに顔を押し付けてた。 「…おい、ユウリ?」 「だ、大丈夫…です」 口では大丈夫と言ったユウリだが、その肩は微かに震えていた。 そんなユウリを心配そうにラルトスが見つめているとそのラルトスのアタマをキバナが優しく撫でる。 「場所、変えるか」 ユウリの肩を抱きながらキバナが歩き出す。 ナックルシティの端の方のベンチのある広場にやって来て、そのベンチにユウリを座らせる。 「おい、水買ってくるからそこから動くなよ?いいな!」 ここ最近キバナを避けていたからか念入りに注意され、キバナはその場を離れた。 するとボールからウインディが出てきてユウリの顔を舐める。 「ふふ、大丈夫だよキバナさんが助けてくれたから」 よしよし、と撫でてやるとウインディは少し不服そうにしながらもベンチの傍にふせた。 ユウリの腕の中ではラルトスが静かに寝息を立てていた。 少ししてキバナがおいしい水とミックスオレの缶を持って戻ってきたが、ベンチの横に座っているウインディをみて顔が一瞬ひきつった。 ウインディはキバナが来たことに気がつくと立ち上がりキバナに近づく。 「な、なんだ?まだ何もしてないぞ」 ウインディは静かにキバナの顔を見つめていたが、少しすると頭をキバナに擦り寄せた。 「お?なんだ、認めてくれんのか?」 そう言ってウインディを撫でようと手を伸ばしたがウインディは調子に乗るな、とひと吠えしてボールの中に戻って言った。 「まだまだ、ってとこかな、ほれ、少し落ち着いたか?」 どっちがいい?と水とミックスオレを差し出されたのでミックスオレの方を受け取った。 「ありがとうございます」 顔を伏せながら貰ったミックスオレを開けて口を付けると、どか、と隣にキバナが腰かけた。 「…おい、ほんとに大丈夫か?」 「大丈夫です!」 思ったより大きな声が出てしまったことにユウリ自信驚いてしまった。 ユウリは追この間迷惑はかけないと言ったばかりに今の自分の情けなさに打ちひしがれていた。 項垂れていたユウリが口を開いた。 「あの、また迷惑かけて、すみません!こんな何度もキバナさんに迷惑かけちゃって、ほんとにダメですねわたし」 へへ、とぎこちなく笑いながら言うがキバナは何も返してくれない。 「本当はもっとキバナさんやダンデさんみたいにしっかりした頼れる人になりたいんです。 もっとしっかりしなきゃならないのに、こんなに迷惑かけて」 項垂れるユウリに目を覚ましたラルトスが手を伸ばし慰めるようにユウリの頬を撫でた。 ありがとう、とラルトスを抱きしめるとラルトスもユウリに抱きついた。 「…まぁ、確かにお前は危なっかしいし、周りが見えてないし、馬鹿だし頼れるとは程遠いよな」 「うっ、」 確信をつかれさらに項垂れるユウリ。 それを後目にキバナは話を続ける。 「でも、ポケモンたちや周りの人間にも真っ直ぐ向き合っていくその姿勢は、いいと思うぞ」 「え…」 顔を上げキバナの方を見るとキバナはあの救護室でユウリのフライゴンに向けていたような優しい目でユウリのことを見ていた。 「ふ、やっとこっち見たな?」 こつん、とおでこを突かれ、ユウリはおでこに手を当てながらキバナのそのやさしい目から目が離せなかった。 「ん?」 優しく微笑んだキバナにユウリは目をぱちくりさせ、不意に口を開いた。 「…かっこいい」 「は?」 「え?…あっ」 ばっ、とユウリが口を押える、不意の一言にキバナも構えておらず、だんだんとキバナの表情が崩れていく。 其れを見られないよう大きな手で顔を隠し、ユウリに聞こえないように呟いた。 「それは、反則っしょ」 ユウリもだんだん自分が仕出かしてしまったことを自覚し、キバナが顔を隠しこちらを見てない隙に逃げようと腰をあげると、腕を掴まれた。 「まぁて、どこ行くんだよ」 「あ、えっと、そろそろワイルドエリアでポケモンたちを、鍛えよう、かなって」 「またさっきみたいになってもいいのか?せめて明日にしとけ」 う、と顔をしかめるとその手を引かれまたベンチに座らせられる。 「なぁ、ユウリこの間のあのキスの意味は分かったのか?」 心底楽しそうにキバナが笑い、ユウリはあの時のことを思い出しさらに顔が赤くなる。 「おいユウリ、おーい」 にやにやしながら顔をユウリに近づけ耳元で低く囁くと、ユウリの肩が揺れる。 その反応が面白くてキバナは今度はラルトスを抱くユウリの手に自分の手を重ねる。 とうとうユウリが固まってしまったので、やり過ぎたか、と離れると今度はユウリがむっ!と顔をしかめてキバナの頬にキスをした。 あまりに突然の事でキバナは思わず目を見開いた。 「っ、こ、子供扱いしないでください!!」 そう言うとユウリはすぐさま立ち上がりすごい勢いで走り去った。 置いてかれたキバナはユウリにキスされた頬に手を当て放心していた。 「…おいおい、まじか」 しばし放心した後、キバナはユウリの後を追いかけるために腰を上げた。 「はぁ、はぁっ やばいやばい、どーしよう私何をしてんだろ! 」 ラルトスを抱えながら必死に走ったユウリはしばらく走ってナックルシティから6番道路に繋がる丁度出口のところで息を整えていた。 「ごめんね、ラルトス少し休んでていいよ」 そう行ってラルトスをボールに戻し、腰のホルスターにしまった。 そして再び歩きだそうと踏み出した時、思いっきり腕を引かれた。 「わっ、!」 これで何度目か分からぬほど腕を引かれその度にバランスを崩し受け止められる。 そうこの男に 「はは、捕まえた」 「ーーっ、キバナさん!」 キバナに比べるとあまりに小さく華奢なこの少女の身体をキバナは覆い被さるように抱きしめる。 そして、上がっていた自分の息を整え、ユウリの体を軽々と抱き上げた。 「ちょ!キバナさん!?」 「だめ、お前離したらまたすぐどっか行くだろ、聞きたいことが山ほどあるんだ、ゆっくり話せるとこ行こうぜ」 そう言うとキバナは抵抗するユウリにビクともせずスタスタと歩き出す。 着いた先はナックルスタジアムのキバナの書類仕事をする部屋所謂、書斎に連れ込まれた。 その部屋に入るなりソファに座らせられる。 ユウリのすぐ隣にキバナは腰掛ける。 「なぁ、ユウリさっきのキスはどういう意味だ?」 なぁ、とユウリとの距離を詰めながらキバナが問掛ける。 近寄ってくるいい顔のキバナを直視しないようにユウリは強く目を閉じる。 すると、キバナはそれをいい事にユウリの頬にキスをした。 「ひぇ!?」 思わずユウリは自分の両手でキバナの顔を抑えてしまった。 キバナはびっくりしていたが、ニヤリと目を細めると、キバナはユウリの手を取り、指先や手の甲に口付けを落としてく。 あまりにも目に毒な光景なのに、ユウリはキスをしてくるキバナから目が離せなかった。 「ユウリ、答えてくんねーの?」 「っ!ずるいですよ!分かってるくせに!」 「ん?言ってくれねーと分かんねーな?」 「ーーー!そう言う!そう言うキバナさんはどうなんですか!!」 わ、私も言ってくれないとわかんないです……と今にも消え入りそうな声で続けた。 「俺様か?俺様は…」 そう言うと掴んでいたユウリの手に指を絡ませ、今度はユウリの頬やおでこにキスを降らせる。 「もちろんこんな可愛らしいキスで終わらせたくないと思ってるし、あわよくば頂きますしたい訳よ」 「ぅぁ、」 「お分かり?大人扱いして欲しいユウリちゃん?」 そう行ってユウリの指を軽く舐める。 「ひゃっ、」 ユウリは完熟した果実のように顔を真っ赤にする。 「ま、まってキバナさん!」 「ん??」 「そ、その、もう逃げないので、離して下さい…」 名残惜しそうにユウリの手を離し、キバナはほんの少しだけユウリとの間にスペースを作る。 ユウリは大きく息を吐いて、真剣な面持ちでキバナを見つめた。 そして意を決したように口を開く。 「わ、私は!あの時キバナさんに、おでこにキスをされてから気恥しくてナックルシティに、近づけなくなりました!その、変に意識するようになっちゃったんです、キバナさんの事は前から好きでしたし一緒にいてとても楽しくて、ポケモンバトルも強くて、キバナさんみたいに、ダンデさんみたいになりたい、って思ってたんです。 でも、私はまだ子供で、キバナさんの周りの女の人たちみたいに魅力的でもなくて、自信が無かったんです、キバナさんの隣にいていいのかなとか、不釣り合いだって、キバナさんがさっき言ってくれたみたいな、同じ意味の好きか、私にも、分からなく、て」 若干下を向きながら話していたユウリだが、黙って聞いているキバナの反応が気になり少し顔を上げると、顔を赤く染め、口元を抑え、何かに耐えるようになキバナと目が合った。 「へ?」 思ってた反応と違思わず間の抜けた声が出てしまった。 「っ、いや、聞いてるちゃんと聞いてるぞ」 ふぅぅぅ、と長く息を吐き今度はキバナが口を開いた。 「ユウリ、ハッキリ言うと俺様はユウリに惚れてる。 確かにお前はまだまだ子供だ、むしろこんなに手を出してたらたぶん俺様は捕まっちまう。 お前が18になるまでは手を出すつもりは無いがそれはあくまで理性を保てればの話だ。 もしかしたらお前を怖がらせちまうこともあるかもしれない、お前を傷つけるかもしれない、でも、お前を大切にしていきたいと思う気持ちは変わらない自信がある、答えが今すぐでなくてもいい。 ずっと待ってる」 真っ直ぐユウリを見つめ、キバナは続ける。 「いつかユウリの気持ちが、俺様の好きと同じになってくれるまで待つ。 いや、むしろ俺様にベタ惚れにさせてやるよ」 にかっ、と眩しいほどの笑顔を向けキバナは乱暴にユウリの頭を掻き回す。 「どうだ?ユウリ」 「っ、」 頭に乗せられたキバナの手を取り、顔の前まで下ろしてユウリは声を上げた。 「あの!ほ、ほんとに私でいいんですか?こんな、私で」 「ばか、」 ユウリに掴まれた手を解き、華奢な身体を強く抱きしめる。 「お前じゃなきゃダメなんだよ」 うぅぅぅ、とうめき声のようなものを上げユウリはキバナの大きな背中に手を回した。 「 もう、半分くらい、いやそれ以上に答えは出てるようなもんだけどな 」 キバナはユウリを抱きしめてるため顔を見られないのをいい事にだらしなく顔を緩ませていた。 「そんじゃ、予約完了って事だな、覚悟しとけユウリ」 キバナはそのままユウリを抱きしめてる腕に力を込めた。

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